動的バランス能力評価検査はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Functional Reach Test (FRT)は、立位で上肢を前方に伸ばし、どれだけ重心を移動させられるかを測定する検査であり、前方に重心を移動させる際の動的な姿勢制御能力、すなわち動的バランス能力を評価します。特に転倒リスクの評価に広く用いられます。他の選択肢は、歩行速度(10m歩行テスト)、持久力(6分間歩行テスト)、体幹機能(Trunk Control Test)、または静的バランス能力(片脚立位バランステスト)を主に評価するものであり、動的バランス能力に特化した評価とは言えません。
選択肢ごとの解説
- 1. 10m歩行テストは主に歩行速度や耐久性を評価するもので、動的バランス能力に特化した検査ではありません。バランスの問題が歩行速度に影響を与えることはありますが、直接的な動的バランス能力の評価指標とは見なされません。正しくは:このテストは歩行能力や移動能力の評価に適しています。選びやすい理由:歩行は動的な動きなので、動的バランスと関連があると感じやすいですが、このテストの主目的は速度測定です。混同注意:歩行の質や安定性といった動的バランス能力を直接評価する他のテスト(例:TUGテストなど)と混同しやすいです。
- 2. 6分間歩行テストは、主に全身持久力や心肺機能、歩行の耐久性を評価するテストです。バランス能力の評価を主目的とするものではありません。正しくは:このテストは持久性や心肺機能の評価に適しています。選びやすい理由:長時間の歩行も動的な要素を含むため、動的バランスと関連があるように思えますが、主要な評価項目は距離と耐久性です。混同注意:患者の移動能力全体を評価する際に用いられるため、バランス能力も評価していると誤解されやすいです。
- 3. Trunk Control Testは、主に体幹の静的・動的な安定性や運動能力を評価する検査であり、特に脳卒中患者などで体幹機能の回復を評価する際に用いられます。全身の動的バランス能力を直接的に評価する検査とは異なります。正しくは:このテストは体幹の安定性や運動能力の評価に適しています。選びやすい理由:「動的」という言葉と「コントロール」という言葉から、動的バランスと関連が深いように感じられますが、評価対象が体幹に限定されています。混同注意:体幹の安定性が全身のバランスに重要であることから、全身の動的バランス検査と誤解されやすいです。
- 4. 正解。Functional Reach Testは、立位姿勢で腕を前方に伸ばし、重心の移動距離を測定することで、前方への重心移動に伴う動的なバランス能力、特に転倒リスクを評価するための検査です。これは明確に動的バランス能力を評価する指標となります。
- 5. 片脚立位バランステストは、静止立位での片脚保持時間を測定することで、主に静的バランス能力を評価する検査です。身体の重心が大きく移動するような動的な要素は含まれません。正しくは:このテストは静的バランス能力の評価に適しています。選びやすい理由:「バランス」という言葉が入っているため、バランス評価全般と捉えやすいですが、「片脚立位」という点が静的バランスであることを示唆します。混同注意:動的な要素を伴うバランス検査(例:Functional Reach TestやTUGテストなど)と混同しやすいです。
国試ポイント
理学療法士国家試験では、各検査の目的と評価項目(静的バランス、動的バランス、筋力、持久力など)を正確に理解しているかが問われます。特に、「動的バランス」というキーワードが与えられた際に、それに合致する検査を選び出す能力が必要です。各検査の特徴を具体的にイメージできるようにしておくことが重要です。
混同注意
各評価テストの名称と、それが評価する主な能力(静的バランス、動的バランス、筋力、持久力、協調性など)が混同されやすい。特に、「バランス」という言葉が含まれるテストでも、静的なのか動的なのか、また全身のバランスなのか体幹のバランスなのかといった詳細な違いがポイントとなる。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず各検査が「静的」か「動的」か、次に「全身」か「特定の部位(例:体幹)」か、そして「何を主目的として評価するか」という視点で判断する。特に「動的バランス」というキーワードが出たら、重心移動を伴う動作を評価するテストに注目する。
関連知識
動的バランス能力評価としては、Functional Reach Testの他にTimed Up & Go (TUG) Test、Berg Balance Scale (BBS)の一部項目、歩行テスト中の逸脱度などが挙げられる。静的バランス能力評価としては、片脚立位テスト、Romberg徴候、Stork Stand Testなどがある。