17歳の女子。サッカー中に転倒し歩行困難となったため受診した。右足関節外側靱帯損傷と診断され、安静目的に10日間の固定を行った。短下肢装具を着用し、理学療法を開始した。正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
足関節外側靱帯損傷後の固定期間により、足関節周囲筋の柔軟性低下や拘縮が生じやすくなります。理学療法開始時に足関節周囲筋のストレッチを行うことは、関節可動域の改善、疼痛の軽減、およびその後の機能訓練への移行を円滑にする上で非常に重要です。これは、損傷後の早期可動域訓練の原則に基づいた適切な介入と言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。足関節外側靱帯損傷後の固定期間によって、足関節周囲の筋肉に拘縮や柔軟性の低下が生じている可能性があります。理学療法開始時にストレッチを行うことで、関節可動域の改善を図り、疼痛の軽減にもつながるため、これは適切な初期介入です。
- 2. 足関節靱帯損傷のリハビリテーションでは、早期からの段階的な荷重が推奨されています。圧痛が完全に消失するまで歩行訓練を待つと、リハビリの遅延や回復の長期化を招く可能性があります。正しくは:歩行練習は、早期から部分荷重や短下肢装具を用いた安全な範囲で開始し、患者の状態に合わせて段階的に全荷重へと移行させます。選びやすい理由:痛みがあるうちは無理に荷重すべきではないという一般的な考え方から、圧痛の完全消失を待つべきだと誤解しやすいです。混同注意:骨折など、より厳格な免荷が必要な疾患の理学療法と混同しやすいです。
- 3. 短下肢装具は足関節の不安定性を補い、再損傷のリスクを低減する目的で使用されます。機能が回復し、足関節が十分に安定する前に装具を早期に外してしまうと、再損傷の危険性が高まります。正しくは:装具は、足関節の安定性や機能の回復状況に応じて、段階的に使用期間を短縮したり、より簡易なものへ切り替えたりするよう指導します。選びやすい理由:装具への依存を避けるべきという考え方や、早く自立した生活に戻したいという患者の意向から、早期離脱が良いと誤解しやすいです。混同注意:装具の保護的な役割と、機能改善に伴う段階的な離脱のタイミングに関する理解が曖昧だと間違えやすいです。
- 4. 開眼片脚起立は、比較的難易度の高いバランストレーニングです。足関節靱帯損傷直後の不安定な状態では、転倒リスクが高く、初期段階での実施は適切ではありません。正しくは:バランストレーニングは、まず免荷や軽度荷重での座位または立位での安定化練習など、より安全で簡単なものから開始し、徐々に難易度を上げていきます。選びやすい理由:バランストレーニングの代表的な種目として知られているため、一般的なトレーニング開始点だと誤解しやすいです。混同注意:リハビリテーションの初期段階と進行段階で実施すべきトレーニング内容の区別がつかない場合に選択しやすいです。
- 5. 足関節外側靱帯損傷の初期段階では、関節の不安定性や疼痛が強く、荷重を伴う閉鎖性運動連鎖(CKC)運動は患部への負担が大きすぎます。まず開放性運動連鎖(OKC)運動から開始し、安全に筋力を回復させることが一般的です。正しくは:筋力トレーニングは、疼痛がなく安定している範囲で、まず開放性運動連鎖(OKC)運動から開始し、段階的に閉鎖性運動連鎖(CKC)運動へと移行します。選びやすい理由:CKC運動が実際の動作に近い機能的なトレーニングであるという知識から、良い選択肢だと感じやすいです。混同注意:OKCとCKC運動それぞれの特性と、急性期・亜急性期における適用上のリスクを混同している場合に間違えやすいです。
国試ポイント
足関節外側靱帯損傷の急性期から亜急性期にかけての理学療法における初期介入の適切性が問われています。特に、可動域訓練の早期開始、段階的な荷重、バランストレーニングや筋力トレーニングの開始時期と難易度設定に関する基本的な知識が評価されます。
混同注意
損傷の程度や状態を考慮せずに、過度な安静や免荷を長期化させること。また、リハビリの進行期に行うべき高度なトレーニングを初期段階から導入しようとすること。骨折などの他の整形外科疾患のリハビリテーションプロトコルと混同すること。
次に同じ論点が出たら
今後同様の症例が出た場合、損傷の具体的な程度(例:Grade II)、固定期間、現在の疼痛レベル、関節の不安定性の有無、および客観的な機能評価の結果(例:関節可動域、筋力、バランス能力)を確認し、それらを踏まえてより具体的な治療プログラム(例:荷重制限の具体的な指示、バランストレーニングの初期種目、筋力トレーニングの負荷設定など)を判断する必要があります。特に、早期からの可動域訓練と段階的な荷重負荷の原則が守られているかを確認することが重要です。
関連知識
足関節外側靱帯損傷の病態生理、損傷の重症度分類(Grade I, II, III)、各段階のリハビリテーション目標、RICE処置の適用、早期荷重のメリットと実施方法、短下肢装具の目的と種類、開放性運動連鎖(OKC)と閉鎖性運動連鎖(CKC)運動の特性と臨床応用。