胸部の解剖について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
臓側胸膜と壁側胸膜は肺門部で連続しており、胸腔は解剖学的に閉鎖された空間を形成しています。この連続した二重構造により、肺の拡張・収縮運動が胸腔内圧の変化に応じて効率的に行われます。これは胸部の解剖における基本的な知識であり、その機能的意義を理解することが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 心臓は主に中縦隔に位置しており、後縦隔には食道、胸部大動脈、胸管などが存在します。正しくは:縦隔の後方には食道や胸部大動脈などが位置する。選びやすい理由:縦隔という広い領域の中に心臓が含まれるため、心臓が縦隔のいずれかの部分にある、という大まかな知識から選択しやすいかもしれません。しかし、その特定の位置関係(後面)は誤りです。混同注意:縦隔の区分(前縦隔、中縦隔、後縦隔)とその内容物。心臓は中縦隔に分類されます。
- 2. 肺動脈は全身から心臓に戻った血液を肺に送り、ガス交換を行うための機能血管です。肺組織自体に酸素や栄養を供給するのは大動脈から分岐する気管支動脈です。正しくは:肺組織に栄養を供給する血管は気管支動脈である。選びやすい理由:肺に血液を送る主要な血管であるため、肺動脈が肺の栄養にも関与すると誤解しやすいです。肺に関わる血管は「肺動脈」という名称が最も一般的であるため、選びやすい傾向があります。混同注意:肺循環(ガス交換が目的の肺動脈・肺静脈)と肺の栄養血管(肺組織への酸素・栄養供給が目的の気管支動脈)の役割の違い。
- 3. 区域気管支は右肺で10本、左肺で8〜10本あり、左右5本ずつではありません。正しくは:右肺には通常10本、左肺には通常8~10本の区域気管支が存在する。選びやすい理由:右肺には3つの肺葉(上葉、中葉、下葉)があるため、肺葉気管支の数と混同して選択してしまう可能性があります。区域気管支の正確な数を覚えていない場合に、漠然とした数として選びやすいです。混同注意:肺葉気管支(右3本、左2本)の数と、区域気管支の数。
- 4. 第3肋骨は胸骨の『体』と関節を形成し、胸骨柄とは直接関節しません。胸骨柄と関節を形成するのは、第1肋骨および第2肋骨(胸骨角の部分で胸骨体と共に)です。正しくは:胸骨柄と第1肋骨は関節を形成する。選びやすい理由:肋骨と胸骨が関節を作るという大まかな知識から、詳細な部位の関連付けを誤ってしまう可能性があります。胸骨の各部分とどの肋骨が関節するかという詳細が曖昧な場合に選びやすいです。混同注意:胸骨柄と胸骨体の違い、および各肋骨が胸骨のどの部分と関節するかの正確な知識。
- 5. 正解。臓側胸膜(肺表面を覆う)と壁側胸膜(胸壁内面を覆う)は、肺の根本にあたる肺門部で連続しています。これにより胸腔という閉鎖された空間が形成され、肺の呼吸運動が可能になります。これは胸膜の基本的な構造です。
国試ポイント
胸部の解剖に関する問題では、縦隔の区分と内容物、肺の血管系と栄養経路、気管支の分岐と肺区域の数、胸骨と肋骨の関節様式、そして胸膜の構造と連続性といった基礎知識が頻繁に問われます。各構造の名称だけでなく、その機能的意義や関連性まで含めて正確に理解しているかが試されます。
混同注意
縦隔の前後区分と内容物(特に心臓の位置)、肺動脈と気管支動脈の役割の違い、肺葉気管支と区域気管支の数、胸骨柄と胸骨体のそれぞれの関節面(どの肋骨と関節するか)といった点が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、各縦隔の主要な構成要素、肺のガス交換以外の役割(栄養供給)、各気管支の分岐階層とその数の詳細、胸骨各部位と特定の肋骨の関節の組み合わせの正誤、胸膜の連続性と胸腔内圧の概念などを重点的に確認することが求められます。
関連知識
縦隔の区分(上縦隔、下縦隔:前縦隔、中縦隔、後縦隔)とその主要な内容物。肺の血管系(機能血管としての肺動脈・肺静脈、栄養血管としての気管支動脈)。気管支の分岐パターン(主気管支→肺葉気管支→区域気管支)と肺区域の数。胸骨(胸骨柄、胸骨体、剣状突起)と肋骨の関節様式、特に第1・2肋骨と胸骨柄・胸骨体の関節。胸膜の二重構造(臓側胸膜、壁側胸膜)と胸腔の機能(胸腔内圧)。