関節リウマチの症状と理学療法の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
関節リウマチは、全身の関節に炎症を引き起こす自己免疫疾患であり、特に環軸関節は不安定になりやすく、亜脱臼を起こすことがあります。環軸関節亜脱臼がある状態で頸椎が前屈すると、脊髄が圧迫され、四肢麻痺などの重篤な神経症状を招く可能性があります。そのため、頸椎前屈を避ける姿勢指導は、脊髄損傷を予防する上で極めて重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 関節炎による炎症や疼痛が強い時期に、無理な持続伸張運動を行うと、炎症を悪化させたり、関節を損傷したりするリスクがあります。急性期は安静や関節保護が優先されます。正しくは:急性期の疼痛に対しては、安静、冷却、炎症を抑制する薬物療法、軽度な自動運動による関節可動域維持などが適切です。疼痛が軽減し、炎症が落ち着いてから、慎重に関節可動域運動や筋力強化を行います。選びやすい理由:関節の柔軟性向上には伸張運動が有効という一般知識があるため、選びやすいかもしれません。混同注意:炎症期と慢性期の運動療法の使い分け、または関節保護の重要性と混同しやすいです。
- 2. 超音波療法は、主に組織の温熱効果や非温熱効果(微細振動)を利用し、軟部組織の炎症緩和や血行促進、組織修復を目的とします。既に生じた骨や関節の不可逆的な変形を直接改善する効果はありません。正しくは:手指の変形に対する理学療法としては、関節保護指導、装具による変形進行予防や疼痛緩和、関節可動域維持運動、ADL訓練などが挙げられます。選びやすい理由:超音波療法が物理療法の一種であるため、何らかの症状に効果があると考えてしまいがちです。混同注意:炎症による疼痛緩和や軟部組織の拘縮予防と、骨関節の構造的変形の改善効果を混同しやすいです。
- 3. 短下肢装具は足関節の動揺性や下腿全体の支持性を高める目的で使用されることが多く、主に足関節や足部の安定化に寄与します。外反母趾は足趾の変形であり、主に足底板や母趾外転装具、インソールなどが用いられます。金属支柱付き短下肢装具は、外反母趾の直接的な治療には一般的ではありません。正しくは:足の外反母趾に対しては、主に足底板、趾間パット、夜間用などの外反母趾用装具、または手術後の保護や矯正目的の装具が選択されます。選びやすい理由:「装具」という言葉から、関節の変形に対して有効であると誤解しやすいです。混同注意:下肢全体の機能不全に対する装具と、足趾の局所的な変形に対する装具の使い分けを混同しやすいです。
- 4. 膝関節の外反変形(X脚)は、膝関節の外側にストレスがかかり、内側に開くような変形です。外側ウェッジインソールは、通常、O脚(内反変形)に対して、膝関節の内側にかかる荷重を軽減するために使用されます。外反変形の場合は、内側にウェッジを挿入し、膝関節の外側への負荷を軽減する必要があります。正しくは:膝関節の外反変形に対しては、内側ウェッジインソール(内側を持ち上げる)や、足底板で足部の過回内を矯正することで、膝への負担を軽減します。選びやすい理由:インソールによる荷重調整は理学療法の知識としてあるため、誤って選択しやすいです。混同注意:膝関節の内反変形(O脚)と外反変形(X脚)に対するウェッジインソールの選択を混同しやすいです。
- 5. 正解。関節リウマチの患者さんでは、環軸関節(第1頸椎と第2頸椎の間)の破壊により亜脱臼が生じやすく、特に頸椎の前屈は脊髄を圧迫し、重篤な神経症状を引き起こす危険性があります。そのため、頸椎前屈位の回避は、脊髄損傷を予防するための重要な指導です。
国試ポイント
関節リウマチの病態生理、特に環軸関節病変の危険性と、それに対する理学療法の禁忌事項や注意点に関する知識が問われています。各選択肢は、関節リウマチの症状と、それに対する治療法が適切であるか、あるいは禁忌・誤りであるかを判断する能力を評価しています。
混同注意
各選択肢で提示される療法が、他の疾患や、同じ疾患の異なる病期には有効である可能性があるため、関節リウマチの特定の病態(特に炎症期や変形、脊椎病変など)における適応・禁忌を正確に理解しているかがポイントとなります。特に、装具やインソールの適応、運動療法の禁忌は混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合は、関節リウマチの合併症として特に重篤なもの(呼吸器合併症、心血管系合併症、骨粗鬆症、神経合併症など)と、それに対する理学療法の注意点や禁忌事項に注目して選択肢を検討してください。また、疾患の活動期と寛解期での治療方針の違いも重要です。
関連知識
関節リウマチにおける頸椎病変(環軸関節亜脱臼、大後頭孔圧迫)、脊髄症状(四肢麻痺、感覚障害)、装具療法(足底板、サポーター、短下肢装具の適応)、物理療法(超音波、温熱、冷却の適応と禁忌)、運動療法(急性期と慢性期の使い分け、ROM制限、筋力低下への対応)。