工場生産労働者の腰痛対策として、産業理学療法の観点から優先度が低いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
産業理学療法士の役割は、労働者の身体機能や作業環境に焦点を当て、腰痛の予防や改善に貢献することです。作業姿勢や方法の評価・改善、ストレス軽減、生産性維持は、直接的または間接的に理学療法士が関与し、優先的に取り組むべき事項です。一方、職場の配置転換は、個人の職務内容やキャリア、組織全体の人事方針に関わるデリケートな問題であり、理学療法士が単独で、あるいは優先的に決定・推進する事項ではありません。まずは、理学療法の専門性を生かした環境改善や指導を優先すべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. 作業姿勢の評価は、腰痛の原因を特定し、改善策を講じる上で極めて重要です。不適切な姿勢が腰部への負担を増大させるため、予防の第一歩となります。正しくは:これは優先度が高いです。選びやすい理由:腰痛対策の基本として真っ先に思い浮かぶ項目であり、正しい選択肢だと感じやすいです。混同注意:腰痛対策の基本的な要素と誤認しやすいです。
- 2. 作業方法の変更は、物理的な負荷を軽減し、腰痛発生のリスクを減らすために非常に効果的です。例えば、持ち上げ方や運搬方法の改善などが含まれます。正しくは:これは優先度が高いです。選びやすい理由:人間工学に基づいたアプローチとして、非常に重要だと考えやすいです。混同注意:腰痛対策の直接的な介入策と誤認しやすいです。
- 3. 正解。職場の配置転換は、個人の能力や意欲、キャリアプランに大きく影響を与えるため、産業理学療法士が安易に、または優先的に介入すべき事項ではありません。これは組織人事や本人の同意を要する、より広範な問題です。理学療法士は、まず作業環境や方法の改善、運動指導など、個別の介入を優先します。選びやすい理由:腰痛の原因となる作業から離すことで、腰痛の軽減に繋がるように思えるため、有効な手段だと考えやすいです。混同注意:一時的な症状緩和と、根本的な職場環境改善の優先順位を混同しやすいです。また、理学療法士の専門性と人事権の範囲を混同しやすいです。
- 4. ストレスは腰痛の悪化要因となることが広く認識されています。ストレス管理は、心身の健康を維持し、腰痛を予防・改善するために重要な要素です。正しくは:これは優先度が高いです。選びやすい理由:心身医学的なアプローチとして、腰痛との関連性が近年注目されているため、重要だと感じやすいです。混同注意:身体的な要因だけでなく、心理的な要因も腰痛に影響を与えるという知識と結びつけて、有効な対策だと誤認しやすいです。
- 5. 産業理学療法は、労働者の健康を保護しつつ、その労働生産性を維持・向上させることを目標とします。腰痛対策を行う際も、生産性低下に繋がらないよう配慮することは不可欠です。正しくは:これは優先度が高いです。選びやすい理由:産業分野における理学療法の目標と直結する項目なので、非常に重要だと感じやすいです。混同注意:産業理学療法の最終的な目標の一つと、個別の介入手段の優先順位を混同しやすいです。
国試ポイント
産業理学療法士の役割と介入範囲、そしてその優先順位に関する理解が問われています。特に、専門職としての限界と、組織全体の問題との区別ができるかがポイントです。
混同注意
腰痛対策として効果があることと、理学療法士が優先的に介入すべきことの区別。労働者の健康と生産性のバランス。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合は、「理学療法士の専門性と責任範囲」がどこまでか、そして「組織全体の人事・経営判断」とどう区別するかを明確にする。また、介入の「直接性」と「間接性」の優先順位も考慮に入れる。
関連知識
産業保健活動における多職種連携(産業医、保健師、人事労務担当者)、人間工学、作業分析、ストレスマネジメント、職務適応(ジョブマッチング)。