32歳の男性。交通事故で4週前に右大腿骨を図のように遠位部で切断した。今後、大腿義足を作製する。切断側の身体計測で正しいのはどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
大腿義足の作製には、骨盤からの基準点となる坐骨結節から断端末までの距離(大腿長)が基本的な長さの情報として必要です。また、義足装着時のレバーアームとしての機能や筋力伝達の効率を評価するために、実際にソケット内で機能する断端の長さである機能的断端長も重要な指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 大腿断端の計測は、通常、仰臥位(背臥位)で行われ、関節角度の固定や安定性の確保が重要です。腹臥位では、股関節の屈曲拘縮や計測の安定性に問題が生じやすいです。正しくは:測定時の体位は仰臥位(背臥位)を採用する。選びやすい理由:特定の場合(例えば膝関節の可動域が制限されている場合など)に腹臥位で行う計測もあるため、誤解しやすい。混同注意:他の部位の計測体位や、特定の目的での例外的な体位と混同しやすい。
- 2. 断端最小前後径は、義足のソケット作成において最も狭い部分を特定するために、通常、断端の遠位端から数センチ上部など、最も細い部分を計測します。大転子レベルは断端の遠位端とは異なる部位であり、最小前後径を計測する適切な場所ではありません。正しくは:断端最小前後径は、義足ソケット適合のための最も狭い部分で計測する。選びやすい理由:大転子は下肢の重要なランドマークであるため、計測点として選びやすいと誤解されがち。混同注意:大腿骨の長さや他の骨指標の計測点と混同しやすい。
- 3. 正解。大腿義足の作製において重要な大腿長は、骨盤の安定した支持点である坐骨結節を基準として、断端の最遠位端までの距離を測定するのが一般的です。これにより、義足の長さを決定する際の基礎情報となります。
- 4. 大腿長は、骨の長さを反映させるために、断端末の軟部組織は自然な状態、あるいは軽く伸展させた状態で計測するのが原則です。軟部組織を押し上げてしまうと、実際の骨の長さよりも短く測定されてしまい、義足の長さが不適切になる可能性があります。正しくは:大腿長は、断端末の軟部組織を自然な状態で保ち、骨性部分の長さを反映して計測する。選びやすい理由:断端が軟部組織に覆われているため、骨の長さを正確に把握しようとして、押し上げるのが良いと勘違いしやすい。混同注意:他の部位での特定の計測方法(例:浮腫の圧痕確認など)と混同しやすい。
- 5. 正解。機能的断端長は、義足ソケット内で実際に力を伝えることができる断端の実質的な長さを評価するものであり、義足の適合性や機能性を予測するために非常に重要です。特に大腿義足では、残存する筋力やレバーアームの長さを知る上で不可欠です。
国試ポイント
義肢装具学における身体計測の基本的な知識、特に切断肢の各計測項目とその目的・方法の理解が問われています。具体的な計測点や測定方法、計測の意義を正確に把握しているかどうかが重要です。
混同注意
大腿断端の計測には、骨長、機能長、周囲径、前後径、内外径など多くの項目があり、それぞれ測定部位や目的が異なります。これらを混同しないよう注意が必要です。また、測定肢位も部位によって異なる場合があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の切断レベル(例:下腿切断)における身体計測項目とその目的、あるいは計測値が義足の適合性や機能性にどのように影響するかについて問われる可能性が高いです。
関連知識
・大腿義足の構成要素(ソケット、膝継手、足部など)とそれぞれの役割。・切断レベルと義足の適合性・機能性の関係。・義足装着時の評価項目(ソケット適合、歩行分析など)。・他の切断レベル(下腿、足部など)における計測方法との比較。