温熱療法を避けるべき疾患はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
視神経脊髄炎(NMOSD)は、多発性硬化症と同様に脱髄性疾患であり、体温が上昇すると神経症状が悪化するUthoff現象(ウートフ現象)が起こりやすいとされています。温熱療法は体温を上昇させる作用があるため、この現象により症状悪化のリスクが高く、避けるべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. 多発性筋炎は炎症性の筋疾患ですが、急性期を過ぎた慢性期や非活動期においては、筋の疼痛緩和や柔軟性改善のために温熱療法が適用されることがあります。炎症が強い急性期は慎重に対応しますが、一般的に温熱療法が絶対的な禁忌となる疾患ではありません。正しくは:活動性の高い急性期を除けば、温熱療法が適応となることがあります。選びやすい理由:「炎症性疾患」という分類から、温熱療法が炎症を悪化させると誤解し、一律に禁忌と判断してしまう可能性があります。混同注意:急性期の炎症性疾患(例えば急性関節炎など)では温熱療法が禁忌とされるため、多発性筋炎の慢性期や非活動期の適応と混同しやすいです。
- 2. Parkinson病は進行性の神経変性疾患ですが、温熱療法は筋の固縮や関節の可動域制限を緩和し、リラクゼーションを促す目的で用いられることがあります。温熱療法自体が禁忌となることはありません。正しくは:筋の固縮や関節拘縮の緩和を目的として温熱療法が適用されることがあります。選びやすい理由:神経疾患であるため、温熱療法が何らかの悪影響を及ぼすのではないかという懸念から、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:多発性硬化症など、体温上昇によって症状が悪化する特定の神経疾患と混同する可能性があります。
- 3. 正解。視神経脊髄炎(NMOSD)は、多発性硬化症と同様に脱髄性疾患であり、体温が上昇すると神経症状が悪化するUthoff現象(ウートフ現象)が起こりやすいとされています。温熱療法は体温を上昇させる作用があるため、症状を悪化させるリスクがあり、避けるべきです。
- 4. 亜急性連合性脊髄変性症は、ビタミンB12欠乏により脊髄の白質が変性する疾患です。この疾患に対して温熱療法が直接的な禁忌となることはなく、むしろ対症療法として筋の緊張緩和などに用いられる可能性があります。正しくは:温熱療法が直接的な禁忌となることはなく、症状に応じたリハビリテーションで適用されることがあります。選びやすい理由:脊髄の変性疾患であることから、神経への影響を考慮して温熱療法を避けるべきだと判断してしまう可能性があります。混同注意:他の神経疾患で温熱療法が禁忌となるケース(例:多発性硬化症の急性増悪期)と混同しやすいです。
- 5. Charcot-Marie-Tooth病(CMT病)は遺伝性の末梢神経疾患ですが、温熱療法が禁忌となることはありません。筋の疼痛緩和や関節拘縮の予防・改善を目的として、リハビリテーションの一環として温熱療法が用いられることがあります。正しくは:温熱療法は、症状緩和やリハビリテーションの補助として適用されることがあります。選びやすい理由:末梢神経に障害がある疾患であるため、温熱療法が神経に悪影響を及ぼすのではないかと誤解してしまう可能性があります。混同注意:末梢神経の急性炎症性疾患(例:ギラン・バレー症候群の急性期)や、特定の神経障害による感覚障害(熱感の鈍麻など)と混同しやすいです。
国試ポイント
温熱療法の禁忌と適応に関する知識、特にUthoff現象を呈する疾患(多発性硬化症や視神経脊髄炎)の理解度が問われる問題です。各疾患の病態生理と、それに対する物理療法の効果・危険性を正確に結びつける能力が重要となります。
混同注意
温熱療法が一般的な禁忌となる病態(例:急性炎症、悪性腫瘍、出血傾向、重度の循環器疾患など)と、Uthoff現象のように体温上昇自体が症状悪化因子となる特定の疾患(主に脱髄性疾患)を混同しやすいです。また、炎症性疾患でも急性期と慢性期での温熱療法の適応が異なる点も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず温熱療法が「禁忌」となる一般的な病態(急性炎症、悪性腫瘍など)を想起し、次に「体温上昇によって症状が悪化する」という特殊な病態(特に脱髄性疾患)を呈する疾患がないかという視点で選択肢を検討することが重要です。
関連知識
Uthoff現象(ウートフ現象)のメカニズム、多発性硬化症および視神経脊髄炎の病態生理、温熱療法の生理作用と治療効果、各種神経筋疾患における理学療法プログラムの原則と禁忌事項。