脳卒中回復期の嚥下障害に対する最も適切な栄養管理はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
経鼻胃管は、簡便に導入できる反面、長期的な留置による合併症(鼻腔・咽頭・食道粘膜の損傷、不快感、逆流性食道炎、誤嚥性肺炎のリスク増大など)があるため、通常は一時的な栄養管理に用いられます。2〜4週間以上と長期にわたる場合は、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)などの検討が必要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 嚥下障害がある場合、誤嚥を防ぐために水分にとろみをつけ、ゆっくりと食道に流れるように調整することが一般的です。とろみがない水分は咽頭を素早く通過しやすく、気管へ誤嚥するリスクが高まります。正しくは:水分摂取の際に、とろみ剤を使用する場合がある。選びやすい理由:とろみ剤の味が苦手な患者もいるため、使用しない方が良いという誤解から選んでしまうかもしれません。混同注意:とろみをつけることの目的(誤嚥予防)と、とろみをつけない方が良い特殊なケース(例: 胃腸機能が低下している場合など)と混同する可能性があります。
- 2. 胃瘻は栄養摂取経路の一つであり、経口摂取が可能であれば並行して行うことが多いです。嚥下機能の回復が見られれば、胃瘻を造設していても積極的に経口摂取訓練を進めるべきです。正しくは:胃瘻造設後も、嚥下機能が許せば経口摂取訓練を行う。選びやすい理由:胃瘻があることで、もう口から食べられないと思い込み、経口摂取訓練の必要性を軽視してしまう可能性があります。混同注意:胃瘻が「最終的な栄養管理方法」であり、「経口摂取への道が閉ざされた」と誤解すること。
- 3. 経鼻胃管が咽頭部を通っていることで、嚥下反射が抑制されたり、胃食道逆流が起こりやすくなったりするため、誤嚥のリスクは存在します。特に胃内容物の逆流による誤嚥性肺炎は注意が必要です。正しくは:経鼻胃管による経管栄養でも誤嚥のリスクは存在する。選びやすい理由:直接口から食べないため、誤嚥がないと安易に考えてしまう可能性があります。混同注意:経口摂取による誤嚥と、経鼻胃管留置に起因する誤嚥(例:逆流性誤嚥)を区別できない可能性があります。
- 4. 点滴(静脈栄養)であっても、患者の必要カロリーや栄養バランス(糖質、アミノ酸、脂質、ビタミン、微量元素など)を十分に考慮し、適切な量を管理する必要があります。過剰な投与や不足は合併症を引き起こす可能性があります。正しくは:点滴管理においても栄養摂取量を適切に考慮する必要がある。選びやすい理由:点滴は医師や看護師が管理するため、詳細な栄養量まで理学療法士が把握する必要がないと誤解するかもしれません。混同注意:点滴が「補助的な水分補給」と「主たる栄養供給」のどちらの目的で用いられているかの区別が曖昧な場合があります。
- 5. 正解。経鼻胃管は、長期間の留置により、鼻腔や食道の粘膜損傷、胃食道逆流、誤嚥のリスク増大、外観上の問題、自己抜去などの合併症を引き起こしやすいため、一時的な栄養管理に用いられます。一般的に2~4週間程度の短期使用が推奨されており、それ以上続く場合は胃瘻などの経管栄養への切り替えが検討されます。
国試ポイント
脳卒中回復期における嚥下障害患者への栄養管理に関する基礎知識、特に様々な栄養摂取方法(経口、経鼻胃管、胃瘻、点滴)それぞれの特徴、メリット・デメリット、適応期間を理解しているか問う問題です。各方法のリスクや長期的な視点での選択の適切性が重要となります。
混同注意
経鼻胃管と胃瘻の長期的な適応、経口摂取と非経口摂取の併用の可能性、嚥下障害における水分へのとろみ調整の重要性、静脈栄養の役割と限界。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各栄養管理方法の具体的な適応疾患や合併症、また摂食嚥下リハビリテーションの具体的な内容(例:アイスマッサージ、嚥下体操、代償法など)について問われる可能性があります。
関連知識
嚥下機能評価(VE/VF)、嚥下食の段階、姿勢調整、摂食嚥下リハビリテーション、経管栄養の種類と管理、静脈栄養の適応と合併症。