45歳の男性。左大腿切断後。大腿義足を用いた歩行練習中、左立脚中期に過度の腰椎前弯が観察された。原因として正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ソケットの初期屈曲角は、大腿切断者の股関節伸展筋力と姿勢制御に密接に関連しています。初期屈曲角が不足していると、義足側股関節の伸展が制限され、それを代償するために腰椎を過度に前弯させて重心を前方へ移動させようとします。これが立脚中期における過度な腰椎前弯の原因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 義足長が長すぎると、患側での骨盤挙上や健側での股関節外転・膝関節屈曲による代償が出やすく、過度な腰椎前弯とは直接的な因果関係が薄いです。過度な腰椎前弯は、一般的には股関節伸展制限を代償しようとする動きに関連します。正しくは:義足長が長すぎる場合は、患側で骨盤が挙上したり、健側で股関節が外転・膝関節が屈曲したりする代償運動が見られます。選びやすい理由:歩行時の姿勢の乱れという点で関連があるように思えますが、具体的に腰椎前弯を増強させる直接的な原因ではありません。混同注意:義足長の問題は歩行に多大な影響を与えますが、腰椎前弯は股関節伸展に関連する要因の方が強いです。
- 2. 足継手の後方バンパーが弱すぎると、立脚初期に足関節の底屈が過度になり、膝関節の屈曲が強くなる傾向があります(膝折れ)。これは過度な腰椎前弯とは異なる歩行異常を引き起こします。正しくは:足継手の後方バンパーが弱すぎる場合、立脚初期に足関節の底屈が過剰になり、膝関節の屈曲が強くなります。選びやすい理由:足継手の調整不良は歩行全体のバランスに影響しますが、腰椎前弯の主要因とは考えにくいです。混同注意:バンパーの硬さは主に膝関節の安定性や足部の接地パターンに影響します。
- 3. ソケットが前方に位置しすぎていると、膝関節の安定性が低下し、立脚中期に膝折れを生じやすくなります。これは過度な腰椎前弯を直接引き起こす原因ではありません。正しくは:ソケットが前方に位置しすぎていると、膝関節の安定性が損なわれ、立脚中期に膝折れが発生しやすくなります。選びやすい理由:ソケットの位置は非常に重要であり、歩行に大きく影響します。しかし、前弯増強よりも膝折れに関係が深いことを理解する必要があります。混同注意:ソケットのアライメントは重要ですが、前弯との関連は限定的です。
- 4. 正解。ソケットの初期屈曲角が不足していると、義足股関節が伸展位に固定された状態となり、歩行時に股関節の伸展を代償するために腰椎が過度に前弯します。これにより、義足側での立脚中期に観察される過度な腰椎前弯が生じます。正しくは:この選択肢は正しい記述です。選びやすい理由:この問題では、ソケットの初期屈曲角の調整が股関節の動きと腰椎の代償メカニズムにどのように影響するかを理解することが重要です。混同注意:初期屈曲角が不足していると、患側の股関節が伸展できないため、腰椎を過度に前弯させて重心を前方に移動させようとします。
- 5. 膝継手の摩擦が弱すぎると、遊脚相での振り出し時に膝が急激に伸展しやすくなり(ターミナルインパクト)、歩行リズムが乱れますが、立脚中期における過度な腰椎前弯の直接的な原因ではありません。正しくは:膝継手の摩擦が弱すぎる場合、遊脚相で膝関節の伸展が急激になり、ターミナルインパクトを引き起こします。選びやすい理由:膝継手の不具合は歩行に大きく影響しますが、摩擦力の問題は主に遊脚相の制御に関わります。混同注意:膝継手の摩擦は遊脚相の振り出し速度や終末伸展をコントロールします。立脚相の安定性にはあまり関与しません。
国試ポイント
大腿義足の適合とアライメントが歩行に与える影響、特に腰椎の代償運動との関連性を理解しているかどうかが問われています。各義足部品の調整不良が引き起こす具体的な歩行異常を区別できる知識が重要です。
混同注意
義足の長さの過剰、ソケットの位置異常など、他の義足アライメント不良も歩行異常を引き起こしますが、それぞれがどの代償運動と関連するかを正確に理解しておく必要があります。特に、股関節の伸展制限と腰椎前弯の関連は頻出です。
次に同じ論点が出たら
義足の各構成要素の機能と調整方法、およびそれらが歩行の各相に与える影響について、さらに深く学習を進めることが望ましいです。特に、義足のアライメント不良が引き起こす代償動作を詳細に把握することで、臨床での評価・介入に役立ちます。
関連知識
大腿義足装着者の歩行様式、膝継手の種類と機能(油圧式、空気圧式など)、足継手の種類と機能(SACH足、マルチアクシャル足など)、ソケットの適合(坐骨荷重型、ICソケットなど)と初期屈曲の目的。