がん患者の緩和ケア病棟におけるリハビリテーションで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
がん患者の緩和ケア病棟におけるリハビリテーションでは、患者さんのQOL維持・向上を最優先とし、疼痛緩和や呼吸困難の改善など多岐にわたるアプローチを行います。特に骨転移がある場合は、病的骨折のリスクが高まるため、運動内容や体位に十分な配慮が必要です。温熱療法や呼吸介助は適応があれば実施可能であり、病名告知の有無はリハビリテーション実施の前提条件ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 緩和ケアにおけるリハビリテーションでは、患者さんのQOLの維持・向上を最優先します。機能回復はQOL向上の手段の一つに過ぎません。正しくは:機能回復を目標とする場合でも、QOLの維持・向上を最優先します。選びやすい理由:一般的なリハビリテーションでは機能回復が重視されるため、選んでしまいがちです。混同注意:急性期・回復期リハビリテーションの目標設定と混同しやすいです。
- 2. 肺がん患者であっても、呼吸困難の症状がある場合には、呼吸介助や呼吸理学療法は有効な手段となり得ます。禁忌ではありません。正しくは:肺がん患者に対しても、呼吸困難の緩和のために呼吸介助は有効な場合があります。選びやすい理由:がん病巣への刺激や、疼痛増悪を懸念して禁忌だと誤解する可能性があります。混同注意:がんの進行や病態によって治療内容が異なる点と混同しやすいですが、呼吸介助自体は禁忌ではありません。
- 3. がん性疼痛に対して、温熱療法は非薬物療法の一つとして疼痛緩和に有効な場合があります。ただし、出血傾向や感染、皮膚損傷がある部位、腫瘍部位への直接的な強い温熱刺激は避けるべきです。正しくは:がん性疼痛に対して、温熱療法は疼痛緩和に有効な場合がありますが、適応を慎重に判断する必要があります。選びやすい理由:腫瘍の増大や転移を助長するのではないかという誤解から、禁忌だと考えてしまうことがあります。混同注意:がん治療における温熱療法の適応や禁忌事項(例:腫瘍部への直接的な高熱)と、緩和ケアにおける疼痛緩和目的の温熱療法を混同しやすいです。
- 4. 患者さんの病名告知の有無は、リハビリテーション実施の前提条件ではありません。告知の状況に応じて、患者さんの理解度や心理状態に配慮したアプローチを行います。告知を受けていない患者さんにもリハビリテーションは必要です。正しくは:病名告知の有無に関わらず、患者さんの状態と意向に合わせて理学療法を実施します。選びやすい理由:医療従事者は患者の病態を共有すべきという考えから、告知も前提とすべきだと誤解するかもしれません。混同注意:インフォームド・コンセントの原則と、病名告知の事実を混同しやすいです。インフォームド・コンセントは、説明と同意に基づいて行われますが、その説明内容には告知されていない病名が含まれない場合もあります。
- 5. 正解。骨転移がある場合、病的骨折のリスクが高まるため、運動の強度や種類、体位変換などに細心の注意を払い、患者さんの安全を最優先したリハビリテーション計画を立てる必要があります。これは緩和ケアにおけるリハビリテーションの重要な配慮事項です。選びやすい理由:骨転移の有無は、がん患者のリハビリテーションにおいて非常に重要な情報であり、リハビリテーション内容の調整に直結するため、選びやすい選択肢です。混同注意:他の選択肢が明確な誤りであるため、消去法でも正答にたどり着きやすいでしょう。
国試ポイント
緩和ケアにおけるリハビリテーションの基本的な原則、特にがん患者特有の病態(骨転移など)への配慮が問われています。QOL優先、症状緩和の重要性、禁忌事項の正確な理解がポイントです。
混同注意
一般的な急性期・回復期リハビリテーションの考え方と緩和ケアのリハビリテーションの目標やアプローチの違い、およびがん患者に対する各治療法の禁忌事項に関する知識が混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、疼痛管理における非薬物療法の具体的な方法と適応、各部位への転移(脳転移、脊髄転移など)がある場合の理学療法上の注意点、および患者の心理状態への配慮に関する問題が出題される可能性があります。
関連知識
緩和ケアの定義と目的、がん性疼痛のマネジメント、病的骨折のリスク管理、呼吸リハビリテーションの適応、インフォームド・コンセントの原則。