ノーマライゼーションで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ノーマライゼーションの理念は、デンマークで提唱され、障害の有無にかかわらず、すべての人が社会の中で「あたりまえ」の生活を送り、社会参加できるような環境を整えることを目指します。そのためには、障害を理由とする社会的な障壁、差別、不利益を解消し、共生社会を築くことが重要です。選択肢4がこの理念を最も正確に表しています。
選択肢ごとの解説
- 1. ノーマライゼーションは、障害のある人が社会の一員として共存することを目指すため、隔離は真逆の概念です。正しくは:障害のある人々を社会から隔離せず、地域社会で共に生活できるようにすること。選びやすい理由:「正常化」という言葉から、隔離して特別な環境で訓練すれば正常に近づくという誤解を生む可能性があります。混同注意:障害者の個別支援と社会からの隔離を混同するかもしれません。
- 2. ノーマライゼーションは、心身機能の「回復」や「正常化」を直接の目的とはしていません。その人が持つ能力を最大限に活かし、社会参加を促進する環境を整備することに重点を置きます。正しくは:障害の有無にかかわらず、誰もが社会の一員として通常の生活を送れるように環境を整備すること。選びやすい理由:「ノーマライゼーション」という言葉の「ノーマル(正常)」という部分だけを捉え、機能改善と誤解しやすいです。混同注意:リハビリテーションによる機能回復と、ノーマライゼーションの理念を混同する可能性があります。
- 3. ノーマライゼーションは、身体構造を正常に戻すことを目的とした概念ではありません。障害のある人が、その身体構造のままで地域社会において通常の生活を送れるような環境や社会のあり方を追求するものです。正しくは:障害のある人の身体構造に関わらず、社会参加を可能にするための社会環境を整備すること。選びやすい理由:選択肢2と同様に、「ノーマル」という言葉から、身体の物理的な正常化を連想しやすいです。混同注意:医学的治療や手術による身体構造の改善と、ノーマライゼーションの社会理念を混同する可能性があります。
- 4. 正解。ノーマライゼーションの核心は、障害の有無に関わらず、すべての人が地域社会で「あたりまえ」の生活を送れるようにすることです。その実現のためには、障害を理由とした差別や偏見を取り除き、社会的な障壁を解消することが不可欠です。正しくは:この記述は正しいので修正の必要はありません。選びやすい理由:他の選択肢が「正常化」という言葉で誤解を招くのに対し、この選択肢は直接的に社会的な問題を指摘しており、ノーマライゼーションの本質を捉えています。混同注意:特になし。明確にノーマライゼーションの理念を表しています。
- 5. ノーマライゼーションは、障害のある人が地域社会で普通の生活を送ることを目指すため、大規模施設への集団収容とは対極にある考え方です。地域での自立生活支援が重視されます。正しくは:障害のある人が地域社会で生活できるよう、小規模なグループホームや在宅サービスを推進すること。選びやすい理由:過去には大規模施設が障害者福祉の中心だった時代もあり、その名残で正しいと誤認する人がいるかもしれません。混同注意:過去の施設中心の福祉政策と、現在の地域生活支援中心のノーマライゼーション理念を混同する可能性があります。
国試ポイント
ノーマライゼーションの概念について、その本質を理解しているかを問う問題です。特に、「正常化」という言葉の表面的な意味に惑わされず、社会的なバリアフリーや差別の解消、地域共生社会の実現という深い意味合いを把握しているかが重要になります。身体機能や構造の回復を直接の目的とするものではない点も頻繁に問われます。
混同注意
「正常化」という言葉から、医学的な機能回復や身体構造の改善と誤解しやすい。また、障害者のための特別な施設や隔離された環境を提供することが福祉であるという、旧来の考え方と混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
ノーマライゼーションに関して次に問われるとしたら、具体的な施策(例:グループホームの推進、ユニバーサルデザイン、合理的配慮)や、ICFとの関連性、歴史的背景(デンマークのバンク=ミケルセン、スウェーデンのニィリエ)などが考えられます。また、身体機能の正常化ではなく、社会の側の障壁除去が本質である点を押さえているか。
関連知識
国際生活機能分類(ICF)における「参加」や「環境因子」、障害者基本法、障害者総合支援法、バリアフリー新法などの国内法規と関連が深いです。これらの法規は、ノーマライゼーションの理念を具体的に制度化したものです。また、QOL(Quality of Life)の向上とも密接に関連します。