80歳の女性。左片麻痺。夫と自宅で2人暮らし。ベッドから車椅子への移乗は夫に手を添えてもらう程度で可能だが、車椅子からベッドへの移乗では立ち上がる際に腰を引き上げてもらう。FIMの移乗動作は何点か。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
FIMの移乗動作の評価において、4点は「最小介助」を意味します。これは、対象者が動作の75%以上を自力で行い、介助者が25%未満の補助を行う状況を指します。本症例では、ベッドから車椅子への移乗は「夫に手を添えてもらう程度」であり、車椅子からベッドへの移乗は「立ち上がる際に腰を引き上げてもらう」と記述されています。これらの介助は、対象者が動作の大部分を自己で遂行していると解釈でき、介助量が全体の25%未満である最小限の介入に留まっていると考えられます。そのため、FIM移乗動作は4点と評価するのが適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 6点は修正自立を示し、介助を必要とせず、かつ安全、時間、装具のいずれの項目においても問題がない状態を指します。本症例では夫の補助を必要としているため、該当しません。正しくは:本症例では部分的な介助が必要なため、6点ではありません。選びやすい理由:ベッドから車椅子への移乗は軽度介助に見えるかもしれませんが、車椅子からベッドへの移乗でより多くの介助が必要な点が重要です。混同注意:修正自立と軽介助の区別が曖昧だと6点を選びがちです。
- 2. 5点は監視または準備を示し、介助者が直接身体に触れることなく監視している場合や、準備・指示のみで遂行できる場合を指します。本症例では夫が腰を引き上げる介助をしているため、該当しません。正しくは:直接的な身体介助があるため、5点ではありません。選びやすい理由:監視や口頭指示だけでできると思いがちですが、実際に身体的な介助を受けています。混同注意:軽度介助と監視の区別がつきにくい場合、誤って選択することがあります。
- 3. FIMの採点基準において、4点は「最小介助(Min A)」に相当します。これは、対象者が動作の75%以上を実行し、介助者が動作の25%未満を補助する場合に与えられます。本症例では、ベッドから車椅子への移乗は手を添える程度(非常に軽度な介助)で可能であり、車椅子からベッドへの移乗では腰を引き上げてもらう(部分的な介助)とされていますが、全体として見れば患者自身が動作の大部分を行っており、介助者の介入が25%未満(または介助量が最小限)と判断できるため、4点が適切です。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:3点(中等度介助)と迷うかもしれませんが、症例の記載から患者の能力が介助量を上回っていると判断できます。混同注意:最小介助(Min A)と中等度介助(Mod A)の区別が曖昧だと迷います。
- 4. 正解。3点は中等度介助(Mod A)に相当し、対象者が動作の50%以上75%未満を実行し、介助者が25%以上50%未満を補助する場合に与えられます。本症例では、夫の介助は腰を引き上げる程度であり、患者自身が動作の大部分を行っていると読み取れるため、介助量が50%に達するとは考えにくいです。正しくは:患者の動作遂行能力が介助量を上回るため、3点ではありません。選びやすい理由:「腰を引き上げてもらう」という表現から、介助量が大きいと誤解する可能性があります。混同注意:最小介助と中等度介助の境界線で迷うことがあります。
- 5. 2点は最大介助(Max A)に相当し、対象者が動作の25%以上50%未満を実行し、介助者が50%以上75%未満を補助する場合に与えられます。本症例の記述から、患者自身が動作の大部分を遂行しているため、介助量が75%未満であっても、患者の遂行割合が25%未満となるほどではないため、2点には該当しません。正しくは:患者の動作遂行能力は25%を大きく超えているため、2点ではありません。選びやすい理由:介助が必要な動作があることを過大評価すると、より低い点数を選んでしまうかもしれません。混同注意:介助の程度を過大評価し、患者の自立度を低く見積もりがちです。
国試ポイント
FIMの採点基準、特に介助の割合に基づいた各レベルの定義を正確に理解しているかが問われています。移乗動作における具体的な介助内容と、それがどの点数に該当するかを判断する能力が必要です。
混同注意
FIMの各点数における介助の割合(例: 7点完全自立、6点修正自立、5点監視、4点最小介助、3点中等度介助、2点最大介助、1点全介助)を混同しやすいです。特に4点(最小介助)と3点(中等度介助)の区別が曖昧になりがちです。最小介助は75%以上の自立、中等度介助は50%以上75%未満の自立が目安となります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず介助の具体的な内容から患者が動作のどの程度の割合を自身で実施できているかを推定し、その割合をFIMの各点数定義と照合して判断します。複数の動作がある場合は、最も介助が必要な動作を基準に評価する傾向があることも考慮に入れます。
関連知識
FIMは、日常生活動作(ADL)の自立度を評価するための指標であり、リハビリテーションの効果測定や予後予測に広く用いられます。運動項目と認知項目に分かれており、各項目が7段階で評価されます。本問題は運動項目の「移乗」に関するものです。