近位尿細管における再吸収率が最も高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
健常な状態において、腎臓の近位尿細管では濾過されたグルコースが能動的に輸送され、血中へほぼ100%再吸収されます。これは、体に必要な栄養素であるグルコースを体外へ失わないための重要な機構です。他の選択肢の物質も再吸収されますが、その再吸収率はグルコースほど高くないか、あるいは分泌される性質を持つため、グルコースが最も高い再吸収率を示します。
選択肢ごとの解説
- 1. 水は近位尿細管で多くの量が再吸収されますが、その再吸収は主に溶質の再吸収に追従する受動的なものであり、濾過された水のすべてが近位尿細管で再吸収されるわけではありません。残りはより遠位の尿細管で再吸収されます。正しくは:水は尿細管全体で最も再吸収量が多い物質の一つですが、濾過された量に対する近位尿細管での再吸収「率」が100%に近いわけではありません。選びやすい理由:体液量調節の重要性から、水の再吸収量が非常に多いことは事実なので、選びたくなるかもしれません。混同注意:再吸収「量」と再吸収「率」を混同する可能性があります。
- 2. 正解。健常な状態であれば、近位尿細管において濾過されたグルコースは全て能動輸送によって再吸収され、尿中にはほとんど排出されません。これにより、濾過された量に対する再吸収率はほぼ100%と、他の物質に比べて最も高くなります。
- 3. 水素イオンは近位尿細管において、再吸収されるよりも主に尿細管腔へと分泌されることで体内の酸塩基平衡に寄与します。その再吸収率は非常に低いです。正しくは:水素イオンは近位尿細管で再吸収されるのではなく、主に尿細管腔へと分泌されます。選びやすい理由:酸塩基平衡の調節に関わるため、重要な物質として印象に残りがちですが、再吸収とは作用が異なります。混同注意:重炭酸イオンの再吸収と水素イオンの分泌の連動を混同するかもしれません。
- 4. クレアチニンは腎臓で自由に濾過されますが、近位尿細管においてほとんど再吸収されません。むしろ、一部は分泌されることで、尿中へ排泄される量がさらに増加します。正しくは:クレアチニンは近位尿細管で再吸収されず、主に濾過と分泌によって排泄されます。選びやすい理由:腎機能指標としてよく用いられるため、耳馴染みのある物質ですが、再吸収されるわけではありません。混同注意:他の電解質や栄養素の再吸収と混同する可能性があります。
- 5. ナトリウムイオンは近位尿細管で大量に再吸収される主要な電解質ですが、全ての濾過されたナトリウムイオンが近位尿細管で再吸収されるわけではありません。尿細管全体で約99%が再吸収されますが、近位尿細管単独での再吸収率は約65-70%程度です。正しくは:ナトリウムイオンは近位尿細管で大量に再吸収されますが、濾過された量の約65-70%であり、残りは遠位尿細管や集合管で再吸収されます。選びやすい理由:ナトリウムイオンの再吸収は水の再吸収と密接に関連しており、生理学的に非常に重要な過程であるため、再吸収率が高いと思われがちです。混同注意:絶対的な再吸収量が多いことと、濾過された量に対する再吸収率(ほぼ100%)を混同しやすいです。
国試ポイント
腎臓の各部位(近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管、集合管)における主要な物質(水、Na、K、Cl、グルコース、アミノ酸、クレアチニン、尿素など)の輸送機序(再吸収、分泌)とその割合を正確に理解しているかを問う問題です。特に、グルコースが近位尿細管でほぼ全て再吸収されるという事実は頻出です。
混同注意
再吸収「量」と再吸収「率」(濾過された量に対する割合)の混同。近位尿細管以外の部位での再吸収・分泌との混同。能動輸送と受動輸送の違い。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各物質の「再吸収部位と機序」「再吸収率(特に100%再吸収されるもの、されないもの)」「分泌されるもの」を確実に確認する。特に、グルコースの再吸収は能動輸送であり、最大輸送能が存在するため、糖尿病など病態時の対応も関連知識として重要になります。
関連知識
腎臓の構造と機能(ネフロンの各部位の役割)。尿生成の三段階(糸球体濾過、尿細管再吸収、尿細管分泌)。能動輸送(Na+-K+ATPase、SGLTなど)と受動輸送(水チャネル、イオンチャネルなど)。グルコースの最大輸送能(Tm)。各物質のクリアランス。