脳卒中片麻痺患者の足関節を底屈位から背屈位に他動的に動かし、最終域に若干の抵抗感を感じた。MAS〈modified Ashworth scale〉における筋緊張のレベルはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
MAS(Modified Ashworth Scale)は、痙縮の程度を評価するための尺度です。本問題の記述「足関節を底屈位から背屈位に他動的に動かし、最終域に若干の抵抗感を感じた」は、MASの評価基準において「関節可動域の最終域にわずかな抵抗を認める」というレベル1の定義に合致します。レベル0は筋緊張亢進なし、レベル1+は可動域の半分未満で抵抗、レベル2は可動域全体に抵抗、レベル3は他動運動が著しく困難な状態を指します。
選択肢ごとの解説
- 1. MASレベル0は筋緊張の亢進が全く見られない状態を指します。問題文では「わずかな抵抗感」があったとされているため、これには該当しません。正しくは:筋緊張の亢進が全くない場合。選びやすい理由:抵抗がわずかであったため、正常に近い状態だと誤解する可能性がある。混同注意:レベル1や1+との区別が曖ensible。
- 2. 正解。MASレベル1は、関節可動域の最終域付近でわずかな抵抗感(キャッチ)があるものの、その後抵抗なく動かせる状態を指します。問題文の「最終域に若干の抵抗感を感じた」という記述と一致します。混同注意:レベル1+(可動域の半分未満で抵抗が生じるが、その後抵抗がない場合)と混同しやすい。
- 3. MASレベル1+は、関節可動域の半分未満で抵抗が感じられ、その後も抵抗が持続しない状態を指します。問題文では「最終域に若干の抵抗感」と記述されており、可動域の半分未満で抵抗があったわけではないため、レベル1+ではありません。正しくは:関節可動域の半分未満で抵抗が生じ、その後抵抗が持続しない場合。選びやすい理由:わずかな抵抗感という記述から、1と1+のどちらか迷いやすい。混同注意:レベル1(最終域のみで抵抗)と混同しやすい。
- 4. MASレベル2は、関節可動域全体を通して筋緊張による抵抗が持続するものの、容易に他動可動域がとれる状態を指します。問題文では抵抗が「最終域に若干」と限定されているため、これには該当しません。正しくは:関節可動域全体を通して抵抗はあるが、容易に可動域が得られる場合。選びやすい理由:抵抗感があるという表現から、比較的高いレベルではないかと推測する可能性がある。混同注意:レベル1や1+といった軽度の痙縮と、レベル2以上の中等度以上の痙縮との区別。
- 5. MASレベル3は、関節他動可動域の確保が困難なほど筋緊張が著しく亢進している状態を指します。問題文の「若干の抵抗感」という記述とは大きく異なるため、これは誤りです。正しくは:他動可動域の確保が著しく困難なほど筋緊張が亢進している場合。混同注意:痙縮が強い状態と認識していると、高いレベルを選択してしまう可能性がある。
国試ポイント
MAS(Modified Ashworth Scale)の各レベルの定義を正確に理解し、具体的な臨床場面での所見と結びつけられるかが問われています。特にレベル1と1+の区別が重要です。
混同注意
MASのレベル1(最終域で抵抗)とレベル1+(可動域の半分未満で抵抗)の定義は非常に似ており、正確な区別が求められます。また、抵抗の「程度」ではなく、「どこで」「どのくらいの範囲で」抵抗があるかという記述が重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、MASの定義を正確に覚えているか、特に各レベルにおける抵抗の出現部位(最終域、半分未満、全域など)や程度(わずか、著しいなど)に着目して判断できるかを確認します。
関連知識
MASは脳卒中や脊髄損傷など、中枢神経系疾患における痙縮の評価に広く用いられます。理学療法士は痙縮の評価と、その後の治療効果判定のためにこのスケールを適切に活用できる必要があります。他の痙縮評価スケール(Tardieu Scaleなど)との違いも理解しておくと良いでしょう。