ポストポリオ症候群で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ポストポリオ症候群は、ポリオ罹患後に長期経過した患者において、残存する運動神経細胞がさらに変性・脱落することで、運動単位の数が減少し、新たな筋力低下や疲労が生じる病態です。
選択肢ごとの解説
- 1. ポストポリオ症候群の患者は、関節痛や筋肉痛、疲労感などを頻繁に訴えます。むしろ痛みを伴うことが多いのが特徴の一つです。正しくは:痛みを伴うことが多い。選びやすい理由:一般的な感覚として「症候群」という言葉から漠然とした症状を想像し、痛みの程度が少ないと誤解する可能性がある。混同注意:初期のポリオ自体は急性期を過ぎると痛みが軽減することと混同するかもしれない。
- 2. ポストポリオ症候群は、小児期に急性灰白髄炎(ポリオ)を発症した人が、数十年経った後に現れる神経学的症状です。そのため、発症年齢は通常、中高年以降となります。正しくは:発症年齢は中高年以降が多い。選びやすい理由:ポリオそのものが小児期に罹患する疾患であるため、関連する症候群も小児期に発症すると誤解しやすい。混同注意:急性灰白髄炎(ポリオ)の罹患年齢と、ポストポリオ症候群の発症年齢を混同しやすい。
- 3. 正解。ポストポリオ症候群では、過去のポリオにより損傷を受けた運動ニューロンがさらに変性・脱落することで、残存する運動単位がさらに減少し、結果として筋力低下や疲労を来します。選びやすい理由:この選択肢は、ポストポリオ症候群の病態生理を正確に説明しているため、知識があれば正しく選択できる。
- 4. ポストポリオ症候群は、過去にポリオの臨床症状がなかった部位や、ポリオによる麻痺が軽度であった部位にも、新たな筋力低下や疲労感が出現することがあります。これは、既存の運動単位の疲弊や変性が全身的に影響するためです。正しくは:麻痺していない側や過去に麻痺が軽度だった部位にも新たな筋力低下が起こりうる。選びやすい理由:「麻痺側」という言葉に意識が向きやすく、麻痺していない側は影響を受けないと誤解しやすい。混同注意:ポリオの急性期の麻痺の分布と、ポストポリオ症候群で出現する症状の分布を混同しやすい。
- 5. ポストポリオ症候群の患者に対する筋力増強運動は、残存する運動単位を過度に疲弊させ、かえって症状を悪化させる危険性があります。そのため、低負荷・低頻度の運動や有酸素運動が推奨され、MMTレベルが低下した筋への過度な負荷は避けるべきです。正しくは:MMTレベル以下の新たな筋力低下に対しては、運動負荷を慎重に検討し、残存運動単位の疲弊を避けるような低負荷・低頻度の運動や有酸素運動を考慮する。選びやすい理由:一般的な疾患での筋力低下に対するリハビリテーションとして、筋力増強運動が有効であるという知識から、これを正しいと判断しやすい。混同注意:一般的な運動療法の原則と、ポストポリオ症候群の特殊な病態を混同しやすい。
国試ポイント
ポストポリオ症候群の基本的な病態、症状、およびリハビリテーションにおける注意点(特に運動負荷の原則)を理解しているかが問われています。一般的な筋力低下に対するアプローチとの違いを認識することが重要です。
混同注意
急性灰白髄炎(ポリオ)の急性期症状や、他の神経筋疾患との鑑別、および一般的な運動療法との混同。
次に同じ論点が出たら
今後、ポストポリオ症候群が出題される場合は、治療・介入方法(特に運動療法のリスクと適切な負荷)、診断基準、あるいは他の神経難病(筋萎縮性側索硬化症など)との比較論点が問われる可能性があります。
関連知識
ポリオウイルスの感染経路と病態、運動ニューロンの生理学、運動単位の概念、神経筋疾患のリハビリテーション原則、疲労のメカニズム。