H反射を導出するために刺激する神経で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
H反射は、末梢神経に弱い電気刺激を与えることで、筋紡錘の一次終末に分布するIa群求心性線維を刺激し、その興奮が脊髄のα運動神経細胞に単シナプス性に伝達され、筋収縮を引き起こす反射です。この際、閾値の低いIa群線維が選択的に興奮するため、α運動神経が直接興奮するM波よりも低い刺激強度で誘発されます。
選択肢ごとの解説
- 1. α運動神経線維はH反射の遠心路であり、脊髄前角から骨格筋へ興奮を伝える役割を担いますが、H反射を『誘発するため』に刺激する求心路の線維ではありません。正しくは:H反射の遠心路はα運動神経線維であり、電気刺激により直接骨格筋を収縮させた場合にM波として観察されます。選びやすい理由:H反射は最終的に筋肉の収縮を伴うため、運動神経であるα運動神経線維が関わると誤解しやすいです。混同注意:H反射の求心路と遠心路、およびM波(直接筋を刺激して生じる活動電位)との違いが混同されやすいです。
- 2. γ運動神経線維は、筋紡錘の錘内筋線維に分布し、筋紡錘の感度を調整する遠心性線維です。H反射の求心路を構成する神経線維ではありません。正しくは:γ運動神経線維は、筋紡錘の感度を調節することで、姿勢の維持や運動の微調整に貢献します。選びやすい理由:筋紡錘と密接に関連しているため、H反射と関係があるように思われがちですが、刺激対象ではありません。混同注意:筋紡錘の求心性線維(Ia群、Ⅱ群)と遠心性線維(γ運動神経線維)の役割の違いが混同されやすいです。
- 3. 正解。H反射は、下肢の混合神経(例:脛骨神経)に加える弱い電気刺激によって、筋紡錘の一次終末に分布するIa群求心性線維が興奮し、この興奮が脊髄前角のα運動神経細胞へ単シナプス性に伝えられることで誘発される反射です。したがって、刺激する神経線維はIa群求心性線維が正しいです。
- 4. Ib群求心性線維はゴルジ腱器官に由来し、過度な筋収縮から筋を保護する自原抑制(伸張反射の逆)に関与します。H反射の興奮性経路を構成する求心性線維ではありません。正しくは:Ib群求心性線維はゴルジ腱器官からの情報を脊髄に伝え、α運動神経に対して抑制性の影響を与えます。選びやすい理由:求心性線維であり、反射に関わるため、正答のように見えるかもしれません。混同注意:Ia群線維とIb群線維、それぞれの受容器(筋紡錘とゴルジ腱器官)と、それらが関与する反射の種類(伸張反射と自原抑制)が混同されやすいです。
- 5. Ⅱ群求心性線維は筋紡錘の二次終末に分布し、主に筋の長さの変化や静的な伸張情報に関与し、姿勢反射など多シナプス性の反射に関わります。H反射の誘発における主要な求心路ではありません。正しくは:Ⅱ群求心性線維は主に筋紡錘の二次終末から情報を伝え、主に姿勢の制御や複合的な反射に関与します。選びやすい理由:Ia群線維と同じく筋紡錘由来の求心性線維であるため、H反射に関与すると誤解しやすいです。混同注意:Ia群線維とⅡ群線維の機能的な違い、特にH反射の求心路としてどちらが主要であるかが混同されやすいです。
国試ポイント
H反射に関する問題は、その発生機序(求心路・遠心路)、刺激する神経線維の種類、M波との違い、臨床的な意義(脊髄の興奮性評価など)が頻繁に問われます。特に、どの神経線維が『刺激される』か、そしてどの神経線維が『関与する』かという表現の違いに注意が必要です。
混同注意
H反射の求心路であるIa群線維と、T反射(腱反射)の求心路であるIa群線維、またはゴルジ腱器官に由来するIb群線維、そして筋紡錘の感度を調節するγ運動神経線維との役割が混同されやすいです。また、M波とH波の違いも重要な混同点です。
次に同じ論点が出たら
この論点が出題された場合、H反射の誘発機序だけでなく、M波やF波との発生機序の違い、それぞれの波形が何を示すか、そして臨床的にどのような評価に用いられるかという点まで考察を深めると良いでしょう。特に、求心路・遠心路を明確に区別することが重要です。
関連知識
H反射は、末梢神経への電気刺激によって誘発される脊髄反射であり、腱反射(T反射)と同様に単シナプス反射です。M波は、電気刺激によってα運動神経線維が直接興奮し、その結果生じる筋の活動電位です。F波は、α運動神経細胞体が逆行性に興奮し、再び順行性に筋に伝わる活動電位であり、脊髄前角細胞の興奮性や軸索の伝導速度の評価に用いられます。