アルコール離脱せん妄で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
アルコール離脱せん妄は、長期にわたる大量飲酒者が飲酒を中断または減量した際に発生する重篤な離脱症状です。飲酒停止後48〜96時間で発症のピークを迎えることが一般的であり、これは体内のアルコールが代謝され、抑制が解除された脳が過剰に興奮することによって引き起こされます。症状としては、幻視や見当識障害、精神運動性興奮、自律神経機能亢進(頻脈、高血圧、発汗、発熱)などが特徴的です。生命予後に関わる重大な状態であり、適切な医療介入が必須となります。
選択肢ごとの解説
- 1. アルコール離脱せん妄は、呼吸抑制、不整脈、高熱、循環虚脱などの合併症により、放置すれば致死率が高く、生命への危険性が高い状態です。適切な医療介入が不可欠です。正しくは:アルコール離脱せん妄は、生命に関わる危険性が高いとされています。選びやすい理由:せん妄と聞くと、精神的な混乱のイメージが先行し、身体的な危険性を軽視してしまう可能性があります。混同注意:単なるアルコール離脱症状(振戦、発汗など)と、重篤な離脱せん妄を混同している可能性があります。
- 2. 羽ばたき振戦(asterixis)は、肝性脳症や尿毒症、呼吸不全など代謝性脳症でよく見られる不随意運動であり、アルコール離脱せん妄の主要な特徴ではありません。アルコール離脱せん妄では全身の粗大な振戦が見られることはありますが、羽ばたき振戦とは異なります。正しくは:特徴的な症状として、全身の粗大な振戦が確認されることがあります。選びやすい理由:アルコール関連疾患で振戦がよく見られるため、羽ばたき振戦という特定の振戦を連想しやすいかもしれません。混同注意:アルコール性肝障害と、それによる肝性脳症で出現する羽ばたき振戦を混同している可能性があります。
- 3. アルコール離脱せん妄の急性期治療では、興奮の抑制、けいれん予防、自律神経症状の緩和を目的としてベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム、ロラゼパムなど)が第一選択薬となります。抗酒薬(ジスルフィラム、シアナミドなど)は断酒継続のサポートを目的とする薬剤であり、離脱せん妄の急性期には投与しません。正しくは:治療として、ベンゾジアゼピン系薬剤を投与し、症状の緩和と安定化を図ります。選びやすい理由:アルコール依存症の治療薬として抗酒薬の知識があるため、緊急時にも用いられると誤解しやすいかもしれません。混同注意:急性期の離脱症状の治療と、慢性期の断酒補助薬の役割を混同している可能性があります。
- 4. 正解。アルコール離脱せん妄は、通常、飲酒中止後48〜96時間(2日〜4日)で発症のピークを迎えます。これは、アルコールが代謝されて体内から消失し、中枢神経系の過興奮状態が顕著になる時期に相当します。選びやすい理由:離脱症状が飲酒後すぐに現れるという一般的なイメージから、発症時期を早期と誤解する可能性があります。混同注意:比較的軽度な離脱症状(振戦、発汗など)が飲酒停止後6〜24時間で出現するのと、重篤な離脱せん妄のピーク時期を混同している可能性があります。
- 5. アルコール離脱せん妄は、慢性的な大量飲酒者が飲酒を中断、または大幅に減量した際に、血中アルコール濃度が低下する過程で生じる症状です。アルコールが中枢神経系の抑制から離れ、過興奮状態になることで発症します。正しくは:血中のアルコール濃度が低下するに伴って生じる現象です。選びやすい理由:アルコール中毒症状と混同し、アルコール濃度が高い時に起こると誤解する可能性があります。混同注意:アルコールによる急性中毒症状(アルコール血中濃度が高いときに生じる)と、アルコール離脱症状(アルコール血中濃度が低下するときに生じる)を混同している可能性があります。
国試ポイント
アルコール関連疾患の中でも、アルコール離脱せん妄の病態生理、主な症状、発症時期、および急性期治療の原則は国家試験で頻繁に問われる重要ポイントです。特に、発症時期と致死率の高さは確実に押さえておくべき知識です。
混同注意
アルコール依存症の様々な病態(急性中毒、軽い離脱症状、アルコール性肝炎、肝性脳症など)と、それぞれの特徴的な症状や治療法が混同されやすいです。特に、飲酒時(中毒)と離脱時(離脱症状)で起こる現象は明確に区別して理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、アルコール離脱せん妄の『主要な症状(幻視、振戦、自律神経症状)』、『治療の第一選択薬(ベンゾジアゼピン系薬剤)』、『鑑別疾患(Wernicke脳症など)』、『治療における理学療法士の役割(身体機能評価、安静管理、合併症予防)』について問われる可能性があります。
関連知識
アルコール依存症の定義、診断基準(DSM-5など)、合併症(Wernicke脳症、Korsakoff症候群、アルコール性肝障害など)、治療法(薬物療法、精神療法、自助グループ)についても関連知識として重要です。