興奮や昏迷などの意志発動の異常が主体となる統合失調症の病型はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
緊張型統合失調症は、興奮状態、昏迷、カタレプシー(蝋様屈曲)、常同症、拒絶症などの精神運動性の異常を特徴とします。設問で示された「興奮や昏迷などの意志発動の異常」は、これらの緊張病症状に合致するため、緊張型が正答です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。緊張型統合失調症は、興奮、昏迷、カタレプシー、拒絶症など、精神運動性の異常を主な特徴とします。設問にある「興奮や昏迷などの意志発動の異常」は、この病型の典型的な症状です。
- 2. 残遺型は、一度統合失調症の急性期症状を経験した後、陽性症状は目立たなくなり、意欲低下や感情の平板化などの陰性症状が持続している状態を指します。興奮や昏迷が主体となることはありません。正しくは:急性期症状が改善し、陰性症状が主体となる病型。選びやすい理由:急性期後の慢性的な症状として意欲低下が見られるため、「意志発動の異常」と捉えがちですが、設問の「興奮や昏迷」とは異なります。混同注意:症状が慢性化する病型全般や、陰性症状が前面に出る単純型などと混同しやすいです。
- 3. 単純型は、幻覚や妄想といった陽性症状がほとんど見られず、緩徐に進行する意欲低下、感情の平板化、引きこもりなどの陰性症状が主体となる病型です。興奮や昏迷は通常見られません。正しくは:緩徐な進行で、陰性症状が主体となり、陽性症状が目立たない病型。選びやすい理由:意欲低下は「意志発動の異常」に分類されますが、設問が指す「興奮や昏迷」とは異なる症状です。混同注意:残遺型や他の陰性症状が目立つ病型と混同しやすいです。
- 4. 破瓜型(DSM-5では解体型に統合)は、思考の連合弛緩、感情の不適切、支離滅裂な言動、意欲の低下などが特徴ですが、興奮や昏迷といった特定の精神運動性の異常が前面に出るわけではありません。感情の平板化や奇異な行動は見られますが、緊張病症状とは異なります。正しくは:思考の障害、不適切な感情、支離滅裂な言動が主な病型。選びやすい理由:奇異な行動や感情の異常から、広義の「意志発動の異常」と捉えがちですが、質問文の「興奮や昏迷」の具体的な症状とは一致しません。混同注意:緊張型以外の、広範な行動異常を伴う病型と混同しやすいです。
- 5. 妄想型は、系統だった妄想や幻覚(特に幻聴)が主な症状で、比較的早期から人格が保たれることが多いです。興奮や昏迷といった精神運動性の異常は典型的ではありません。正しくは:系統だった妄想や幻覚が主な病型。選びやすい理由:妄想の内容によっては、患者が一時的に興奮状態になることもありますが、これは妄想に起因するものであり、設問の「意志発動の異常が主体」とは直接結びつきにくいです。混同注意:他の統合失調症の病型全般、特に妄想を伴う他の精神疾患と混同しやすいです。
国試ポイント
統合失調症の各病型(緊張型、残遺型、破瓜型/解体型、妄想型、単純型など)の主要な臨床症状を区別できるかが問われます。特に、特徴的な精神運動症状がどの病型と関連するか、陰性症状と陽性症状のどちらが主体か、またDSM-IVとDSM-5の分類変更に関する知識も関連します。
混同注意
破瓜型(解体型)と緊張型はどちらも行動異常を伴うことがありますが、破瓜型は思考障害や感情の不適切さが主であり、緊張型のような特定の精神運動症状(昏迷、拒絶など)が前面に出るわけではありません。また、残遺型と単純型はどちらも陰性症状が主体ですが、残遺型は急性期症状を経験した後に出現し、単純型は緩徐に進行し陽性症状は稀であるという違いがあります。
次に同じ論点が出たら
統合失調症の病型を問う問題が出た場合、まず提示された症状が「陽性症状(幻覚、妄想、興奮など)」「陰性症状(意欲低下、感情の平板化など)」「精神運動症状(昏迷、拒絶、カタレプシーなど)」「思考障害(連合弛緩、滅裂思考など)」のどれに分類されるかを判断します。その上で、どの病型に最も典型的な症状であるかを特定します。特に「興奮・昏迷」とあれば緊張病症状を、「幻覚・妄想」とあれば妄想型を、といった典型的な組み合わせを覚えることが重要です。
関連知識
DSM-IVでは統合失調症の特定下位分類として「緊張型」が存在しましたが、DSM-5ではこれらの下位分類が廃止され、「緊張病」は統合失調症の診断基準における1症状や、他の精神疾患に伴う病態、あるいは独立した診断名として扱われるようになりました。しかし、日本の国家試験では従来の病型分類に基づいて出題されることも多いため、各病型に典型的な症状(陽性症状、陰性症状、認知機能障害、精神運動症状)を把握することが重要です。特に精神運動症状を伴う場合は緊張型を想起できるよう学習しておく必要があります。