下肢長の計測結果を示す。左右差の原因で最も考えられるのはどれか。なお、右下肢に関節可動域制限や変形はない。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下肢長の左右差の原因として、最も考えられるのは解剖学的下肢長を短縮させる要因です。股関節裂隙の狭小化は、股関節の変形性関節症などで大腿骨頭が寛骨臼に深く入り込むことで、上前腸骨棘から内果までの距離が短縮します。膝関節や足関節の裂隙狭小化も短縮に寄与する可能性はありますが、股関節に比べると影響は小さいです。また、膝関節や足関節の屈曲・底屈位拘縮は、機能的下肢長には影響を与えますが、解剖学的下肢長には直接的な影響を与えません。右下肢に問題がないと明記されているため、左下肢の短縮を来す要因が選択肢の中で最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。設問で右下肢には問題がないと明記されており、下肢長に左右差があることから、左下肢のどこかに原因があると考えられます。股関節裂隙の狭小化は、股関節の変形性関節症などで見られ、大腿骨頭が寛骨臼に入り込むことで下肢が短縮する主な原因となります。これにより、解剖学的下肢長(上前腸骨棘から内果まで)が短縮します。選びやすい理由:他の関節裂隙の狭小化も下肢長に影響を及ぼすように思えるが、股関節が最も影響が大きい。混同注意:膝や足関節の裂隙狭小化でも下肢長が短くなるのか、その影響度合いはどう違うのかが混乱しやすい。
- 2. 膝関節裂隙の狭小化は、脛骨と大腿骨の間の関節間距離が短くなることを指します。これにより、膝から下腿にかけての長さが短くなる可能性はありますが、下肢長全体(上前腸骨棘から内果まで)への影響は股関節の短縮に比べて小さいか、あるいは直接的な下肢長の短縮原因とはなりにくいです。特に股関節の異常と比較すると、優先順位は低いです。正しくは:膝関節裂隙の狭小化は、関節の機能や形態に影響を与えるが、下肢長の左右差の主要な原因としては考えにくい。選びやすい理由:関節の変形として考えられるため、短縮の原因となりそう。混同注意:股関節と膝関節のどちらの裂隙狭小化が下肢長に大きく影響するか、判断に迷う。
- 3. 足関節裂隙の狭小化は、脛骨と距骨の間の関節間距離が短くなることを指します。これは主に足部の問題であり、下腿長や下肢長全体(上前腸骨棘から内果まで)に与える影響は非常に小さいか、ほとんどないと考えられます。下肢の長さに左右差が生じる主要な原因とはなりえません。正しくは:足関節裂隙の狭小化は、下肢長の左右差の主要な原因とはならない。選びやすい理由:関節の変形であり、短縮に関与しそうに思える。混同注意:末端の関節でも下肢長全体に影響があるのか、その程度が不明瞭で迷う。
- 4. 膝関節が屈曲位で拘縮している場合、機能的な下肢長(重心移動や歩行時に地面に接する長さ)は短縮しますが、解剖学的な下肢長(上前腸骨棘から内果までの骨の長さ)は変わりません。本問は「下肢長」の計測結果を問うものであり、解剖学的下肢長に関する記述である可能性が高いです。したがって、この選択肢は直接的な下肢長の左右差の原因とはなりにくいです。正しくは:膝関節屈曲位拘縮は機能的下肢長を短縮させるが、解剖学的下肢長は変化させない。選びやすい理由:拘縮による短縮という表現から、下肢長が短くなるように感じられる。混同注意:機能的下肢長と解剖学的下肢長の違い、そしてどちらが問われているのかが不明瞭で迷う。
- 5. 足関節が底屈位で拘縮している場合、機能的には下肢が長くなったように見えたり(尖足の場合)、あるいは足関節が接地しにくくなるなどの問題が生じますが、解剖学的な下肢長(上前腸骨棘から内果までの骨の長さ)は変化しません。したがって、下肢長の左右差の直接的な原因とはなりません。正しくは:足関節底屈位拘縮は機能的下肢長に影響を与えるが、解剖学的下肢長は変化させない。選びやすい理由:足部の問題なので、下肢長に関係がありそうに見える。混同注意:足関節の拘縮が下肢長に与える影響について、方向性や種類(機能的か解剖学的か)が混同しやすい。
国試ポイント
下肢長の左右差を評価する際に、解剖学的下肢長と機能的下肢長を区別し、それぞれの短縮原因を理解しているかが問われます。特に、股関節変形による骨性短縮が下肢長差の主要な原因となることを知っておく必要があります。
混同注意
機能的下肢長と解剖学的下肢長の概念の混同。また、各関節の裂隙狭小化が下肢長に与える影響の度合い。
次に同じ論点が出たら
下肢長の左右差が認められた場合、まず骨性短縮の有無(股関節、大腿骨、脛骨の変形など)を確認し、次に機能的短縮(筋緊張、関節拘縮など)の有無を評価する。
関連知識
股関節変形性関節症、大腿骨頭壊死、膝関節変形性関節症、足関節変形性関節症、各関節の拘縮が下肢機能に与える影響。