肘関節屈曲位から伸展方向へ他動的に動かしたときに、可動域の全範囲にわたり抵抗感が感じられたが、運動は容易であった。MAS〈modified Ashworth scale〉における筋緊張のレベルはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
modified Ashworth scale(MAS)の評価基準において、レベル2は「可動域の全範囲にわたって抵抗は存在するが、容易に可動できる」と定義されています。設問の「肘関節屈曲位から伸展方向へ他動的に動かしたときに、可動域の全範囲にわたり抵抗感が感じられたが、運動は容易であった」という記述は、この定義に完全に合致するため、正答は2(選択肢4)となります。
選択肢ごとの解説
- 1. MASレベル0は、筋緊張の亢進が全く見られない状態を指します。設問では全可動域で抵抗感が確認されているため、このレベルには該当しません。正しくは:筋緊張の亢進が全くない場合はレベル0です。選びやすい理由:症状が軽いと判断した場合に選ぶ可能性があります。混同注意:レベル1や1+との違いが不明瞭だと混同しやすいです。
- 2. MASレベル1は、可動域の終わり近く(最終域)でのみわずかな抵抗が感じられる状態です。設問では「可動域の全範囲にわたり抵抗感」と記述されているため、レベル1ではありません。正しくは:可動域の全範囲で抵抗がある場合は、レベル1ではありません。選びやすい理由:抵抗感が「わずか」という表現に惑わされる可能性があります。混同注意:レベル1+との違いが曖昧だと間違えやすいです。
- 3. MASレベル1+は、可動域の半分未満で抵抗が感じられ、その後に抵抗がない状態を指します。設問では「可動域の全範囲にわたり抵抗感」とあるため、レベル1+には該当しません。正しくは:可動域の半分未満で抵抗があり、残りの範囲で抵抗がない場合にレベル1+と評価されます。選びやすい理由:「抵抗感は感じられたが、運動は容易」という記述から、軽度のスパスティシティと考え、1+を選びやすいです。混同注意:レベル1や2との定義の違いを理解していないと誤答しやすいです。
- 4. 正解。MASレベル2は、可動域の全範囲にわたって抵抗は存在するものの、関節運動は容易に可能な状態を指します。設問の記述「可動域の全範囲にわたり抵抗感が感じられたが、運動は容易であった」と完全に一致します。
- 5. MASレベル3は、他動運動が困難になるほどの著しい筋緊張亢進(スパスティシティ)がある状態を指します。設問では「運動は容易であった」と明記されているため、レベル3ではありません。正しくは:他動運動が困難なほど抵抗が強い場合にレベル3と評価されます。選びやすい理由:全可動域での抵抗感という点に注目しすぎると、重度と判断してしまう可能性があります。混同注意:運動が「容易」であったという条件を見落とすと、より高いレベルを選びやすいです。
国試ポイント
筋緊張評価スケールであるmodified Ashworth scale (MAS) の各レベルの定義を正確に理解しているかが問われています。特に、抵抗感の『範囲』と『他動運動の容易さ』を区別して判断できるかが重要です。
混同注意
MASのレベル1、1+、2の区別が曖昧な受験生は誤答しやすいです。特に、抵抗が『可動域のどこで生じるか』と『運動のしやすさ』の組み合わせを正確に覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、MASの各レベルの定義(抵抗の出現部位と他動運動の容易さ/困難さ)を正確に想起し、与えられた臨床状況に最も合致するものを選択できるかどうかが問われます。また、単に定義を問うだけでなく、動画や画像情報を用いた臨床判断を求める問題形式も想定されます。
関連知識
MASの各レベルの定義、その臨床的意義、および他の筋緊張評価法(例:Tardieu scale)との比較。脳卒中、脊髄損傷などの疾患における筋緊張亢進の病態生理。