45歳の男性。足底のしびれと疼痛を感じたため病院を受診した。足底に放散する痛みを自覚し、母指外転筋の筋萎縮を認めた。この患者の内果下方で陽性となる検査はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
足底のしびれと放散痛、母指外転筋の筋萎縮は、脛骨神経が足根管内で圧迫されることで生じる足根管症候群の典型的な症状です。足根管は内果の下方に位置し、この部位で神経が圧迫されている場合にTinel徴候が陽性となります。Tinel徴候は、神経の絞扼部位を叩打することで、その神経の支配領域に放散痛やしびれが生じる現象であり、神経絞扼性病変の診断に有用です。
選択肢ごとの解説
- 1. Silfverskiöldテストは、足関節の背屈制限の原因が腓腹筋短縮によるものか、または腓腹筋とヒラメ筋の両方の短縮によるものかを鑑別する検査です。本症例の症状(足底のしびれ、痛み、母指外転筋萎縮)とは関連性が低いです。正しくは:このテストは、足関節の背屈制限の原因を特定するために実施されます。選びやすい理由:下腿の筋に関するテストであるため、足部症状と関連があるように感じるかもしれませんが、症状の質が異なります。混同注意:足関節の可動域制限や下腿三頭筋の評価と混同しやすいです。
- 2. Single heel risingテスト(片脚踵上げテスト)は、主に後脛骨筋機能不全の評価に用いられます。後脛骨筋腱機能不全では、扁平足や足関節の内反・外反動揺性などが症状として現れることが多く、本症例の神経症状(しびれ、放散痛、筋萎縮)とは直接関係ありません。正しくは:このテストは、後脛骨筋の機能障害を評価するために行われます。選びやすい理由:足部の機能評価の一つですが、神経症状の特定には適していません。混同注意:足部の支持機能や筋力評価と混同しやすいです。
- 3. Thompsonテストは、アキレス腱断裂の有無を確認するための検査です。アキレス腱を圧迫した際に足関節の底屈が起こるか否かで判断します。本症例の神経学的症状(しびれ、放散痛、筋萎縮)とは直接関連がありません。正しくは:このテストは、アキレス腱の連続性を評価するために実施されます。選びやすい理由:下腿から足部にかけての損傷を疑う際に用いられるため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、症状の種類が異なります。混同注意:アキレス腱炎や他の腱損傷との鑑別と混同しやすいです。
- 4. 正解。Tinel徴候は、神経の走行に沿って神経が圧迫されている部位を叩打すると、その神経の支配領域に放散痛やしびれが生じる現象を指します。本症例では足底のしびれと放散痛、母指外転筋の筋萎縮があり、これは足根管症候群の典型的な症状です。足根管症候群では、内果の下方で脛骨神経が圧迫されるため、その部位を叩打するとTinel徴候が陽性となります。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:他の選択肢が足部・下腿の別の病態を評価するものであるため、神経症状に特化したTinel徴候が適切な選択肢となります。混同注意:神経の圧迫部位の特定に用いられる他の神経学的検査(例:SLRテストなど)と混同することがありますが、Tinel徴候は局所的な神経絞扼に特化しています。
- 5. Too many toes sign(多すぎる趾徴候)は、後方から足を見たときに、健常な側よりも患側の足の趾が外側にはみ出して多く見える現象です。これは主に後足部の外反変形や扁平足、特に後脛骨筋機能不全などで見られる所見であり、本症例の神経学的症状とは直接関連がありません。正しくは:この徴候は、足部の形態異常やアライメントの変化を評価するために用いられます。選びやすい理由:足部の視診で確認できるサインなので、足部の問題として選択肢になりやすいですが、神経症状を直接示唆するものではありません。混同注意:足部の変形やアライメント異常、特に扁平足との関連で混同しやすいです。
国試ポイント
本問題は、足根管症候群の主要な症状と、その診断に用いられる代表的な理学所見であるTinel徴候との関連性を理解しているかを問うものです。神経症状(しびれ、放散痛、筋萎縮)と身体所見の組み合わせで病態を特定し、適切な検査を選択できる能力が求められます。特に、脛骨神経の走行と支配領域、そしてTinel徴候の陽性部位が重要です。
混同注意
足底の痛みやしびれは様々な原因で起こるため、他の足部疾患(足底筋膜炎、モートン病、坐骨神経痛など)との鑑別が重要です。また、下腿や足部の他の腱や筋の機能評価を行うテスト(Silfverskiöldテスト、Single heel risingテスト、Thompsonテスト、Too many toes signなど)と混同しやすいですが、症状の性質(神経症状か、筋・腱・関節の機能障害か)に着目して区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、この論点が出題される場合は、足根管症候群の他の症状(例:夜間の痛み、運動時痛、進行すると錘骨の変形など)、画像診断(MRI、神経伝導速度検査)、あるいは治療法(保存療法、手術療法)に関する内容が問われる可能性があります。また、他の部位の神経絞扼性症候群(例:腓骨神経麻痺、手根管症候群)とその診断法(Tinel徴候など)との比較も考えられます。
関連知識
足根管症候群の病態生理、脛骨神経の解剖学的走行と支配領域(母指外転筋など)、足底の内側・外側足底神経への分枝、Tinel徴候のメカニズム、他の神経絞扼性症候群(手根管症候群など)でのTinel徴候の応用。また、足底筋膜炎やモートン病など、足底痛を呈する他の疾患の鑑別診断。