平衡機能障害において、後索性や小脳性に比べ前庭性に最も関連する異常はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
前庭は内耳に位置し、聴覚器である蝸牛と密接な関係にあります。そのため、内耳性の前庭機能障害(末梢前庭障害)では、めまいとともに難聴や耳鳴りを合併することが非常に多いです。選択肢の中で、脊髄後索性や小脳性の異常では通常見られないが、前庭性の異常に特に関連が深いのは耳鳴りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 眼振は前庭機能障害でよく見られますが、小脳性、さらには中枢性病変でも出現するため、前庭系に『最も』関連するという選択肢としては適切ではありません。正しくは:眼振は前庭機能障害に加えて、小脳機能障害や脳幹病変でも認められる。選びやすい理由:前庭機能障害の代表的な症状であるため、正しい選択肢だと考えてしまう。混同注意:前庭性眼振と、中枢性眼振の鑑別点(方向固定、自発眼振の有無、めまいの有無など)。
- 2. 構音障害は主に小脳障害や脳幹、錐体路障害で生じることが多く、前庭機能障害に直接関連する症状ではありません。正しくは:構音障害は小脳障害や脳幹、錐体路障害でよく見られる。選びやすい理由:平衡機能と運動機能が関連するため、広義にとらえてしまう。混同注意:失調性構音障害(小脳性)と、痙性構音障害や弛緩性構音障害(脳幹・錐体路・末梢神経性)。
- 3. 深部感覚障害は、主に脊髄後索性障害や末梢神経障害で認められる症状であり、前庭機能障害とは異なる神経経路の異常です。正しくは:深部感覚障害は脊髄後索性障害や末梢神経障害で認められる。選びやすい理由:Romberg試験陽性との関連を深読みしてしまう。混同注意:脊髄後索障害による平衡障害と、前庭障害による平衡障害の鑑別。
- 4. 正解。耳鳴りは、内耳の蝸牛(聴覚器)と前庭(平衡覚器)が隣接しており、血管や神経が密接に関連しているため、前庭機能障害、特に末梢前庭障害(内耳性)に合併しやすい症状です。特にメニエール病などではめまい発作とともに耳鳴り、難聴が見られます。
- 5. Romberg試験陽性は、前庭機能障害、脊髄後索性障害、小脳障害など様々な原因による体幹失調で認められる所見であり、前庭系に『最も』特異的とは言えません。特に視覚情報で代償できる場合は陰性になることもあります。正しくは:Romberg試験陽性は前庭性、後索性、小脳性など複数の平衡機能障害で認められる。選びやすい理由:平衡機能障害の一般的な評価項目であるため、選んでしまいがち。混同注意:Romberg試験陽性の原因(前庭性失調、脊髄後索性失調)と、小脳失調でのRomberg試験陰性(ただし開眼でも動揺が強い)。
国試ポイント
平衡機能障害の鑑別において、原因部位(前庭系、小脳系、脊髄後索系)によって出現しやすい症状を正確に理解しているかを問う問題です。特に、前庭系の障害と関連の深い内耳症状(耳鳴り、難聴)の知識が重要になります。
混同注意
各選択肢が示す症状が、どの神経系の障害によって引き起こされるかを混同しやすいです。特に、眼振やRomberg試験陽性のように複数の原因で生じる症状と、耳鳴りのように内耳性前庭障害に特異性の高い症状の区別がポイントとなります。
次に同じ論点が出たら
今後、同じ論点が出た場合は、各平衡機能障害の原因(末梢前庭、中枢前庭、小脳、後索)と、それぞれに特徴的な症状の組み合わせ(めまいの性質、随伴症状、眼振の性質、体幹失調の性質など)を正確に判断できるかが問われるでしょう。特に、中枢性と末梢性の鑑別が重要です。
関連知識
・前庭神経系の解剖と機能(末梢前庭器、前庭神経、前庭神経核、中枢連絡)。・平衡機能障害の種類と原因疾患:末梢前庭障害(メニエール病、前庭神経炎、良性発作性頭位めまい症など)、中枢前庭障害(脳幹・小脳病変)、脊髄後索性障害、小脳障害。・各障害における特徴的な症状と検査所見。