病巣と症状の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
歯状核は小脳の主要な深部核であり、小脳は運動の協調性、バランス、姿勢制御に重要な役割を果たします。そのため、歯状核の病変は典型的に協調運動障害(運動失調)を引き起こします。
選択肢ごとの解説
- 1. 延髄背外側症候群(ワレンベルグ症候群)では、顔面や体幹・四肢の同側または対側の感覚障害、めまい、嚥下障害、構音障害などが主症状であり、片麻痺は典型的ではありません。正しくは:延髄の背外側病変 → めまい、嚥下障害選びやすい理由:脳幹部の病変であるため、様々な神経症状が出現しやすく、片麻痺も起こりうると考えてしまう可能性があります。混同注意:脳卒中による皮質脊髄路の障害で生じる片麻痺と混同しやすいです。延髄背外側症候群の主要症状を正確に覚えていないと誤りやすいでしょう。
- 2. 内包前脚は主に皮質橋路や前視床放射などを通過する運動線維が走行しており、感覚線維はほとんど通りません。感覚線維は主に内包後脚を通過します。正しくは:内包前脚の病変 → 運動障害選びやすい理由:内包は脳の主要な神経線維が集中しているため、感覚・運動両方の障害が起こりやすいと考えてしまいがちです。混同注意:内包後脚(感覚障害が主)や内包膝(顔面支配の運動障害が主)と混同しやすいです。内包の各部位を通過する神経線維の種類を正確に理解しておく必要があります。
- 3. 半側空間無視は、主に頭頂葉(特に右半球の右下頭頂小葉、縁上回、角回)の病変で出現しやすい症状です。前頭葉の病変では、実行機能障害や人格変化、失語などが典型的です。正しくは:頭頂葉の病変 → 半側空間無視選びやすい理由:前頭葉も高次脳機能に関わるため、認知機能障害の一種である半側空間無視も起こりうると考えてしまう可能性があります。混同注意:前頭葉機能(実行機能、注意、記憶)と頭頂葉機能(空間認知、身体図式)の混同。半側空間無視が最も強く関連するのは頭頂葉であることを認識しておく必要があります。
- 4. 正解。歯状核は小脳深部核の一つであり、小脳の主要な出力核です。小脳は運動の協調性、バランス、姿勢制御などを司るため、歯状核の損傷は協調運動障害(運動失調)を引き起こします。選びやすい理由:この選択肢は直接的で正解と判断しやすいです。混同注意:小脳の他の部位(例えば小脳虫部や半球)の機能と混同する可能性もゼロではありませんが、歯状核が小脳の協調運動制御における重要な役割を担っていることは明確です。
- 5. 視床は感覚の中継核であり、意識、覚醒、情動などに関与しますが、直接的な嚥下機能の制御には関与しません。嚥下障害は主に脳幹(延髄、橋)や皮質嚥下野の病変で生じます。正しくは:脳幹(延髄、橋)の病変 → 嚥下障害選びやすい理由:視床は脳の中心部に位置するため、様々な症状に関与すると考えてしまいがちです。また、脳血管障害が視床に生じると他の部位にも影響が及ぶ可能性を考慮し、間接的に嚥下障害が起こりうると考えることもできます。混同注意:視床痛や視床性失語など、視床の他の機能障害と混同しやすいです。嚥下中枢が脳幹にあることを正確に覚えておく必要があります。
国試ポイント
脳の各部位の解剖と機能、特に主要な中枢神経系疾患における典型的な症状との関連性を正確に理解しているかを問う問題です。特定の症候群や経路の知識も必要とされます。
混同注意
脳の各部位の機能は広範であり、一つの部位の障害が複数の症状を引き起こすこともあります。しかし、国試では最も典型的な、あるいは特異的な組み合わせを問われることが多いです。特に、内包の各部位、脳幹各部の症候群、大脳皮質の各葉の機能などは混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、主要な脳の部位(大脳皮質各葉、小脳、脳幹、基底核、視床、内包など)と、それらの代表的な機能および主要な症候群の典型症状との組み合わせが正しく理解できているかを問う問題に注意すること。特に、それぞれの部位が担当する機能の『核』となる部分を正確に押さえることが重要です。
関連知識
小脳の機能(運動協調、平衡、筋緊張調節)、小脳深部核(歯状核、栓状核、球状核、室頂核)の役割。延髄背外側症候群(ワレンベルグ症候群)の主要症状。内包の各部位(前脚、膝、後脚)を走行する主要な神経線維。半側空間無視の原因となる病巣部位(主に頭頂葉)。嚥下中枢の解剖学的知識。