多発性筋炎にみられる所見はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
多発性筋炎は筋線維の炎症と破壊を伴う疾患であり、筋細胞の膜障害により筋細胞内の酵素であるクレアチンキナーゼ(CK)が血中に漏出し、血清CK値が顕著に上昇します。これは多発性筋炎の活動性を示す重要な指標であり、診断に不可欠な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 蝶形紅斑は全身性エリテマトーデス(SLE)に特徴的な皮膚症状であり、多発性筋炎では通常認められません。多発性筋炎では、ヘリオトロープ疹(眼瞼の紫紅色浮腫性紅斑)やゴットロン徴候(手指関節背側の紅斑)などが特徴的な皮膚症状として現れます。正しくは:「ヘリオトロープ疹またはゴットロン徴候」選びやすい理由:自己免疫疾患という共通点から、他の自己免疫疾患の代表的な症状と混同されやすいです。混同注意:全身性エリテマトーデス(SLE)の皮膚症状と混同しやすいです。
- 2. 深部腱反射の亢進は、上位運動ニューロン障害(錐体路障害など)でみられる所見です。多発性筋炎は筋細胞自体の炎症と破壊が主体の疾患であり、神経系が直接障害されるわけではありません。そのため、深部腱反射は通常正常か、重症の筋力低下がある場合にはむしろ低下することがあります。正しくは:「深部腱反射は正常または低下」選びやすい理由:神経疾患と筋疾患の鑑別が不十分な場合、広範な神経筋疾患の症状の一つとして選びやすいです。混同注意:脳血管障害や脊髄損傷などによる上位運動ニューロン障害の所見と混同しやすいです。
- 3. 手袋靴下型感覚障害は、末梢神経障害(特に軸索変性型の感覚神経障害、例:糖尿病性神経障害、アルコール性神経障害など)で特徴的にみられる症状です。多発性筋炎は筋疾患であり、感覚神経が障害されることは稀であるため、通常、感覚障害は認められません。正しくは:「感覚障害は認めない」選びやすい理由:筋炎と神経炎を混同し、広範な神経・筋疾患の症状の一つとして選びやすいです。混同注意:糖尿病性神経障害、アルコール性神経障害、ギラン・バレー症候群などの末梢神経障害の所見と混同しやすいです。
- 4. 筋電図で高振幅電位波形がみられるのは、神経原性変化(例:筋萎縮性側索硬化症など、神経支配が失われた筋線維の再神経支配や残存筋線維の代償性肥大)の特徴です。多発性筋炎のような筋原性変化では、個々の筋線維の損傷や破壊により、低振幅・短持続・多相性電位波形(早期興奮電位)が特徴的に認められます。正しくは:「筋電図での低振幅・短持続・多相性電位波形」選びやすい理由:筋電図の所見が複雑で、神経原性変化と筋原性変化の区別が曖昧な場合に選びやすいです。混同注意:筋萎縮性側索硬化症や脊髄性筋萎縮症などの神経原性疾患の筋電図所見と混同しやすいです。
- 5. 正解。多発性筋炎は筋細胞の炎症と壊死を特徴とする疾患であり、筋細胞内に豊富に存在する酵素であるクレアチンキナーゼ(CK)が血中に逸脱することで、血清CK値が著しく上昇します。これは多発性筋炎の診断基準における主要な検査所見の一つです。
国試ポイント
多発性筋炎および皮膚筋炎の診断基準、主要な臨床症状(近位筋優位の筋力低下、嚥下障害、間質性肺炎、特異的皮疹など)、および検査所見(CK上昇、筋電図の筋原性変化、筋生検所見、自己抗体など)を正確に理解しているかが問われます。特に、神経原性疾患と筋原性疾患の鑑別が重要です。
混同注意
他の自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど)の症状、および神経原性疾患の症状や検査所見(筋電図、反射異常、感覚障害)と混同されやすいです。多発性筋炎は筋疾患であるため、神経症状は通常 primary ではありません。
次に同じ論点が出たら
この問題は多発性筋炎の基本的な検査所見を問うているため、次に類似の問題が出た場合、鑑別疾患として皮膚筋炎や、他の筋疾患(筋ジストロフィーなど)、あるいは神経筋接合部疾患(重症筋無力症など)の症状や検査所見、治療法との比較が問われる可能性があります。また、具体的な皮疹(ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候)や合併症(間質性肺炎、悪性腫瘍)について問われる可能性もあります。
関連知識
多発性筋炎と皮膚筋炎の鑑別診断、厚生労働省の診断基準。特異的自己抗体(抗Jo-1抗体、抗MDA5抗体など)と臨床病型との関連。筋生検での炎症細胞浸潤と筋線維の壊死・再生像。治療法(ステロイド、免疫抑制薬など)とその作用機序。