動脈血ガス分析結果がpH 7.32、PaCO₂ 33 Torr、PaO₂ 83 Torr、HCO₃⁻ 17 mEq/Lである場合に予想される呼吸様式はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
提示された動脈血ガス分析結果は、pH 7.32(アシドーシス)、HCO3- 17 mEq/L(低下)から代謝性アシドーシスを示唆しています。さらにPaCO2 33 Torr(低下)は、代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償として、過換気(CO2排出促進)が起こっていることを示しています。このような重度の代謝性アシドーシスにおける深く速い呼吸様式はKussmaul呼吸と呼ばれます。
選択肢ごとの解説
- 1. 徐呼吸は呼吸回数の減少を指し、PaCO2が上昇する傾向にあります。本症例ではpHが低く(アシドーシス)、PaCO2も低い(代償性の過換気を示唆)ため、呼吸回数を減らす徐呼吸は不適切です。正しくは:頻呼吸選びやすい理由:アシドーシス時に過換気を起こすことを理解していなければ、呼吸抑制と誤解する可能性がある。混同注意:呼吸性アシドーシスと代謝性アシドーシスの鑑別ができていない場合。
- 2. 頻呼吸は呼吸回数の増加を指します。本症例のデータは代謝性アシドーシスとそれに伴う呼吸性代償(過換気)を示唆しており、頻呼吸は代謝性アシドーシス時の呼吸様式として合致します。しかし、より特徴的な呼吸様式としてKussmaul呼吸が挙げられます。正しくは:Kussmaul 呼吸選びやすい理由:頻呼吸は代謝性アシドーシスにおける代償反応の一部であり、間違いではないが、より具体的な呼吸様式があるため、最適な選択肢とは言えない。混同注意:頻呼吸とKussmaul呼吸の具体的な違いを理解していない場合。
- 3. 無呼吸は呼吸の停止を指します。代謝性アシドーシスでは、酸性物質を体外へ排出しようと換気を促進するため、無呼吸はありえません。正しくは:頻呼吸またはKussmaul呼吸選びやすい理由:重篤な病態で呼吸が不安定になるイメージから、無呼吸を連想する可能性もゼロではない。混同注意:呼吸機能不全の一般的な症状と混同する可能性。
- 4. 正解。この血液ガス分析結果は、pHが基準値より低く(7.32、アシドーシス)、HCO3-も低い(17 mEq/L、代謝性アシドーシス)ことを示しています。また、PaCO2も低い(33 Torr)ことから、代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償(過換気)が起きている状態です。Kussmaul呼吸は、糖尿病性ケトアシドーシスなどの重症代謝性アシドーシス時に見られる、深く速い特徴的な呼吸様式であり、体内の二酸化炭素を排出してアシドーシスを是正しようとする生体反応です。したがって、この状態に最も合致する呼吸様式はKussmaul呼吸です。選びやすい理由:頻呼吸も代謝性アシドーシス時の代償反応だが、Kussmaul呼吸は『深く速い』という特徴があり、より具体的な表現である。混同注意:単なる頻呼吸とKussmaul呼吸の識別ができない場合。
- 5. Cheyne-Stokes呼吸は、徐々に呼吸が深く速くなり、その後徐々に浅く遅くなり、最終的に無呼吸期を挟むという周期的な呼吸パターンです。これは主に心不全や脳障害など中枢神経系の問題で生じることが多く、代謝性アシドーシスの呼吸性代償として特徴的ではありません。正しくは:Kussmaul 呼吸選びやすい理由:異常呼吸の一種であるため、他の異常呼吸と混同しやすい。混同注意:様々な異常呼吸パターンの特徴を正確に覚えていない場合。
国試ポイント
動脈血ガス分析の結果から酸塩基平衡の状態を正確に判断し、それに応じた身体の代償メカニズム、特に呼吸様式の変化を理解しているかが問われています。代謝性アシドーシスとその呼吸性代償としてのKussmaul呼吸の特徴を把握しておくことが重要です。
混同注意
頻呼吸とKussmaul呼吸はどちらも呼吸回数が増加する点で似ていますが、Kussmaul呼吸は『深く速い』という特徴的な様式を持ち、重度の代謝性アシドーシスに特有の呼吸です。単なる頻呼吸はより一般的な呼吸回数増加を指します。
次に同じ論点が出たら
この患者の現在の状態では、代謝性アシドーシスの原因(例:糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全など)を特定し、その根本治療を進めることが次の判断となります。また、呼吸状態の継続的なモニタリングと、必要に応じた呼吸補助の検討も重要です。
関連知識
酸塩基平衡の基本(pH、PaCO2、HCO3-の基準値と変動)、代謝性アシドーシス、呼吸性アシドーシス、代謝性アルカローシス、呼吸性アルカローシスの病態と代償メカニズム、Kussmaul呼吸、Cheyne-Stokes呼吸、Biot呼吸などの異常呼吸パターンの特徴を理解しておく必要があります。