疾患と頻度の多い症候との組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
多系統萎縮症は、パーキンソン症状、小脳症状、自律神経症状を主徴とする神経変性疾患です。自律神経障害が高頻度かつ早期に出現し、特に起立性低血圧は診断基準の一つとなるほど特徴的な症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. アルツハイマー病の主な症状は記憶障害や認知機能低下であり、羽ばたき振戦は一般的に見られません。正しくは:羽ばたき振戦は肝性脳症など代謝性疾患や小脳疾患で特徴的に見られる振戦です。アルツハイマー病では見られません。選びやすい理由:認知症に伴う運動機能の軽度な低下や不安定歩行などと混同しやすいかもしれませんが、特徴的な振戦ではありません。混同注意:本態性振戦やパーキンソン病の振戦など、他の振戦の種類と混同する可能性があります。
- 2. ハンチントン病の主な運動症状は舞踏運動(不随意で予測不能な素早い動き)です。線維束性収縮は、下位運動ニューロン障害で筋肉の線維が独立して収縮するもので、ハンチントン病では通常見られません。正しくは:線維束性収縮は筋萎縮性側索硬化症(ALS)で特徴的に見られる症状です。ハンチントン病の主な症状は舞踏運動です。選びやすい理由:どちらも神経変性疾患であり、運動症状を伴うため、知識が曖昧だと間違えやすいかもしれません。混同注意:舞踏病(舞踏運動)と線維束性収縮(ファシキュレーション)という異なる運動異常と混同しやすいです。
- 3. 多発性硬化症は中枢神経系の脱髄疾患であり、視覚障害、感覚障害、運動麻痺、失調、疲労などが主な症状です。舞踏運動は、ハンチントン病などで見られる不随意運動であり、多発性硬化症では一般的ではありません。正しくは:多発性硬化症では小脳病変による運動失調や企図振戦などが見られます。舞踏運動はハンチントン病の特徴的な症状です。選びやすい理由:多発性硬化症も運動失調など様々な神経症状を呈するため、不随意運動全般と結びつけてしまいがちです。混同注意:多発性硬化症における運動失調や振戦と、ハンチントン病の舞踏運動を混同しやすいです。
- 4. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は上位および下位運動ニューロンの障害により、筋力低下、筋萎縮、線維束性収縮が進行する疾患です。静止時振戦はパーキンソン病の主要症状であり、ALSでは通常見られません。正しくは:ALSでは静止時振戦は特徴的ではなく、筋力低下や線維束性収縮が主要症状です。静止時振戦はパーキンソン病の代表的な症状です。選びやすい理由:どちらも進行性の神経変性疾患であり、運動機能に大きな影響を与えるため、関連付けてしまいやすいかもしれません。混同注意:パーキンソン病の静止時振戦と、ALSで見られる線維束性収縮などの不随意運動ではない症状と混同しやすいです。
- 5. 正解。多系統萎縮症は、自律神経系、小脳、錐体外路系が障害される神経変性疾患です。自律神経障害が高頻度に見られ、その症状の一つとして起立性低血圧が非常に特徴的です。立ち上がった際に血圧が急激に低下し、めまいや失神を引き起こします。選びやすい理由:起立性低血圧は他の病態でも見られる症状のため、多系統萎縮症に特異的ではないと誤解するかもしれませんが、多系統萎縮症では特に高頻度かつ重篤に見られます。混同注意:パーキンソン病でも自律神経症状が見られることがありますが、多系統萎縮症ではより重度で早期から出現することが特徴です。
国試ポイント
神経疾患における代表的な症候と疾患の組み合わせを正確に理解しているかを問う問題です。特に、特徴的な運動症状や自律神経症状がどの疾患と強く関連するかを知っているかが重要です。各選択肢の誤りを見抜くためには、それぞれの疾患の主要な臨床像を把握しておく必要があります。
混同注意
各神経疾患の症状が多岐にわたるため、特徴的な症状と一般的な症状を混同しやすい。特に、振戦の種類(静止時振戦、企図振戦、羽ばたき振戦など)や不随意運動の種類(舞踏運動、アテトーゼ、ジストニアなど)を正確に識別することが求められます。また、自律神経症状が複数の疾患で見られるため、特に頻度が高い疾患を覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各疾患の診断基準に含まれるような「特徴的」な症状に注目し、一般的ではない症状や他の疾患に特異的な症状と混同しないよう注意する。特に、運動障害のタイプ(振戦、不随意運動、麻痺など)と自律神経障害の有無と重症度に着目する。
関連知識
パーキンソン病の四大症状(振戦、固縮、無動、姿勢反射障害)。ハンチントン病の舞踏運動。ALSの線維束性収縮、筋力低下、球麻痺。多発性硬化症の視神経炎、感覚障害、運動麻痺、小脳失調。肝性脳症の羽ばたき振戦。多系統萎縮症の小脳失調、パーキンソニズム、自律神経障害(起立性低血圧、排尿障害など)。