45歳の女性。右変形性股関節症。先天性股関節脱臼の既往がある。1年前から荷重時の右股関節痛があり、2か月前から安静時痛も出現した。起居動作時や歩行時の疼痛が強くなってきたため受診した。ADL指導として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
変形性股関節症のADL指導では、患部への負担を軽減し、痛みを避けることが重要です。T字杖は健側に持つことで、患側への荷重を減らし、安定した歩行を助けます。これにより、股関節の痛みを緩和し、歩行能力を維持することが可能です。
選択肢ごとの解説
- 1. 患側である右足から階段を上ると、患側への荷重が増加し、痛みが増強する可能性があります。痛みを軽減するためには、健側(左足)から踏み出すのが適切です。正しくは:階段を上る際は、健側である左足から踏み出す。選びやすい理由:上肢や健側下肢で支持力を補うイメージがあれば迷うかもしれないが、基本は患側荷重を避ける。混同注意:下りる時の動作と混同しやすい。上がる時は健側から、下りる時は患側からと覚える。
- 2. 患側への負担を軽減するには、階段を下りる際にまず患側(右足)から踏み出すのが適切です。こうすることで、健側(左足)が体重を支え、患側への衝撃を和らげます。正しくは:階段を下りる際は、患側である右足から踏み出す。選びやすい理由:階段を上る時と下りる時でどちらの足から出すべきか混同しやすい点。混同注意:上る時と下りる時の動作が逆になるため、記憶が混乱しやすい。
- 3. 座面が低い椅子に座ると、立ち上がる際に股関節の屈曲角度が大きくなり、股関節への負担が増加します。特に変形性股関節症の場合、これは痛みを誘発する可能性が高いです。膝や股関節に負担をかけにくいのは、やや高めの椅子です。正しくは:立ち上がりやすいように、やや座面の高い椅子を使用する。選びやすい理由:「低い方が安定する」という漠然としたイメージで選んでしまうかもしれない。混同注意:膝関節疾患の場合と混同する可能性もあるが、股関節では屈曲角度が重要。
- 4. 正解。T字杖を使用する際は、患側(右股関節)とは反対側の手、つまり健側(左手)で持つのが適切です。これにより、杖と健側の足で体重を支持し、患側への荷重を軽減して痛みを和らげることができます。重心の移動と筋活動の効率化にも寄与します。正しくは:この選択肢は適切なので修正不要。選びやすい理由:杖の目的を理解していないと、患側と同じ手で持って患部を直接支えようと考える可能性がある。混同注意:患部を直接支えるイメージと、重心を分散させるイメージが混同しやすい。
- 5. 患側の右足を手前に引いて立ち上がると、右股関節が深く屈曲した状態で体重がかかり、負担が大きくなります。健側の左足を手前に引き、健側で体重を支えて立ち上がるほうが望ましいです。正しくは:右足よりも左足(健側)を前に出して椅子から立ち上がる。選びやすい理由:患側を前に出すことで、荷重を分散させるように錯覚するかもしれない。混同注意:立ち上がり動作における重心移動や荷重分散の原則が理解できていないと誤りやすい。
国試ポイント
変形性股関節症患者に対するADL指導の基本原則(患側への荷重軽減、関節保護)を理解しているかが問われています。特に、階段昇降、椅子からの立ち上がり、杖の使用法は頻出事項です。
混同注意
階段昇降時の足の出し方(上がる時は健側から、下りる時は患側から)と、杖を持つ手(健側)は、よく混同されるポイントです。また、椅子からの立ち上がり方についても、患側への負担を最小限にする方法を正確に覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
この患者が退院後も自宅で安全に生活できるよう、具体的な環境調整(手すりの設置、適切な高さの便座や椅子、滑りにくい床材など)や、痛みが増強した場合の対処法について指導を進める必要があります。
関連知識
変形性股関節症の病態生理、疼痛管理の原則、関節可動域訓練、筋力増強訓練、免荷の原則、関節保護肢位、日常生活活動における工夫(靴、衣服、入浴、トイレなど)。