末梢血管抵抗が低下するショックをきたす病態はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
アナフィラキシーショックと敗血症性ショックは、いずれも全身の血管が広範囲に拡張することで有効循環血液量が相対的に不足し、末梢血管抵抗が著しく低下する「分布異常性ショック」に分類されます。これに対し、消化管出血による低容量性ショック、心筋梗塞による心原性ショック、心タンポナーデによる閉塞性ショックでは、心拍出量の低下を代償しようと末梢血管が収縮するため、末梢血管抵抗は上昇します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。アナフィラキシーショックでは、アレルゲンに対する過剰な免疫反応により、ヒスタミンなどの血管拡張物質が大量に放出されます。これにより全身の血管が拡張し、末梢血管抵抗が著しく低下します。
- 2. 消化管出血によるショック(出血性ショック)は、循環血液量の減少によって引き起こされる低容量性ショックです。体は血圧を維持しようと代償的に血管を収縮させるため、末梢血管抵抗は通常上昇します。正しくは:消化管出血による低容量性ショックでは、循環血液量減少を代償するために末梢血管抵抗は上昇します。選びやすい理由:出血によるショックは重篤であり、全身に影響を与えるため、感覚的に末梢血管抵抗が低下すると誤解する可能性があります。混同注意:循環不全全般と末梢血管抵抗の関連性を混同しやすいです。特に、血圧低下=血管拡張、と短絡的に考えてしまうと間違いやすいです。
- 3. 心筋梗塞によるショック(心原性ショック)は、心臓のポンプ機能が低下し、心拍出量が減少することが原因です。体は心拍出量の低下を代償しようと末梢血管を収縮させるため、末梢血管抵抗は上昇します。正しくは:心筋梗塞による心原性ショックでは、心拍出量低下を代償するために末梢血管抵抗は上昇します。選びやすい理由:心臓の機能が低下しているため、全身の血流が悪くなるといった漠然としたイメージから、血管抵抗も低下すると誤解するかもしれません。混同注意:心臓の機能不全と全身血管の状態の関連性を正確に理解できていない場合に混同しやすいです。
- 4. 心タンポナーデによるショック(閉塞性ショック)は、心臓の周囲に液体が貯留し、心臓の拡張と血液の充満が妨げられることで心拍出量が減少します。これも体は心拍出量の低下を代償しようと末梢血管を収縮させるため、末梢血管抵抗は上昇します。正しくは:心タンポナーデによる閉塞性ショックでは、心拍出量低下を代償するために末梢血管抵抗は上昇します。選びやすい理由:心臓が圧迫されている状況から、全身の血流が滞るといったイメージが先行し、末梢血管抵抗の正確な変動を判断しにくいかもしれません。混同注意:心原性ショックと閉塞性ショックは、心臓の問題が根底にある点で共通しますが、末梢血管抵抗の反応は代償機構によるため、増加することがポイントです。
- 5. 正解。敗血症性ショックでは、感染に対する全身性の炎症反応によって、血管透過性亢進とともに広範な血管拡張が起こります。これにより有効循環血液量が減少し、同時に末梢血管抵抗も著しく低下します。
国試ポイント
ショックの分類とその病態生理、特に各ショックタイプにおける末梢血管抵抗の変化(低下するか上昇するか)を正確に理解しているかを問う問題です。代償機構による血管収縮・拡張の違いがポイントとなります。
混同注意
ショックの病態は、共通して血圧低下や臓器灌流低下を伴いますが、その原因となる血行動態の異常はショックのタイプによって異なります。特に、分布異常性ショック(血管拡張によるPVR低下)と、その他のショック(心拍出量低下に対する代償性血管収縮によるPVR上昇)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
もし次に同じ論点が出題された場合、他のタイプのショック(例:神経原性ショック)における末梢血管抵抗の変化や、それぞれのショックタイプで上昇する・低下する他の血行動態指標(心拍出量、中心静脈圧など)についても確認するべきでしょう。
関連知識
ショックの4大分類(低容量性、心原性、閉塞性、分布異常性)、それぞれの原因疾患、主要な血行動態パラメータ(心拍出量、中心静脈圧、肺動脈楔入圧、末梢血管抵抗)の変化を関連付けて覚えることが重要です。