左小脳半球梗塞で生じやすい症状はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
小脳は平衡機能、運動協調性、筋緊張の調節、眼球運動、そして構音機能に関与しています。特に小脳半球の病変では、同側の運動失調や協調運動障害に加え、構音障害(小脳性構音障害、断綴性構音)が典型的な症状として現れます。構音障害は、発話に必要な舌、口唇、咽頭、喉頭の筋肉運動の協調性が障害されることで生じます。
選択肢ごとの解説
- 1. 感覚障害は一般的に大脳皮質や視床、脊髄の病変で生じます。小脳は運動協調性に関わるため、感覚の直接的な障害は通常引き起こしません。正しくは:感覚障害は大脳病変で、対側(右半身)に現れることが多いです。小脳病変では直接的な感覚障害は稀です。選びやすい理由:脳の障害=感覚障害、という安易な連想をしてしまうかもしれません。しかし、脳の部位によって担当する機能が異なります。混同注意:大脳皮質の体性感覚野の機能と混同しやすいです。
- 2. 小脳半球の病変によって運動失調が生じる場合、同側の肢体(左小脳半球なら左上下肢)に現れるのが一般的です。小脳の機能は基本的に同側支配です。正しくは:小脳半球の病変による運動失調は、通常、病変と同側の肢体に現れます。したがって、左小脳半球梗塞では左上下肢の運動失調が生じやすいです。選びやすい理由:多くの大脳病変では対側症状が出るため、「右」という選択肢に引きずられやすいですが、小脳は同側支配です。混同注意:大脳皮質の病変による対側症状と混同しやすいです。
- 3. 麻痺は主に錐体路(運動皮質から脊髄へ下行する神経路)の障害によって引き起こされます。小脳は運動の協調や調整に関与しますが、直接的な麻痺(筋力低下)を引き起こすことはありません。正しくは:麻痺は大脳皮質運動野や錐体路の障害で、対側に生じやすいです。小脳病変では麻痺ではなく、失調が特徴です。選びやすい理由:「脳の障害=麻痺」という一般的な認識があるため、誤って選んでしまう可能性があります。しかし、小脳は運動の質を調整する部位です。混同注意:大脳皮質の運動野の機能と混同しやすいです。
- 4. 聴覚に関わる主な脳部位は、脳幹の聴覚路や側頭葉の聴覚野です。小脳は聴覚機能に直接関与しないため、小脳梗塞で聴覚障害が生じることは稀です。正しくは:聴覚障害は脳幹や側頭葉の障害で生じます。小脳病変とは直接関連がありません。選びやすい理由:脳全体の機能低下として感覚器の障害を連想するかもしれませんが、特定の機能は特定の部位と関連します。混同注意:脳幹や大脳皮質側頭葉の聴覚野の機能と混同しやすいです。
- 5. 正解。小脳は発声器官の筋肉運動の協調性を調整する役割を担っています。小脳半球の障害により、構音運動の協調性が失われ、言葉が不明瞭になる構音障害(小脳性構音障害、断綴性構音など)が生じやすいため、これは左小脳半球梗塞で典型的に見られる症状の一つです。
国試ポイント
小脳の機能、特に小脳半球の病変による症状(同側性失調、構音障害など)を正確に理解しているかが問われています。脳の各部位の機能局在を区別できるかが重要です。特に大脳皮質病変による対側症状との違いに注意が必要です。
混同注意
大脳半球の病変による症状(対側性の麻痺や感覚障害)や、脳幹病変による多岐にわたる症状と混同しやすいです。小脳の機能は同側支配である点を理解しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の論点が出題された場合、小脳病変の種類(虫部か半球か)による症状の違い、または小脳疾患と鑑別すべき他の神経疾患の症状(例:大脳皮質損傷、脳幹損傷、脊髄損傷など)について問われる可能性があります。
関連知識
小脳の主な機能:運動の協調・調節、平衡機能、筋緊張の調節、眼球運動の制御、運動学習。小脳失調の種類:体幹失調(小脳虫部病変)、四肢失調(小脳半球病変)、構音障害、眼振。小脳の神経支配は同側性であり、大脳皮質の対側支配と対比されます。