脊髄損傷の自律神経過反射でみられるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
脊髄損傷における自律神経過反射は、損傷部位以下の刺激に対して、交感神経系が過剰に反応することで生じます。この反応により、刺激部位より上位では代償性の血管拡張と発汗、下位では血管収縮が起こり、これらが複合的に作用して急激な高血圧を引き起こします。同時に、高血圧に対する反射として迷走神経が刺激され、徐脈がみられるのが典型的です。したがって、発汗と高血圧は主要な症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。脊髄損傷レベルより上位の皮膚での過剰な発汗は、自律神経過反射における交感神経系の過剰な興奮によって引き起こされる典型的な兆候です。
- 2. 誤り。自律神経過反射では、急激な高血圧に対する反射として迷走神経が興奮し、心拍数が減少する徐脈(bradycardia)がみられるのが一般的です。頻脈はまれです。正しくは:徐脈選びやすい理由:一般的なストレス反応として心拍数増加(頻脈)を連想しやすいため、交感神経の過剰な興奮と結びつけやすいですが、自律神経過反射の心臓への影響は徐脈が主です。混同注意:交感神経の過剰な興奮が常に頻脈につながると誤解することがあります。高血圧に対する心臓の反射的な反応を考慮する必要があります。
- 3. 正解。脊髄損傷レベルより下位の刺激が脊髄に達し、制御されない交感神経系の活動が起きることで、急激な高血圧が生じます。これは自律神経過反射の最も危険で重要な症状です。
- 4. 誤り。低血糖は血糖値の異常であり、自律神経過反射の直接的な症状としては通常みられません。正しくは:低血糖は自律神経過反射の症状ではない。選びやすい理由:自律神経が糖代謝にも関与することから、漠然と関連があるように感じてしまうかもしれません。混同注意:自律神経の幅広い機能と、自律神経過反射という特定の病態の症状を混同することがあります。
- 5. 誤り。疼痛(特に膀胱や腸の拡張、皮膚刺激など)は、自律神経過反射を『誘発する』原因となり得る刺激の一つですが、疼痛そのものが自律神経過反射の『症状』(身体の自律的な反応)として観察されるわけではありません。正しくは:疼痛は自律神経過反射の『誘因』である。選びやすい理由:疼痛がADの引き金になることを知っていると、それを症状の一つだと誤解しやすいです。混同注意:自律神経過反射の『誘因(トリガー)』と『症状(身体反応)』を混同する。
国試ポイント
自律神経過反射は脊髄損傷における緊急性の高い合併症であり、その主要な症状(高血圧、徐脈、発汗、皮膚蒼白/紅潮、悪心など)と対処法に関する知識が頻繁に問われます。特に、高血圧が最も重要な兆候であることを理解しておく必要があります。また、誘因となる刺激と症状を区別して理解することも重要です。
混同注意
自律神経過反射の心血管系の反応(高血圧に対する徐脈)と、一般的な交感神経興奮に伴う頻脈を混同しやすいです。また、誘因(例:疼痛、膀胱・直腸の充満)と症状(例:高血圧、発汗)を混同することもあります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、自律神経過反射の『主要な症状』は何であるかを明確に判断すること。特に、交感神経系の過剰な興奮によって生じるものと、それに対する反射性の反応を区別して考え、誘因と症状を混同しないように注意する。
関連知識
自律神経過反射の誘因(膀胱過伸展、直腸便塞栓、褥瘡、骨折、性的刺激など)、診断基準、そして緊急時の対処法(刺激の除去、体位変換、薬剤投与など)についても理解しておくことが重要です。特にT6以上の高位脊髄損傷患者に好発します。