摂食嚥下の際の運動で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
口蓋帆張筋は、軟口蓋を緊張させ、嚥下時に鼻腔への食塊逆流を防ぐ役割の一部を担います。食塊を咽頭に送り込む際に軟口蓋が挙上・緊張することで、鼻咽腔が閉鎖され、食塊が下方向へ適切に誘導されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 嚥下後の誤嚥を防ぐため、呼吸は呼気から再開されるのが生理的です。これにより、気道内の残存物を排除しやすくなります。正しくは:嚥下後の呼吸は、通常、呼気から再開されます。選びやすい理由:嚥下後の呼吸は自然に再開されるため、吸気から始まるのが自然だと誤解しやすい。混同注意:呼吸運動の通常のシーケンスと、嚥下後の特殊な呼吸調節が混同されやすい。
- 2. 口腔期の食塊の移動(咀嚼後の食塊を舌で咽頭に送る段階)は、意識的な随意運動によって行われます。反射運動は主に咽頭期以降に起こります。正しくは:口腔内の食塊は、主に意識的な随意運動によって咽頭へ送られます。選びやすい理由:嚥下全体を反射的なものと捉えがちで、口腔期の随意性が認識されていない場合。混同注意:嚥下反射(咽頭期)と口腔期における食塊の送り込みが混同されやすい。
- 3. 嚥下反射が起こると、気管を閉鎖し食道を広げるために、舌骨は上前方へ挙上します。これにより喉頭も引き上げられ、誤嚥を防ぎます。正しくは:嚥下反射が起こると、舌骨は上前方へ移動します。選びやすい理由:嚥下運動に伴う喉の動きが複雑なため、舌骨の正確な動きを誤解しやすい。混同注意:喉頭隆起の動きと舌骨の動き、または嚥下前後の喉の位置と混同されやすい。
- 4. 正解。口蓋帆張筋は軟口蓋(口蓋帆)を緊張させ、挙上する口蓋帆挙筋とともに嚥下時に鼻腔への逆流を防ぐ役割を果たします。食塊が咽頭に送り込まれる際に口蓋帆が挙上・緊張することで、咽頭を狭め食塊を押し込み、鼻咽腔閉鎖を助けます。選びやすい理由:この筋の主要な機能は耳管開口であり、嚥下における役割を認識していないと選びにくいかもしれない。混同注意:口蓋帆挙筋と口蓋帆張筋の役割が混同されやすい。口蓋帆挙筋は口蓋帆を挙上し鼻咽腔を閉鎖する主要な筋肉である一方、口蓋帆張筋も口蓋帆を緊張させ、挙上を補助する。
- 5. 輪状咽頭筋(下咽頭収縮筋の一部)は、通常は収縮して食道入口部を閉鎖しています。食塊が食道に入る直前に弛緩することで、食道への通過を許容します。収縮していると食塊の通過が阻害されます。正しくは:食塊の食道への送り込み時に輪状咽頭筋が弛緩します。選びやすい理由:嚥下運動全体が収縮によって進行すると誤解しやすい。また、特定の筋肉の機能が「収縮」と「弛緩」のどちらであるか混乱しやすい。混同注意:食道入口部を閉鎖する役割(普段は収縮)と、嚥下時の通過を許容する役割(嚥下時に弛緩)が混同されやすい。他の嚥下関連筋の収縮と混同されやすい。
国試ポイント
摂食嚥下運動の各相における主要な筋肉の機能と、それに伴う解剖学的構造(舌骨、軟口蓋など)の動きの理解が問われています。特に、誤嚥防止や食塊の適切な誘導に関わるメカニズムが重要視されます。各選択肢において、随意運動と反射運動の区別、筋の収縮と弛緩の正確な理解が求められます。
混同注意
嚥下の各段階(口腔期、咽頭期、食道期)における筋肉の役割、舌骨や喉頭の動き、そして呼吸との連携が複雑に絡み合っているため、これらが混同されやすいです。特に、輪状咽頭筋のように普段は収縮しているが嚥下時に弛緩する筋肉の機能は、誤解を招きやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、摂食嚥下関連筋の神経支配や、各筋が障害された場合の嚥下機能への影響、あるいは各相における具体的な問題点(例:口腔期の問題、咽頭期の問題)について問われる可能性があります。また、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)の所見と関連付けて問われることも考えられます。
関連知識
嚥下の生理学(口腔期、咽頭期、食道期)、各期の主要な筋肉群とその神経支配、嚥下時の喉頭挙上、舌骨の動き、軟口蓋の働き(鼻咽腔閉鎖)、輪状咽頭筋の機能。誤嚥予防のメカニズム。