51歳の女性。突然の意識障害で急性期病院に搬入された。意識レベルはJCS Ⅲ-200。血圧182/102 mmHg。心拍数72/分。項部硬直は陽性。発症時の頭部CT(別冊No. 1)を別に示す。 この患者で疑う疾患はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
51歳女性の突然の意識障害と項部硬直陽性という臨床症状、および頭部CT画像で脳底部・脳溝・シルビウス裂に一致する高吸収域を認め、これは新鮮血の所見であるため、くも膜下出血と診断するのが適切である。脳動脈瘤破裂が原因であることが多く、生命に関わる緊急疾患である。
選択肢ごとの解説
- 1. 髄膜炎は炎症性疾患であり、CTでは脳溝の消失や脳室拡大、造影MRIで髄膜増強効果を認めることがあるが、本画像のような高吸収域は通常見られない。また、意識障害と項部硬直は共通するが、突然発症の経過や画像所見が異なる。正しくは:髄液検査で細胞数増加、タンパク増加、糖低下が見られる。選びやすい理由:項部硬直や意識障害が共通するため。しかし、髄膜炎は典型的には発熱を伴い、CT所見が異なる。混同注意:急性髄膜脳炎
- 2. 脳腫瘍であれば、CTで占拠性病変として描出され、周囲に浮腫を伴うことが多い。また、突然の意識障害よりも徐々に進行する神経症状を呈することが一般的である。本画像の所見とは異なる。正しくは:CTでは境界不明瞭な低吸収域から高吸収域、MRIで占拠性病変として描出される。選びやすい理由:意識障害が脳腫瘍によって引き起こされる可能性もゼロではないため。しかし、突然発症とCT所見が合致しない。混同注意:脳腫瘍による出血や脳浮腫
- 3. 脳膿瘍は感染性の占拠性病変であり、CTではリング状に造影される低吸収域として描出されることが多い。また、発熱や局所神経症状が主体となる。本画像の所見とは一致しない。正しくは:CTでは辺縁がリング状に造影される低吸収域として描出される。選びやすい理由:意識障害が感染症でも起こりうるため。しかし、画像所見が典型的ではない。混同注意:感染性疾患全般
- 4. 正解。CT画像では脳底槽、シルビウス裂、脳溝に沿って高吸収域が広範囲に認められる。これは新鮮な血液の貯留を示しており、問題文の「51歳の女性。突然の意識障害。項部硬直は陽性。」という症状と合わせて、くも膜下出血の典型的な所見である。選びやすい理由:画像所見と臨床症状が典型的であるため、迷う要素は少ない。混同注意:脳出血(ただし出血部位が異なる)
- 5. 急性硬膜下血腫は、硬膜とくも膜の間に血腫が形成される状態である。CTでは三日月状あるいは半月状の高吸収域として描出され、脳表に沿って広がる特徴がある。本画像では脳底槽や脳溝に高吸収域が認められるため、所見が異なる。正しくは:CTでは三日月状の高吸収域として描出される。選びやすい理由:意識障害の原因として頭蓋内出血を考える中で、硬膜下血腫も鑑別疾患になるため。しかし、画像上の出血部位と形状が異なる。混同注意:急性硬膜外血腫(レンズ状)や外傷性くも膜下出血
国試ポイント
くも膜下出血の典型的臨床症状とCT画像所見の理解が求められる。特に、脳底槽やシルビウス裂の高吸収域が新鮮な血液を示唆すること、そして項部硬直が髄膜刺激症状であることを関連付けて覚える。
混同注意
脳出血、脳梗塞、髄膜炎、脳腫瘍など、急性期脳疾患との鑑別が重要。特に頭部CTで高吸収域を呈する脳出血とは、出血部位が脳実質内か、くも膜下腔かに注目して区別する。
次に同じ論点が出たら
今後同様の症例が出た場合、突然発症の激しい頭痛、意識障害、項部硬直などの髄膜刺激症状、および頭部CTにおける脳底槽・シルビウス裂・脳溝などのくも膜下腔の高吸収域を総合的に判断する。
関連知識
くも膜下出血の主な原因は脳動脈瘤破裂(約80%)である。他に脳動静脈奇形、外傷性などがある。症状としては突然の激しい頭痛(ハンマーで殴られたような)、意識障害、悪心・嘔吐、項部硬直などがある。治療は動脈瘤のコイル塞栓術やクリッピング術が一般的。