腰椎椎間板ヘルニアの保存療法後の理学療法で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
腰椎椎間板ヘルニアの患者にとって、就寝時に腰椎を伸展させる姿勢は椎間板後方への圧迫を増大させ、症状を悪化させる危険性があります。特に後方脱出型のヘルニアでは、伸展は椎間板内容物をさらに後方へ押し出す力を加えることになります。そのため、就寝時は腰椎がニュートラルポジションか軽度屈曲位を保つよう、例えば横向きで膝と股関節を軽く曲げる、または仰向けで膝の下に枕を入れるなどの指導が適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. この運動は体幹の安定性を高め、深層筋を強化する効果があり、腰椎椎間板ヘルニア後の体幹機能改善に有効な理学療法の一つです。正しくは:この運動は適切であり、修正の必要はありません。選びやすい理由:一見、腰に負担がかかるように見えるかもしれませんが、適切に行えば体幹の安定化に寄与します。混同注意:腰椎の過度な動きを伴う運動と混同しやすいですが、体幹を安定させながら行うことで腰椎への負担を軽減しつつ筋力強化が図れます。
- 2. 腸腰筋の短縮は腰椎の過剰な前弯(lordosis)を引き起こし、椎間板への後方剪断力や圧迫力を増大させる可能性があるため、これを伸張することは腰椎への負担軽減に繋がり、適切な介入です。正しくは:この介入は適切であり、修正の必要はありません。選びやすい理由:ストレッチによって痛みを誘発する可能性を懸念するかもしれませんが、短縮による悪影響の方が大きいです。混同注意:腸腰筋が腰椎の安定に関与することから、ストレッチの必要性を疑問に感じるかもしれませんが、短縮は別の問題を引き起こします。
- 3. これは腰椎の分節的な運動性を改善し、骨盤と腰椎の協調運動を促すための基本的な運動であり、椎間板への急激なストレスなく行えるため、理学療法として適切です。マッケンジー法などでも推奨されます。正しくは:この運動は適切であり、修正の必要はありません。選びやすい理由:座位での腰椎運動が不安に思えるかもしれませんが、ゆっくりとした動きは椎間板への負担が少なく、運動学習に有効です。混同注意:腰椎に負担をかけるような急激な運動と混同しやすいですが、この運動は制御された範囲で行うことが重要です。
- 4. 正解。就寝時に腰椎を伸展させた姿勢をとることは、椎間板の後方部分への圧力を増加させ、特に後方脱出型の椎間板ヘルニアの症状を悪化させるリスクがあるため、避けるべきです。側臥位で寝る際は、膝と股関節を軽く屈曲させ、腰椎がニュートラルポジションまたは軽度屈曲位になるように指導するのが適切です。正しくは:就寝時は側臥位で膝と股関節を軽く屈曲させ、腰椎がニュートラルか軽度屈曲位になるよう指導する。選びやすい理由:側臥位自体は腰椎への負担が少ない寝方と認識されているため、「側臥位」という部分に惑わされやすいです。しかし、「腰椎伸展位」が問題です。混同注意:腰椎伸展運動が一部の椎間板ヘルニアに有効であるという知識と混同し、就寝時にも伸展位が良いと誤解しやすいですが、これは異なる状況と目的で行われます。
- 5. パピーポジション(またはその派生形)での腰椎伸展運動は、マッケンジー法の一環として、特定のタイプの腰椎椎間板ヘルニア(特に、症状が中枢化するタイプや伸展方向で痛みが軽減するタイプ)に対して、椎間板内圧を調整し、症状を軽減する目的で用いられることがあります。これは、適切に指導されれば治療に有効な手段の一つです。正しくは:この運動は適切であり、修正の必要はありません。選びやすい理由:伸展がヘルニアに悪いという一般的なイメージから、この選択肢を誤りと判断しがちですが、適切な状況下では有効な治療法です。混同注意:全ての腰椎椎間板ヘルニアに伸展運動が禁忌であると誤解しやすいですが、患者の状態やヘルニアのタイプに応じて選択されるべき運動であることを理解する必要があります。
国試ポイント
腰椎椎間板ヘルニアの病態生理に基づいた適切な理学療法介入と日常生活指導の知識を問う問題です。特に、椎間板への負担を増減させる要因(姿勢や運動方向)を理解しているかが重要となります。
混同注意
腰椎伸展運動がマッケンジー法などで治療に用いられることがあるため、「伸展」という言葉自体が全て良い、あるいは全て悪いと短絡的に判断しがちです。しかし、治療における特定の運動と、日常生活における不適切な姿勢(特に就寝時の長時間にわたる姿勢)とは区別して考える必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われる場合、ヘルニアの急性期と慢性期における運動療法の違いや、術後の早期リハビリテーションにおける禁忌事項、または特定の症状(例:下肢痛の悪化/改善、中央化現象)に応じた運動選択の適切性などが問われる可能性があります。
関連知識
腰椎のバイオメカニクス(椎間板内圧と姿勢の関係)、腰椎椎間板ヘルニアの症状と病態(特に脱出方向)、マッケンジー法による治療原則、体幹安定化運動の重要性、日常生活における姿勢指導。