慢性腎不全患者に対する運動療法として正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
慢性腎臓病患者に対する運動療法は、透析中や透析日に行うことが効果的であるとされています。これは、透析による疲労感の軽減、筋力維持、心肺機能改善、透析効率の向上などが期待できるためです。ただし、患者の全身状態や透析条件に合わせて運動内容や強度を調整することが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 激しい運動によって腎血流は一時的に減少することがあります。これは身体が筋肉への血流を優先するためです。正しくは:運動中は身体活動により筋肉への血流が優先され、腎血流は相対的に減少することがある。選びやすい理由:運動全般が健康に良いというイメージから、腎臓にも良い影響があると思われがち。混同注意:安静時の血流と運動時の血流の変化。全身の健康増進と腎臓への直接的な血流増加を混同しやすい。
- 2. 正解。透析中に運動を行うことで、筋力維持、心血管機能の改善、透析効率の向上などが期待され、推奨されています。ただし、個々の患者の状態に応じて内容や強度を調整する必要があります。
- 3. 運動療法は一般的に腎機能(糸球体濾過量など)を直接的に改善させる効果は期待できません。むしろ、残存腎機能の維持や悪化の抑制、合併症の予防が主な目的です。正しくは:運動療法は糸球体濾過量を直接的に改善させる効果は期待できないが、腎機能悪化の抑制や合併症予防に寄与する。選びやすい理由:運動が多くの疾患で改善効果をもたらすことから、腎機能自体も改善すると考えやすい。混同注意:腎機能の改善と、全身状態の改善や合併症予防効果を混同しやすい。また、糖尿病や高血圧などの原疾患が原因で腎機能が悪化している場合に、運動により原疾患が改善することで間接的に腎機能の悪化抑制に繋がる場合もあるため、直接的な機能改善と混同しやすい。
- 4. 腎不全による下肢浮腫は循環血液量過多や低アルブミン血症などが主な原因であり、起立訓練では根本的な改善は期待できません。むしろ、心臓への負担が増加する可能性もあり、医師の指示が必要です。正しくは:下肢浮腫の改善には、水分・塩分制限や利尿薬の調整、透析による除水管理などが主に用いられる。起立訓練は浮腫の根本治療にはならない。選びやすい理由:一般的に浮腫の改善に運動が良いというイメージや、立位保持による循環改善を期待して選びやすい。混同注意:リンパ浮腫や静脈うっ滞性浮腫など、他の種類の浮腫に対する治療法と混同しやすい。腎不全による浮腫の病態生理を理解しているか問われている。
- 5. 病期分類ステージ5(末期腎不全)では運動耐容能が著しく低下しており、5〜6 METsの運動は強度が高すぎます。低強度の運動から開始します。正しくは:病期分類ステージ5の症例には、個々の運動耐容能に応じた非常に低い強度(例:1~3 METs程度)から開始し、慎重に進める運動が適応となる。混同注意:METsの概念と、各ステージにおける適切な運動強度の理解を問われている。具体的な数値のイメージがつきにくいと、誤りを選びやすい。
国試ポイント
慢性腎臓病患者に対する運動療法の基本的な知識、特に運動実施のタイミング、目的、および不適切な運動強度や方法について問われる。病態生理に基づいた適切な判断ができるか、また他の疾患と混同せずに腎臓病特有の配慮を理解しているかがポイントとなる。
混同注意
腎機能の直接的な改善効果と、全身状態の維持・改善や合併症予防効果との混同。他の疾患(心疾患、整形外科疾患など)における運動療法の原則と、慢性腎臓病患者特有の配慮との混同。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、慢性腎臓病患者の運動療法の『禁忌事項』や『運動実施上の注意点(例:血圧管理、水分管理、シャント管理)』、『各ステージにおける具体的な運動処方例』について問われる可能性が高い。また、糖尿病性腎症など、特定の原疾患を持つ患者に特化した運動療法の知識も問われる可能性がある。
関連知識
慢性腎臓病の病期分類(CKDステージ)、運動耐容能評価、透析の種類と運動療法、腎不全の合併症(貧血、骨疾患、循環器疾患など)、METsの概念と運動強度設定。