体温の調節機構で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
体温調節の中枢は間脳に位置する視床下部であり、体温のセットポイントを維持するために、様々な熱産生・熱放散メカニズムを統合的に制御しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。体温調節の主たる中枢は、間脳の一部である視床下部に存在します。視床下部は、体温のセットポイントをもち、自律神経系や内分泌系を介して、熱産生と熱放散のバランスを調整することで体温を一定に保ちます。
- 2. 一般的に、ヒトの体温は日内変動(概日リズム)を示し、午前中(早朝)が最も低く、午後から夕方にかけて最も高くなります。したがって、午前より午後の方が体温は高いのが通常です。正しくは:体温は午前よりも午後の方が高いのが一般的です。選びやすい理由:夜間や安静時に体温が下がるイメージから、午前中も低いと誤解するかもしれませんが、活動量が増える日中は体温が上昇します。混同注意:特定の疾患や生活リズムの乱れによって、体温の日内変動が逆転するケースと混同する可能性があります。また、午前と午後で体温測定の基準値が異なることを「体温が低い」と解釈する可能性もあります。
- 3. 発汗は、皮膚表面から汗が蒸発する際の気化熱によって身体から熱を奪い、体温を下げる主要な放熱メカニズムの一つです。精神性発汗も体温を下げる方向に働きます。正しくは:精神性発汗によって体温は低下します。選びやすい理由:ストレスや緊張によって「熱くなる」という感覚や、興奮によって一時的に熱産生が高まることと混同し、発汗自体が熱を生み出すと誤解するかもしれません。混同注意:精神的興奮による基礎代謝や筋肉の緊張増加が一時的に熱産生を高めることと、発汗による体温調節のメカニズムを混同する可能性があります。
- 4. 体温が上昇している場合、身体は熱を放散しようとします。骨格筋の収縮(特にシバリング震え)は熱を産生するメカニズムであり、体温が低下している際に、熱を発生させて体温を上げるために起こります。体温上昇時には、筋活動はむしろ抑制され、放熱が促進されます。正しくは:体温が低下すると骨格筋は収縮(震え)して熱を産生します。選びやすい理由:運動によって体温が上がる際に筋肉が活動しているため、筋肉の活動と体温上昇を直接結びつけるかもしれませんが、この選択肢は「体温上昇時」に「収縮する」と述べており、シバリングの状況とは逆です。混同注意:運動による熱産生と、体温調節におけるシバリング反応(熱産生)を混同する可能性があります。
- 5. 甲状腺ホルモン(サイロキシンなど)は、全身の細胞における代謝を促進し、酸素消費量を増加させることで熱産生を亢進させます。これは基礎代謝を上げる重要な効果です。正しくは:甲状腺ホルモンは身体の熱生産を増加させます。選びやすい理由:ホルモンの種類が多く、それぞれの作用を正確に覚えていない場合、熱産生を抑制する他のホルモンと混同しやすいです。混同注意:副甲状腺ホルモンや、血糖値に関わるホルモン(インスリンなど)といった、内分泌系の他のホルモンとその作用を混同する可能性があります。
国試ポイント
体温調節の主たる中枢、体温の日内変動、熱放散メカニズム(発汗)、熱産生メカニズム(骨格筋収縮、ホルモン作用)に関する基本的な生理学的知識を正確に理解しているかを問う問題です。特に、それぞれのメカニズムが体温上昇時と低下時のどちらに作用し、その効果が体温を上げるのか下げるのかを把握しているかが重要です。
混同注意
体温の日内変動におけるピークと最低点の認識ミス、発汗が体温を下げる作用であることを熱産生と混同、骨格筋の収縮が熱産生を伴うため体温が上昇する状況と混同(シバリングは体温低下時に起こる)、甲状腺ホルモンが代謝亢進=熱産生増加であることを認識していない、などが考えられます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、体温調節における各メカニズム(発汗、皮膚血管の変化、震え、ホルモン作用など)が「熱産生」に関わるのか「熱放散」に関わるのか、またそれが「体温上昇時」に起こるのか「体温低下時」に起こるのかを正確に判断できるかに注目します。具体的な作用機序とその結果を問う選択肢に注意が必要です。
関連知識
熱産生には、基礎代謝、食事誘発性熱産生、運動による熱産生、シバリング、非シバリング熱産生(褐色脂肪組織)などがあります。熱放散には、放射(輻射)、伝導、対流、蒸発(発汗)があります。視床下部は、自律神経系や内分泌系の制御を通じて体内のホメオスタシス維持に広範に関与しています。カテコールアミンやプロスタグランジンなども体温調節に関わります。