歩行において下腿義足の初期内転角が不足しているときに生じる現象はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下腿義足の初期内転角の不足は、義足がやや外転位で装着されている状態と解釈できます。このアライメント不良により、歩行時にソケットの近位内側が断端に食い込むような作用が生じ、結果として、断端の外側遠位部に過剰な圧迫力が加わります。これは、テコの原理でソケットが回転しようとする際に、断端外側遠位部が支点となるためです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。初期内転角の不足は、義足ソケットの近位内側が断端に当たるように作用し、結果として断端外側遠位部に集中して圧力がかかります。これは義足のアライメントが外転傾向になることで生じます。
- 2. 初期内転角が不足している場合、断端外側遠位部に圧力が生じます。断端内側遠位部への圧力は、初期内転角が過剰な場合に生じやすい現象です。正しくは:断端外側遠位部に過度な圧力がかかる。選びやすい理由:圧力の部位に関する選択肢であるため、他の部位の圧迫感と混同しやすいかもしれません。混同注意:初期内転角の過剰による症状と混同しやすい。
- 3. 踵接地時の義足足部の回転は、主に義足のソケットが緩い場合や、足部の硬さが適切でない場合に生じやすい現象です。初期内転角の不足とは直接的な関連性は低いです。正しくは:主にソケットの緩みや足部の問題によって生じる。選びやすい理由:歩行時の異常として一般的なものの一つであるため、義足の不具合全般の選択肢として選びやすい。混同注意:ソケットの緩みや足部の不良調整による歩行異常と混同しやすい。
- 4. 義足の足部外側が浮き上がるのは、ソケットの過度な内転角や、足部の内反アライメントが強すぎる場合に生じやすい現象です。初期内転角の不足とは逆の状況で起こることが多いです。正しくは:主にソケットの過度な内転角や足部の内反アライメントが原因で生じる。選びやすい理由:アライメント異常による視覚的な歩行異常として選択肢に入りやすい。混同注意:アライメントの過剰や不足による様々な歩行異常と混同しやすい。
- 5. 歩隔が広くなるのは、義足の全長が長すぎる場合、ソケットの過度な外転角、または断端の痛み回避などの原因で生じやすい現象です。初期内転角の不足自体は直接的な原因ではありません。正しくは:義足の全長過長やソケットの過度な外転角、断端の痛みなどが原因で生じる。選びやすい理由:歩行異常の一般的な兆候として選びやすい。混同注意:他の義足不適合による歩行異常と混同しやすい。
国試ポイント
下腿義足のアライメント不良が断端に与える影響や歩行に与える影響について問う問題です。特に初期内転角の概念と、それが断端のどの部位にどのように影響するかを理解しているかが重要です。
混同注意
義足のアライメント(内転角、外転角、前後傾斜など)の「過剰」と「不足」によって生じる現象が逆になるため、混同しやすいです。また、ソケットの緩みや足部の硬さなど、他の原因で生じる歩行異常との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、初期内転角だけでなく、義足の他のアライメント要素(前後傾斜、内外側への足部オフセットなど)の過剰・不足が、断端のどの部位にどのような圧迫や症状を引き起こすか、また歩行にどのような影響を与えるか、という知識が問われる可能性があります。
関連知識
初期内転角の概念(ソケットを骨盤の生理的内転角に合わせて装着すること)。義足のアライメント調整の基本原則。断端の各部位への圧力分布と疼痛の原因。他の義足歩行異常(例:回旋、浮き上がり、膝折れなど)と、その原因となる義足不適合。