36歳の男性。手にバスケットボールが当たって受傷した。来院時の手指の写真(別冊No. 3A)とエックス線単純写真(別冊No. 3B)とを別に示す。この病態として正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
提示された写真Aでは、手指の末節骨が屈曲したまま伸展できない状態が見られます。X線写真Bでは、末節骨基部の背側に剥離骨折が確認できます。これらの所見は、伸筋腱の断裂や末節骨への付着部における剥離骨折によりDIP関節の伸展が不可能となる「槌指(マレットフィンガー)」に典型的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。写真Aでは、末節骨のDIP関節が屈曲位にあり、伸展できない状態を示しています。X線写真Bでは、末節骨基部の背側に剥離骨折が確認できます。これらは槌指(マレットフィンガー)の典型的な所見であり、特に伸筋腱の断裂や剥離骨折が原因でDIP関節の伸展障害が生じます。正しくは:この選択肢は正しい記述です。選びやすい理由:他の指の病態と混同しやすいため、それぞれの特徴を正確に理解しておく必要があります。混同注意:他の骨折や腱の障害と混同されることがあります。
- 2. ばね指(弾発指)は、腱鞘炎によって指を曲げ伸ばしする際に引っかかりが生じ、最終的にロックされる病態です。画像所見や設問の状況(外傷)とは一致しません。主に手のひら側の腱鞘に炎症が起こります。正しくは:これは「ばね指」ではなく、外傷によるDIP関節の伸展障害です。選びやすい理由:指の動作に関わる疾患であるため、指の症状という点で関連性を感じやすいかもしれません。混同注意:指の曲げ伸ばしに関する症状という点で、混同される可能性があります。
- 3. ボクサー骨折は、第5中手骨頸部の骨折を指します。提示された画像では、中手骨ではなく指節骨の損傷が示唆されており、DIP関節の問題として現れています。正しくは:これは「ボクサー骨折」ではなく、指節骨とDIP関節の損傷です。選びやすい理由:手に生じる外傷性の骨折であるため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、部位が異なります。混同注意:手の骨折という点で関連性を感じやすいですが、損傷部位が明確に異なります。
- 4. ムチランス変形は、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患により、骨融解が進行し指が短縮・変形する病態です。外傷によって急性に生じるものではなく、画像所見とも異なります。正しくは:これは「ムチランス変形」ではなく、急性外傷によるものです。選びやすい理由:指の著しい変形を示す疾患であり、写真から変形を連想する可能性があります。混同注意:指の変形を伴う疾患という点で、混同されることがあります。
- 5. Bennett骨折は、第1中手骨基部の関節内骨折です。提示された画像では、親指ではなく他の指の末節骨に問題が見られ、損傷部位が明確に異なります。正しくは:これは「Bennett骨折」ではなく、親指以外の指の末節骨損傷です。選びやすい理由:手の骨折の一つであり、外傷性の指の疾患という点で関連性を感じやすいかもしれません。混同注意:手の主要な骨折の一つであり、外傷による骨折という点で混同される可能性がありますが、部位が特定されています。
国試ポイント
槌指(マレットフィンガー)の典型的な臨床所見(DIP関節の屈曲変形、自動伸展不能)とX線画像所見(末節骨基部の背側剥離骨折)を理解しているかが問われています。また、他の手の疾患や骨折との鑑別知識も重要です。
混同注意
他の手の骨折(ボクサー骨折、Bennett骨折)や、指の変形疾患(ばね指、ムチランス変形)と混同しやすいですが、それぞれ損傷部位や発症機序、画像所見が異なります。
次に同じ論点が出たら
この患者の治療方針として、初期固定の方法や、今後のリハビリテーション介入のポイントについて問われる可能性があります。
関連知識
槌指には、腱性マレット(伸筋腱断裂)と骨性マレット(剥離骨折)の2種類があります。治療法として、装具による固定(DIP関節過伸展位)、場合によっては手術(K-wire固定など)が選択されます。各疾患の好発部位、原因、症状、治療法をまとめて学習することが推奨されます。