筋萎縮性側索硬化症で下位運動ニューロン障害の徴候はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
線維束性収縮は、脊髄前角細胞などの下位運動ニューロンが障害され、脱神経が起きる過程で、残存する運動単位が自発的に収縮する現象です。これは下位運動ニューロン障害に特有の症状とされています。他の選択肢は上位運動ニューロン障害の徴候であるか、あるいは上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害の鑑別が必要な症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. 痙縮は上位運動ニューロン障害の代表的な症状であり、下位運動ニューロン障害では弛緩性麻痺が生じます。正しくは:弛緩性麻痺選びやすい理由:ALSでは上位と下位の両方の運動ニューロンが障害されるため、上位ニューロンの症状も出現しますが、この問題は「下位運動ニューロン障害の徴候」に限定しています。混同注意:上位運動ニューロン障害の症状と混同しやすいです。
- 2. 仮性球麻痺は上位運動ニューロンの障害によるもので、球麻痺(延髄の運動核や末梢神経の障害)とは異なります。正しくは:球麻痺(下位運動ニューロン障害によるもの)選びやすい理由:ALSの症状として嚥下障害や構音障害があるため、球麻痺との区別がつきにくいかもしれません。混同注意:球麻痺(真の球麻痺、下位運動ニューロン障害)と混同しやすいです。
- 3. 正解。線維束性収縮は、下位運動ニューロン(脊髄前角細胞など)の変性・脱落に伴い、残存する運動単位が過敏になり、自発的に不随意な収縮を起こす現象で、下位運動ニューロン障害の徴候です。選びやすい理由:他の選択肢が上位運動ニューロンの症状であるため、消去法でも選びやすいです。
- 4. 腹壁反射の消失は、錐体路(上位運動ニューロン)障害を示唆する徴候の一つです。正しくは:腹壁反射は正常、または低下選びやすい理由:反射の亢進や消失が混同されやすく、反射そのものが神経障害と結びつくため選択しやすいかもしれません。混同注意:反射の消失が上位運動ニューロン障害の徴候であることと混同しやすいです。
- 5. アキレス腱反射の亢進は、上位運動ニューロン障害によって抑制が解除されることで生じる腱反射の異常です。正しくは:アキレス腱反射低下または消失選びやすい理由:ALSでは上位・下位両方の徴候が見られるため、反射亢進も症状として現れますが、これは上位ニューロン障害によるものです。混同注意:下位運動ニューロン障害では腱反射は低下または消失します。
国試ポイント
筋萎縮性側索硬化症(ALS)における上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害の具体的な症状を区別できるかどうかが問われています。特に、両方の障害が合併して出現する疾患であるため、それぞれの障害に特有の症状を正確に理解しておくことが重要です。
混同注意
上位運動ニューロン障害による症状(痙縮、反射亢進、バビンスキー反射など)と、下位運動ニューロン障害による症状(筋萎縮、筋力低下、線維束性収縮、反射低下・消失など)が混同されやすいです。特にALSでは両者が混在するため、一つ一つの症状がどちらの障害に起因するかを正確に理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の神経変性疾患や脳血管障害など、上位・下位運動ニューロンのいずれか、または両方が障害される疾患群において、それぞれの障害に特有の症状を正確に識別できるかどうかが問われるでしょう。特に、特定の症状が上位・下位運動ニューロンのどちらに属するかの知識が求められます。
関連知識
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが進行性に変性する疾患です。上位運動ニューロン障害の徴候には、痙縮、腱反射亢進、病的反射(バビンスキー反射など)、仮性球麻痺などがあります。下位運動ニューロン障害の徴候には、筋力低下、筋萎縮、線維束性収縮、腱反射の低下・消失、球麻痺(真性球麻痺)などがあります。これらの症状を複合的に理解することが、ALSの病態把握に不可欠です。