早期の前頭側頭型認知症でみられないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
前頭側頭型認知症は、その病変部位(前頭葉・側頭葉)の特性から、人格変化や行動異常が初期から顕著に現れることが特徴です。具体的には、常同行動、無関心・自発性低下、脱抑制、社会性の欠如、病識の低下などが中心的な症状です。一方、幻視はレビー小体型認知症に特有の症状であり、前頭側頭型認知症の初期には通常見られません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。幻視はレビー小体型認知症に特徴的な症状であり、前頭側頭型認知症の初期には通常見られません。正しくは:幻視は前頭側頭型認知症では稀で、むしろレビー小体型認知症で頻繁に認められます。選びやすい理由:認知症全般の症状として幻視を思い浮かべる人がいるかもしれませんが、認知症のタイプによって主要な症状が異なります。混同注意:アルツハイマー病やレビー小体型認知症など、他のタイプの認知症の症状と混同しやすいです。
- 2. 常同行動(同じ行動を繰り返すこと)は前頭側頭型認知症の主要な症状の一つで、早期からよく見られます。正しくは:常同行動は前頭側頭型認知症で頻繁に認められます。選びやすい理由:症状が多岐にわたるため、特徴的な常同行動が前頭側頭型認知症と結びつきにくいと感じる人もいるかもしれません。混同注意:他の精神疾患に見られる強迫症状などと混同されることがありますが、前頭側頭型認知症ではより広範な意味での常同性が特徴です。
- 3. 病識の低下(自身の症状や状態を認識できないこと)は、前頭側頭葉の機能障害により早期から現れる一般的な症状です。正しくは:病識低下は前頭側頭型認知症で頻繁に認められます。選びやすい理由:病識低下は他の認知症でも見られるため、前頭側頭型認知症特有の症状ではないと誤解する可能性があります。混同注意:アルツハイマー病など他の認知症の病識低下と混同しやすいですが、前頭側頭型では感情や行動の変化に関連して特に顕著になることがあります。
- 4. 意欲や自発性の低下は、前頭葉の機能障害によって引き起こされ、前頭側頭型認知症の早期から観察される症状です。正しくは:自発性低下は前頭側頭型認知症で頻繁に認められます。選びやすい理由:うつ病の症状とも類似しているため、診断時に混同しやすいですが、前頭側頭型認知症では認知機能の低下を伴います。混同注意:うつ病の意欲低下や、他の認知症におけるアパシー(無関心)と混同されることがあります。
- 5. 社会的なルールや規範を無視する行動、他者への配慮の欠如など、対人関係における問題は前頭側頭型認知症の核となる症状の一つで、早期から目立ちます。正しくは:社会的対人行動の障害は前頭側頭型認知症で頻繁に認められます。選びやすい理由:単なる性格の変化と捉えられがちで、病的な症状だと認識されにくい場合があります。混同注意:精神疾患やパーソナリティ障害と混同されることがありますが、認知機能の低下を伴う点が異なります。
国試ポイント
認知症の各タイプ(アルツハイマー病、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症など)の主要な臨床症状と、それぞれの鑑別点を理解しているかが問われる問題です。特に、特徴的な症状(幻視、常同行動、早期からの行動障害など)と、それがどのタイプの認知症に結びつくかを正確に覚える必要があります。
混同注意
認知症の種類による症状の違い、特に幻視と行動異常の関連性。アルツハイマー病の物忘れ中心の症状、レビー小体型認知症の幻視・パーキンソン症状、前頭側頭型認知症の行動・人格変化を明確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の認知症(例:レビー小体型認知症、アルツハイマー病)の代表的な初期症状でみられないものを問う形式や、典型的な症例提示から診断名を推測させる問題が出ると予想されます。また、それぞれの認知症に対するリハビリテーション介入の注意点や禁忌なども問われる可能性があります。
関連知識
前頭側頭型認知症は、行動異常型(bvFTD)と意味性認知症(SD)、進行性非流暢性失語(PNFA)の3つの主要なサブタイプに分類されます。特に行動異常型では、選択肢に挙げられたような行動・人格の変化が目立ちます。各タイプの認知症の診断基準(例:MDS-FTDC基準)も理解しておくと良いでしょう。