Danielsらの徒手筋力テストについて正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Danielsらの徒手筋力テストにおけるG2(段階2)は、「重力の影響を排除した状態での全可動域運動が可能」と定義されています。したがって、評価時には重力の影響が運動に干渉しないよう、肢位を調整することが必須です。これはMMTの基本的な手順であり、各段階の定義を理解する上で重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. MMTの評価は、通常、重力の影響を排除した姿勢で行う「抗重力位での運動が不可能」な段階(G2)から開始し、徐々に抵抗を増やしていくことで、その患者さんが発揮できる最大の筋力を正確に評価します。最上位(G5)から始めると、筋力低下がある場合に患者さんに不必要な負担をかけたり、正確な評価が難しくなったりする可能性があります。正しくは:筋力評価は、重力の影響を最小限にした肢位での運動が可能な段階、またはそれよりも低い段階から開始します。選びやすい理由:高い筋力から順に評価していくと効率が良いと感じるかもしれませんが、安全かつ正確な評価のためには低い段階からの開始が原則です。混同注意:徒手筋力テストの手順と、抵抗運動の原則を混同しているかもしれません。
- 2. 徒手筋力テストにおいて、抵抗を加える位置は通常、検査する筋の作用点に近い、関節の遠位部(末梢側)に加えるのが原則です。これは、検査筋にかかる負荷を最大化し、関節へのストレスを考慮しつつ、筋の収縮力を最も効率的に評価するためです。近位部に抵抗を加えると、テコの原理上、筋への負荷が小さくなり、正確な評価が難しくなります。正しくは:徒手抵抗は、検査する関節の遠位部に加えます。選びやすい理由:関節の安定性を考慮して近位部に加えるべきだと考えるかもしれませんが、筋力評価においては作用点に近い遠位部が適切です。混同注意:関節の安定性や固定と、筋力評価における抵抗の加え方を混同している可能性があります。
- 3. Danielsらの徒手筋力テストは、あくまで『最大筋力』を評価するためのものであり、筋持久力を評価する目的ではありません。MMTの各段階は単一の最大努力に基づくものであり、反復運動による疲労耐性は評価項目に含まれません。筋持久力を評価するには、反復回数や一定時間内の運動量などを計測する別の評価法を用います。正しくは:繰り返し実施することで筋持久力を評価するのではなく、MMTは最大筋力を評価します。選びやすい理由:筋力を評価するテストなので、反復することでその筋の耐久性も測れると考えてしまうかもしれませんが、MMTの目的とは異なります。混同注意:最大筋力評価と筋持久力評価の目的や方法を混同している可能性があります。
- 4. 正解。MMTのG2(Poor)は、「重力を排除した面内であれば、関節の全可動域にわたって運動が可能」な状態を指します。そのため、この段階を評価する際には、患者さんの肢位を調整し、重力がその運動方向に対して垂直にかからないようにすることで、重力の影響を最小限にします。これにより、重力に抗する力がない場合でも、筋の収縮による運動が可能かどうかを正確に判断できます。選びやすい理由:「重力の影響を最小限にした肢位」という表現が、他の筋力テストの特定の段階を指すものと混同しやすいかもしれませんが、G2の定義そのものです。
- 5. ブレイクテストとは、被験者が最大努力で関節を保持している状態に対し、検者が『徐々にではなく、ある一定の抵抗を一気に』加えることで、その保持が破綻(break)するポイントを評価する方法です。抵抗を徐々に強めるのは、通常、筋が収縮を開始してから抵抗を加えていく「メークテスト(make test)」の考え方に近いです。ブレイクテストでは、筋の最大等尺性収縮に対する抵抗力を評価します。正しくは:ブレイクテストでは、被験者が最大努力で関節を保持している状態に対し、一定の抵抗を加えて、その保持が破綻するかどうかを評価します。選びやすい理由:抵抗を加えていく過程で筋力を評価する、という一般的なイメージから、徐々に抵抗を強めると考えてしまうかもしれません。混同注意:ブレイクテストとメークテストの違い、あるいは等尺性収縮と等張性収縮時の抵抗のかけ方を混同している可能性があります。
国試ポイント
徒手筋力テスト(MMT)の基本的な実施方法、各段階の定義、および抵抗の加え方や評価の開始点など、手技に関する正確な知識が問われます。特に、G2の評価肢位やブレイクテストの概念は頻出です。
混同注意
MMTの各段階の定義、特に重力の影響の有無と全可動域運動の関係(G2とG3)、抵抗を加える位置(近位か遠位か)、ブレイクテストとメークテストの違い。これらを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、MMTの各段階(G0-G5)の定義と具体的な評価方法(特に重力と抵抗の有無)、抵抗を加える際の原則(位置、方向、タイミング)、評価開始の原則について、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
MMTの歴史的背景(Daniels & Worthingham, Kendall & McCrearyなど)、各筋のMMTにおける標準的な肢位と抵抗方向、小児や神経疾患患者への応用、電気生理学的検査との関連性。