8歳の女児。顕在性二分脊椎。Sharrardの分類はⅣ群である。歩行練習の実施方法で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Sharrardの分類Ⅳ群は、脊髄の障害が仙骨レベルに位置し、仙骨神経が支配する足関節周囲の筋群(主に足関節の背屈・底屈筋)に軽度の筋力低下が見られるものの、股関節の外転、膝関節の屈曲・伸展、股関節の伸展も部分的または完全に可能である状態を指します。このため、足部の安定性向上や軽度な変形矯正のために靴型装具を使用することで、独歩が期待できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Sharrardの分類Ⅳ群は仙骨レベルの障害であり、股関節の外転、膝関節の屈伸、足関節の背屈・底屈が可能で、股関節の伸展も部分的に可能とされています。このようなケースでは、足部の軽度な変形を矯正し、安定性を向上させる目的で靴型装具が適しており、杖なしで独歩が期待できます。選びやすい理由:他の選択肢も装具を用いた歩行訓練を示唆しているため、Sharrard分類の各群に対応する適切な装具の知識が曖昧だと迷いやすいです。混同注意:短下肢装具(AFO)や長下肢装具(KAFO)との混同。SharrardⅣ群ではこれらの装具は過剰であり、下肢全体の筋力は比較的保たれているため、足部のみの支持で十分です。
- 2. Sharrardの分類Ⅳ群では、下肢全体の筋力は比較的保たれており、長下肢装具(KAFO)は過剰な装具です。長下肢装具は主に膝関節より上(L2-3レベル以上)の筋力低下がある場合に適用されます。正しくは:Sharrard分類Ⅳ群では、長下肢装具ではなく靴型装具が適切です。選びやすい理由:装具を使用するという点で一見正しいように見えますが、Sharrard分類における適切な装具のレベルを理解していないと誤って選択しやすいです。混同注意:上位のSharrard分類(例:I、II、III群)に必要な装具(長下肢装具やそれ以上)との混同。Ⅳ群ではそこまでの支持は不要です。
- 3. Sharrardの分類Ⅳ群では、足関節の運動が比較的良好なため、足関節の支持を行う短下肢装具(AFO)は一般的に不要です。また、ロフストランド杖は通常、より重度の体幹・下肢機能障害がある場合や、バランス能力が著しく低い場合に用いられるため、独歩が期待できるⅣ群には過剰です。正しくは:Sharrard分類Ⅳ群では、短下肢装具やロフストランド杖ではなく、靴型装具で独歩が期待されます。選びやすい理由:装具と杖の組み合わせは歩行補助の選択肢として一般的であるため、誤って選択しやすいです。しかし、Ⅳ群では過剰な補助となります。混同注意:他の下肢装具(短下肢装具など)が必要となるSharrard分類(例:V群など)や、より重度のバランス障害を伴う疾患の歩行補助との混同。
- 4. Sharrardの分類Ⅳ群では、長下肢装具(KAFO)もロフストランド杖も過剰な補助です。この群の患者は、下肢の主要な筋力が比較的保たれており、独歩が期待されるため、ここまで大がかりな支援は必要ありません。正しくは:Sharrard分類Ⅳ群では、長下肢装具やロフストランド杖の併用は適切ではなく、靴型装具での独歩が期待されます。選びやすい理由:重度の障害に対する包括的なサポートという印象を与えるため、疾患の知識が曖昧だと選びやすいです。混同注意:Sharrard分類における最も重度なグループ(I群やII群)や、さらに重度の脊髄損傷患者の歩行補助との混同。
- 5. 骨盤帯付き長下肢装具(HKAFO)やPCW(体幹保持型歩行器)は、股関節や体幹の支持が著しく必要な場合に用いられます。Sharrardの分類Ⅳ群では、体幹や股関節の機能は比較的保たれており、独歩が期待されるため、これらの高度な補助は全く必要ありません。正しくは:Sharrard分類Ⅳ群では、骨盤帯付き長下肢装具やPCWは過剰であり、靴型装具が適切です。選びやすい理由:最も包括的で高度な補助具の組み合わせであるため、最も重度なケースへの対応と誤解し、知識が不確かな場合に選びやすいです。混同注意:Sharrard分類の最も重度なグループ(I群など)で股関節の機能が著しく障害されている場合や、脳性麻痺などの重度運動障害を持つ子どもへの歩行補助との混同。
国試ポイント
顕在性二分脊椎のSharrard分類における各群の臨床像と、それに適した装具および歩行補助具の組み合わせを正確に理解しているかが問われます。特に、下位レベルの障害では過剰な装具を使用しないという原則が重要です。
混同注意
Sharrard分類の各群で必要とされる装具の種類と、それによって達成される歩行能力のレベルが混同されやすいです。特に、上肢支持の有無(杖の要不要)と装具の種類(靴型、短下肢、長下肢、股継手付き)の適切な組み合わせを理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、Sharrard分類の各群の定義、特に『どの筋が機能しているか』を正確に把握し、その機能レベルに対して『最も効率的かつ必要十分な』装具や歩行補助具を選択できるかを確認することが重要です。また、年齢や発達段階に応じた考慮も追加で問われる可能性があります。
関連知識
Sharrard分類(I群:大腿四頭筋麻痺、II群:膝関節伸展・股関節屈曲可能、III群:股関節外転・膝関節伸展可能、IV群:股関節外転・膝関節屈伸・足関節背底屈可能、V群:正常)と、それぞれの機能レベルに対応する標準的なリハビリテーション戦略、装具、および予後。また、二分脊椎に合併しやすい尿路・腸管機能障害、水頭症、脊髄係留症候群についても関連知識として重要です。