せん妄
せん妄は、急に発生して状態が変化する精神機能の障害です。注意力や思考力の低下、意識の変動が特徴であり、背景にはさまざまな病気や薬物の影響が隠れているため、迅速な対応が必要です。
とは
せん妄は病名ではなく、情報を正常に処理できなくなる異常な精神状態を指す言葉です。どの年齢層でも起こり得ますが、高齢になるほど多くみられ、入院中の患者や介護施設の入居者によく発生します。思考に影響を及ぼす点では認知症と似ていますが、せん妄は突然始まり、主に注意力が障害される点が異なります。
原因と仕組み
多くの病気や薬剤、毒物などが引き金となります。主な原因には、特定の薬剤やオピオイドの使用、脱水、感染症、腎機能や肝機能の低下などがあります。また、手術や入院による慣れない環境、睡眠不足、痛みなども原因になります。高齢者では、脳細胞の減少などの加齢に伴う変化に加え、些細な病気や軽いストレスでも脳の機能が阻害されて発症しやすくなります。
症状
最も顕著な症状は錯乱であり、会話についていけなくなったり、質問に適切に答えられなくなったり、自分の居場所が分からなくなったりします。若い人の場合は興奮状態になることが多く見られますが、非常に高齢の人の場合は物静かになって内向的になる傾向があり、症状が気づかれにくいことがあります。
受診の目安
せん妄が急に発生した場合は、基礎に重篤な病気が隠れている可能性があるため、迅速な医学的処置が必要です。高齢者などで普段と違う精神機能の低下や錯乱に気づいたときは、速やかに医師や医療機関に相談してください。
検査・診断
医師の診察により、症状や身体診察の結果に基づいて診断が行われます。また、せん妄を引き起こしている原因を特定するために、血液検査や尿検査、画像検査などが行われます。
治療
せん妄の治療は、原因となっている異常を迅速に処置または治療することが基本となります。多くの場合、原因を取り除くことで治癒に向かいます。高齢者の場合は入院を伴う治療が多くなりますが、低栄養や脱水、床ずれなどの別の問題を防ぎながら慎重に対応が進められます。
経過・見通し
せん妄は突然発生して状態が変動しますが、通常は回復可能な一時的な状態です。原因を特定して迅速に治療を行うことができれば、多くの場合は治癒に至ります。ただし、高齢者では症状の持続時間が長くなる傾向があります。
せん妄に関連する国家試験問題
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
- MSDマニュアル家庭版
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