ゴムバンドを用いて筋力増強運動を実施している様子を図に示す。この運動で最も増強される筋はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下図の運動は、肩関節を外転90度位に保持し、ゴムバンドの抵抗に対して肩関節を外旋させるものです。この動作は、肩関節の外旋筋群を鍛えることを目的としており、棘下筋は肩関節の主要な外旋筋の一つであるため、最も増強される筋肉です。
選択肢ごとの解説
- 1. 前鋸筋は肩甲骨の挙上や外転に主に作用します。図の運動は肩関節の外旋が主であり、前鋸筋の主要な強化部位ではありません。正しくは:肩甲骨の突き出し運動(プロトラクション)を行うことで前鋸筋が強化されます。選びやすい理由:肩関節周辺の筋肉であるため、関連があるように思えるかもしれません。混同注意:広背筋や菱形筋など、肩甲骨の動きに関わる他の筋肉と混同しやすいです。
- 2. 大胸筋は肩関節の内転、内旋、屈曲に主に作用します。図の運動は肩関節の外旋が主であり、大胸筋の強化は目的ではありません。正しくは:ベンチプレスや腕立て伏せなど、肩関節の内転・内旋を伴う運動で大胸筋が強化されます。選びやすい理由:一般的な筋力トレーニングでよく言及される筋肉のため、選択肢として選びやすいかもしれません。混同注意:三角筋や上腕二頭筋など、前胸部や上腕の前面にある筋肉と混同しやすいです。
- 3. 正解。図に示されている運動は、肩関節を90度外転位で保持し、ゴムバンドの抵抗に逆らって上腕を外旋させるものです。棘下筋はローテーターカフの一つで、肩関節の外旋を主導する主要な筋肉であるため、この運動で最も効果的に強化されます。正しくは:棘下筋は肩関節の外旋筋であり、この運動はまさにその機能をターゲットにしています。
- 4. 肩甲下筋はローテーターカフの一つですが、肩関節の内旋を主導する筋肉です。図の運動は外旋を目的としているため、抵抗としては拮抗的に働き、強化の対象にはなりません。正しくは:肩関節を内旋させる運動で肩甲下筋が強化されます。選びやすい理由:ローテーターカフの一つであるため、肩関節の運動に関わることは間違いないですが、外旋と内旋を混同しやすいです。混同注意:棘上筋、棘下筋、小円筋といった他のローテーターカフの筋肉と混同しやすいです。特に棘下筋と小円筋は外旋筋ですが、肩甲下筋は内旋筋です。
- 5. 烏口腕筋は肩関節の屈曲や内転に作用する筋肉です。図の運動である肩関節の外旋には直接関与しません。正しくは:肩関節の屈曲や内転を伴う運動で烏口腕筋が強化されます。選びやすい理由:上腕に位置する筋肉であり、腕の運動に関わるため、一見すると関連性があるように思えるかもしれません。混同注意:上腕二頭筋や上腕三頭筋など、上腕に位置する他の筋肉と混同しやすいです。
国試ポイント
肩関節の各方向の運動に関わる主動筋を正確に理解しているか、また運動療法として特定の動作がどの筋肉をターゲットにしているかを問う問題です。特にローテーターカフの機能と各筋の作用を理解していることが重要です。
混同注意
ローテーターカフの4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)それぞれの作用(特に外旋と内旋)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出題された場合、まず図から運動の目的(どの方向の動きか)を正確に読み取り、その動きの主動筋は何かを判断することが重要になります。
関連知識
ローテーターカフの各筋肉の起始・停止、神経支配、そしてそれぞれの機能(肩関節の挙上、外転、内旋、外旋)。特に棘上筋は外転、棘下筋と小円筋は外旋、肩甲下筋は内旋に深く関与します。