20歳の男性。1か月前に転倒し、疼痛は軽減したが右膝関節の不安定感があり来院した。実施した検査を図に示す。この検査の対象はどれか。ただし、矢印は検査者が力を加えた方向を示す。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
提示された画像は、膝関節を屈曲させ、脛骨を後方へ押す「後方引き出しテスト」を示しています。このテストは、後十字靱帯の安定性を評価するために行われます。後十字靱帯が損傷している場合、脛骨が正常よりも後方へ過度に移動します。
選択肢ごとの解説
- 1. 前十字靱帯の損傷を評価する主要な検査は、前方引き出しテストやLachmanテストです。本図は後方引き出しテストを示しており、前十字靱帯の評価には直接的ではありません。正しくは:前方引き出しテストまたはLachmanテストが前十字靱帯の評価に適しています。選びやすい理由:膝関節の不安定感という訴えから靱帯損傷全般を想起しやすいため、前十字靱帯も選択肢として考慮されがちです。混同注意:前方引き出しテストと後方引き出しテストを混同すると、誤って前十字靱帯を選択してしまう可能性があります。
- 2. 正解。提示された図は、膝関節を90度屈曲させ、脛骨を後方に押す「後方引き出しテスト」を示しています。この検査は、脛骨が過度に後方へ移動する場合に陽性となり、後十字靱帯の損傷を示唆します。正しくは:この検査は後十字靱帯の機能不全を評価するためのものです。選びやすい理由:膝関節の不安定感は様々な原因で生じるため、他の靱帯損傷も候補として考えられますが、図の検査手技が後十字靱帯に特異的です。混同注意:他の膝関節靱帯損傷の検査と混同しないように、それぞれの検査手技と評価対象を正確に理解する必要があります。
- 3. 内側側副靱帯の損傷は、膝関節に外反ストレスを加える外反ストレステストで評価されます。本図の検査手技とは異なります。正しくは:外反ストレステストが内側側副靱帯の評価に適しています。選びやすい理由:膝の不安定感という訴えから、側副靱帯損傷も考慮されることがありますが、図の検査は側方動揺性ではなく、前後方向の動揺性を確認しています。混同注意:外反・内反ストレステストと前後引き出しテストを混同すると、誤った選択をしてしまいます。
- 4. 外側側副靱帯の損傷は、膝関節に内反ストレスを加える内反ストレステストで評価されます。本図の検査手技とは異なります。正しくは:内反ストレステストが外側側副靱帯の評価に適しています。選びやすい理由:内側側副靱帯と同様に、膝の不安定感から側副靱帯損傷を疑うかもしれませんが、図の検査手技は異なります。混同注意:内反ストレステストと前後引き出しテストを混同すると、誤った選択をしてしまいます。
- 5. 半月板損傷の評価には、McMurrayテストやApleyテストなどの特殊テストが用いられます。本図の検査は靱帯の評価を目的としたものであり、半月板とは直接関係ありません。正しくは:McMurrayテストやApleyテストが半月板の評価に適しています。選びやすい理由:膝関節の不安定感は半月板損傷でも生じることがあるため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、検査手技が異なります。混同注意:靱帯損傷の検査と半月板損傷の検査を混同しないように注意が必要です。
国試ポイント
膝関節の主要な靱帯(前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、外側側副靱帯)の解剖学的位置と、それぞれの損傷を評価する代表的な特殊テスト(前方引き出しテスト、後方引き出しテスト、Lachmanテスト、外反ストレステスト、内反ストレステストなど)の手技と対象を正確に理解しているかが問われます。特に画像問題では、検査手技を視覚的に判断できる能力が必要です。
混同注意
前十字靱帯と後十字靱帯の損傷を評価する前方引き出しテストと後方引き出しテストは、検査手技が似ているため混同しやすいです。また、Lachmanテストと引き出しテストの違いも理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
この患者に対して、後十字靱帯損傷が疑われる場合に次に実施すべき画像診断や理学療法介入について検討できるか。
関連知識
膝関節の不安定感の評価には、Lachmanテスト(前十字靱帯)、前方引き出しテスト(前十字靱帯)、後方引き出しテスト(後十字靱帯)、外反ストレステスト(内側側副靱帯)、内反ストレステスト(外側側副靱帯)などがあります。これらのテストは、靱帯損傷の有無や程度を判断するための重要な理学所見です。半月板損傷の評価には、McMurrayテストやApleyテストなどがあります。