17歳の男子。頸髄損傷。プールに飛び込んだ際に、頭部を底に打ちつけて受傷した。受傷8週後のMMT結果を表に示す。機能残存レベルはどれか。
| 右 | 左 | |
|---|---|---|
| 三角筋 | 4 | 4 |
| 上腕二頭筋 | 4 | 4 |
| 上腕三頭筋 | 2 | 2 |
| 橈側手根屈筋 | 1 | 2 |
| 長橈側手根伸筋 | 4 | 5 |
| 指伸筋 | 0 | 0 |

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
頸髄損傷における機能残存レベル(神経学的レベル)は、損傷の最も尾側で、MMT(徒手筋力テスト)が3以上を示すキーマッスルが存在するレベルと定義されます。この症例では、左右ともに長橈側手根伸筋(C6のキーマッスル)のMMTが3以上(右4、左5)であり、その尾側のC7キーマッスルである上腕三頭筋(MMT右2、左2)と、C8キーマッスルである指伸筋(MMT右0、左0)のMMTが3未満であることから、機能残存レベルはC6と判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. C4のキーマッスルは僧帽筋上部線維や横隔膜であり、問題文には記載がありません。また、C5のキーマッスルである上腕二頭筋のMMTは4なので、C4は最も尾側でMMT3以上のキーマッスルとは言えません。選びやすい理由:C4レベルの損傷は四肢麻痺が重度であり、頸髄損傷の重症度を過剰に評価してしまう可能性があります。混同注意:C4のキーマッスルと、その下のレベルのキーマッスルとの混同。また、重症度と機能残存レベルの定義の混同。
- 2. C5のキーマッスルである上腕二頭筋はMMTが左右ともに4であり、3以上ですが、さらに尾側のC6のキーマッスルである長橈側手根伸筋もMMTが左右ともに3以上(右4、左5)であるため、C5は機能残存レベルの定義を満たしません。選びやすい理由:上腕二頭筋のMMTが高いことから、そのレベルを機能残存レベルと誤解する可能性があります。混同注意:C5のキーマッスルとC6のキーマッスルとの混同。機能残存レベルの「最も尾側」という定義の理解不足。
- 3. 正解。C6のキーマッスルである長橈側手根伸筋のMMTは、右4、左5と左右ともに3以上です。その尾側のC7のキーマッスルである上腕三頭筋のMMTは、右2、左2と左右ともに3未満であるため、定義により機能残存レベルはC6となります。
- 4. C7のキーマッスルである上腕三頭筋のMMTは、右2、左2と左右ともに3未満であるため、C7は機能残存レベルの定義を満たしません。選びやすい理由:頸髄損傷のレベルを少し下に見積もることで、C7が選択肢として魅力的に映るかもしれません。しかし、MMTの値が定義を満たしません。混同注意:C7のキーマッスルと、その上のレベルのキーマッスルとの混同。機能残存レベルの定義の理解不足。
- 5. C8のキーマッスルである指伸筋のMMTは、右0、左0と左右ともに3未満であるため、C8は機能残存レベルの定義を満たしません。選びやすい理由:指伸筋のMMTが0であることを見落とし、C8レベルの損傷であると誤認する可能性があります。混同注意:C8のキーマッスルと、その上のレベルのキーマッスルとの混同。機能残存レベルの定義の理解不足。
国試ポイント
頸髄損傷の機能残存レベルの判定方法(最も尾側でMMT3以上のキーマッスル)と、各神経レベルのキーマッスルを覚えることが重要です。
混同注意
機能残存レベルは「最も尾側でMMT3以上のキーマッスルが存在するレベル」であり、MMTが5の筋がある最上位のレベルではない点に注意が必要です。また、完全麻痺と不全麻痺の区別も重要ですが、この問題ではレベル判定に焦点が当てられています。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず各選択肢のキーマッスルを思い出し、症例のMMT結果でMMT3以上の筋の中で最も尾側に位置するキーマッスルを特定します。そのキーマッスルの支配神経レベルが機能残存レベルとなります。
関連知識
・C5:上腕二頭筋(肘関節屈曲) ・C6:長橈側手根伸筋(手関節背屈) ・C7:上腕三頭筋(肘関節伸展) ・C8:指伸筋(示指伸展) ・T1:小指外転筋 これらのキーマッスルと、それぞれの支配神経レベルをセットで覚えることが求められます。