脳卒中片麻痺の理学療法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
トレッドミルを用いた歩行練習は、反復的な歩行運動を安全かつ効率的に行うことができ、特に歩行の対称性、リズム、耐久性の向上に寄与し、結果として歩行速度の改善に有効であることが多くの研究で示されています。部分免荷装置と組み合わせることで、麻痺が重度な患者でも早期から安全に歩行練習に取り組むことが可能です。
選択肢ごとの解説
- 1. 適切な装具は関節の安定性やアライメントを保ち、異常運動パターンを抑制し、安全な移動能力の獲得を助けるため、機能回復を阻害するどころか促進します。正しくは:適切な装具の使用は、機能回復を支援し、安全な活動を可能にする場合があります。選びやすい理由:装具に頼りすぎると筋力低下を招く、あるいは装具が運動を制限するといった誤ったイメージから、機能回復を阻害すると考えてしまう可能性があります。混同注意:不適切な装具の使用による二次的な問題(皮膚トラブル、過度な依存など)と、装具本来の機能回復支援効果を混同することがあります。
- 2. CPMは主に他動的な関節可動域の維持・拡大を目的としており、患者自身の意図的な運動を伴わないため、分離運動(特定の関節を単独で動かす能力)の学習や促通には直接寄与しません。分離運動は、選択的運動の反復練習によって学習されるものです。正しくは:持続的他動運動器(CPM)は、主に他動的な関節可動域の維持・拡大に用いられます。選びやすい理由:運動という言葉から、何らかの機能改善に繋がるかのように連想してしまう可能性があります。また、他動運動が感覚入力となり、運動学習に間接的に寄与すると誤解する場合があります。混同注意:関節可動域の維持や改善といった物理的な効果と、運動学習や分離運動の獲得といった神経学的な機能改善を混同することがあります。
- 3. 脳卒中後の早期からの立位練習は、身体機能の回復促進、合併症予防(起立性低血圧、深部静脈血栓症、廃用症候群など)、心理的効果において非常に重要です。装具の完成を待つ必要はなく、必要であれば簡易的な装具や介助者のサポート、平行棒などを用いて可能な限り早期に開始されるべきです。正しくは:立位練習は、装具の有無にかかわらず、患者の状態に合わせて可能な限り早期から開始するべきです。選びやすい理由:装具が安全性を高めるため、装具ができてからの方が安全で良いと考えてしまう可能性があります。混同注意:安全性の確保の重要性と、早期離床・早期リハビリテーションの重要性のバランスを誤解することがあります。
- 4. 正解。トレッドミル歩行練習は、反復的な歩行運動を安全かつ効率的に行えるため、歩行の対称性やリズムの改善、耐久性の向上、ひいては歩行速度の向上に有効であることが多くの研究で示されています。特に部分免荷装置と組み合わせることで、早期から安全に歩行練習を実施できます。
- 5. 脳卒中後の理学療法では、可能な限り早期から立位や歩行練習を開始することが推奨されており、必ずしも安定した座位保持能力が歩行練習開始の必須条件ではありません。部分免荷装置や平行棒、装具などの補助を用いることで、座位保持が不安定な段階でも歩行練習を導入できる場合があります。正しくは:歩行練習は、患者の状態や利用可能な補助具に合わせて、可能な限り早期から開始されるべきです。選びやすい理由:リハビリテーションは段階的に進められるという考え方から、座位保持能力の安定が次の段階(立位・歩行)への移行に必要な前提条件であると誤解してしまう可能性があります。混同注意:伝統的なリハビリテーションの進行段階と、現在のエビデンスに基づいた早期離床・早期歩行の考え方を混同することがあります。
国試ポイント
脳卒中片麻痺のリハビリテーションにおける基本的な原則と、各治療手段(装具、CPM、トレッドミルなど)の目的や効果に関する知識が問われています。特に、エビデンスに基づいたリハビリテーションアプローチの有効性について理解しているかが試されています。
混同注意
脳卒中リハビリでは、早期介入の重要性、装具の役割(補助・促通)、各種機器(CPM、トレッドミル)の具体的な目的と効果、そしてリハビリテーションの進行段階(座位保持、立位、歩行)における柔軟なアプローチが混同されやすい点です。特に、古くから伝わる段階的アプローチと、現代の早期介入・機能特異的訓練の考え方の違いを明確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
この論点から次に類題が出題された場合、脳卒中後のリハビリテーションにおける各介入の具体的な目的と効果、特に「早期」というキーワードの重要性、そしてエビデンスに基づいた治療法(例:CI療法、ロボットリハビリテーションなど)の適応と効果について、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
脳卒中リハビリテーションガイドライン、装具の種類と適応、CPMの適応と禁忌、トレッドミル歩行訓練の生理学的効果、早期離床・早期リハビリテーションの意義、運動学習の原則、歩行能力評価尺度。