部分損傷をきたした靱帯と強化すべき筋の組合せで適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
前距腓靭帯は足関節の外側安定化に重要な靭帯であり、特に底屈・内反位での損傷が多いです。長腓骨筋は足関節を底屈・外反させる作用があり、内反ストレス時に外反力を発生させることで、前距腓靭帯への負担を軽減し、その機能を補完・補強する役割を果たします。そのため、前距腓靭帯の損傷後には長腓骨筋の強化が重要となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 二分靭帯の損傷は足根洞症候群と関連が深く、安定化には主に足部の内在筋や、場合によっては長母趾屈筋などが考慮されます。後脛骨筋は内返し作用やアーチの支持に関与しますが、二分靭帯と直接的な補強関係は薄いです。正しくは:二分靭帯の補強は特定の単一の筋肉というより、足部全体の安定性向上や固有受容感覚の改善が重要です。足底内在筋群の強化やバランス訓練が有効です。選びやすい理由:足部靭帯損傷と聞くと、後脛骨筋が足部の安定化に重要であるため、関連があるように感じられるかもしれません。混同注意:足関節の一般的な安定化筋と、特定の靭帯の補強筋とを混同しやすいです。
- 2. 三角靭帯は足関節の内側を安定させる靭帯で、主に外反・外旋ストレスに抵抗します。短腓骨筋は足関節の外側を通る筋肉で、主に足関節の背屈と外返し作用を持ち、内側の安定化には直接関与しません。むしろ、外側靭帯の補強に作用します。正しくは:三角靭帯を補強するためには、後脛骨筋や長趾屈筋、長母趾屈筋など、内側の安定化に関わる筋肉の強化が適切です。選びやすい理由:足関節の靭帯損傷と腓骨筋の組み合わせは一般的であるため、漠然と正しい選択肢に見えるかもしれません。混同注意:足関節の内側安定化機構と外側安定化機構を混同している可能性があります。
- 3. 前脛腓靭帯は下腿遠位の脛骨と腓骨を結び、足関節の安定性に寄与します。前脛骨筋は足関節の背屈と内反作用を持つ筋肉であり、前脛腓靭帯とは直接的な補強関係はありません。前脛腓靭帯は主に脛腓関節の安定に関与します。正しくは:前脛腓靭帯の損傷に対しては、下腿三頭筋(特にヒラメ筋)の強化や、固有受容感覚の改善、バランス訓練などが考慮されます。選びやすい理由:「脛」の文字が入っているため、関連があるように思えるかもしれません。混同注意:足関節周囲の筋肉の作用と、特定の靭帯の安定化作用との関連性を混同しやすいです。
- 4. 正解。前距腓靭帯は足関節外側靭帯群の一つで、足関節の底屈・内反位での安定性に最も重要です。長腓骨筋は足関節の底屈・外返し作用を持ち、特に内反ストレス時に足関節を外反させることで、前距腓靭帯への負担を軽減し、その補強に効果を発揮します。正しくは:この組み合わせは適切です。選びやすい理由:他の選択肢が明らかに不適切なため、消去法で正答にたどり着きやすいです。
- 5. リスフラン靭帯は足のアーチ構造を支持する重要な靭帯で、中足部(足根中足関節)の安定化に深く関与します。下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)は足関節の底屈に関わる筋肉であり、リスフラン関節の直接的な安定化には関与しません。リスフラン関節の安定化には足部内在筋や後脛骨筋などがより重要です。正しくは:リスフラン靭帯の補強には、後脛骨筋や足底内在筋群の強化、特に荷重位でのアーチ支持能力の向上が適切です。選びやすい理由:下腿三頭筋は足関節の機能において非常に重要な筋肉であるため、足部の損傷全般に関連していると思われがちです。混同注意:足関節の主要な動きに関わる筋肉と、足部の特定部位の安定化に関わる筋肉とを混同しやすいです。
国試ポイント
足関節周囲の主要な靭帯と、それらを動的安定化させる主要な筋肉の組み合わせを理解しているかどうかが問われる問題です。特に、靭帯損傷後のリハビリテーションにおける筋力強化の原則が重要になります。
混同注意
足関節の多くの靭帯や筋肉が登場するため、それぞれの位置関係や作用を正確に把握していないと混乱しやすいです。特に、内側と外側の安定化機構を混同したり、一般的な足関節の動きに関わる筋肉と特定の靭帯を補強する筋肉を混同したりすることがあります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の足関節靭帯(例:三角靭帯、踵腓靭帯)とそれを補強する筋(例:後脛骨筋、長趾屈筋、短腓骨筋)の組み合わせや、膝関節の靭帯(例:前十字靭帯)とそれに協調する筋(例:ハムストリングス)の組み合わせなど、関連する他の関節の動的安定化機構について問われる可能性があります。
関連知識
足関節の外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)、内側靭帯(三角靭帯)、脛腓靭帯。足関節の外反筋(長腓骨筋、短腓骨筋)、内反筋(前脛骨筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋)。足関節捻挫の病態とリハビリテーション。