55歳の男性。トラックの荷台(2 m)から転落して受傷した。来院時の足関節エックス線単純写真(別冊No. 3A)及び冠状断CTとCTの模式図(別冊No. 3B)を別に示す。保存的に加療したとき、今後最も起こりやすい合併症はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
症例は踵骨骨折であり、距骨下関節に骨折線が及んでいることが単純エックス線写真およびCT画像から読み取れます。距骨下関節は歩行時に大きな負荷がかかる関節であり、骨折による関節面の不適合や軟骨損傷が修復されずに残ると、長期的に変形性関節症を発症しやすくなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 凹足は縦アーチが高くなる足の変形であり、主に神経疾患や先天性疾患などで見られます。踵骨骨折の直接的な合併症としては稀です。正しくは:適切な骨折の整復とリハビリテーションにより、足部の機能維持を目指します。選びやすい理由:足部の変形の一つであるため、混同しやすいですが、踵骨骨折の典型的な合併症ではありません。混同注意:他の足部変形(扁平足、外反母趾など)
- 2. 踵足(しょうそく)は足関節が背屈位に固定され、尖足とは逆に踵接地が困難になる状態です。主に腓骨神経麻痺などにより足関節の底屈ができなくなる場合に生じ、踵骨骨折の合併症としては一般的ではありません。正しくは:適切なリハビリテーションや、場合によっては装具療法や手術的治療で足関節の可動域改善を目指します。選びやすい理由:踵骨の名称が含まれるため、関連があるように感じやすいですが、病態が異なります。混同注意:尖足(内反尖足)
- 3. 内反尖足は足関節が底屈位で内反し、つま先立ちのような状態になる足部の変形です。脳性麻痺や脳卒中後遺症などの中枢神経疾患による痙性麻痺、または下腿の筋肉の不均衡によって生じることが多く、踵骨骨折の直接的な合併症ではありません。正しくは:原因疾患の治療に加え、リハビリテーション、装具療法、手術的介入などを行います。選びやすい理由:足部の変形であり、外傷後に発生する可能性のある足部機能障害と誤解されやすいです。混同注意:踵足
- 4. 正解。本症例では、55歳男性が2mの高さから落下し踵骨骨折を生じています。単純エックス線写真(図A)では踵骨のつぶれと距骨下関節の不整が示唆され、冠状断CT(図B)では距骨下関節に骨折線が及んでいることが明確です。踵骨骨折において距骨下関節への骨折が及ぶと、関節面の不適合や軟骨損傷が生じ、これが原因で保存的治療を選択しても後に関節破壊が進行し、変形性関節症を発症する可能性が最も高くなります。特に粉砕骨折では、関節面の完全な整復が困難なため、変形性関節症は高頻度に発生する合併症です。選びやすい理由:踵骨骨折後の長期的な合併症として最も頻繁に認められるため、診断に矛盾はありません。混同注意:他の足部変形や虚血性壊死
- 5. 無腐性骨壊死(AVN)は、骨への血流障害により骨組織が壊死する病態です。踵骨は比較的血流が豊富な骨であり、無腐性骨壊死の発生は稀です。距骨や大腿骨頭などに多く見られます。正しくは:無腐性骨壊死は他の部位(例:距骨、大腿骨頭)で発症しやすいです。選びやすい理由:骨折後に血行障害が起こりうるという点で、可能性を考えてしまうかもしれませんが、踵骨骨折では一般的ではありません。混同注意:距骨骨折後の無腐性骨壊死
国試ポイント
踵骨骨折における距骨下関節への影響と、その後の合併症として変形性関節症を発症しやすいことを理解しているか。
混同注意
踵骨骨折後の後遺症は多岐にわたりますが、変形性関節症は特に距骨下関節に骨折が及んだ場合に高頻度で発生します。他の足部変形との区別が必要です。
次に同じ論点が出たら
踵骨骨折後の後遺症に関する問題では、骨折の部位(特に距骨下関節への関与)と骨折型(関節内か関節外か、粉砕の程度)に着目して、最も頻度の高い合併症を判断します。
関連知識
踵骨骨折は高所からの落下(本症例では高さ2m)による軸圧によって生じやすく、粉砕骨折となることが多いです。距骨下関節面の評価は治療方針決定において重要です。