廃用症候群の症状と予防法の組合せで誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
機能的電気刺激(FES)は、筋の随意的な収縮が困難な場合に、電気刺激を用いて筋を収縮させ、機能的な動作を補助することを目的とします。これは筋力維持や運動機能改善には寄与しますが、直接的に骨に十分な機械的負荷をかけるものではありません。骨萎縮の予防には、荷重負荷や抵抗運動、あるいは薬剤によるアプローチが不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. 起立性低血圧は廃用症候群による循環系の症状です。早期の離床や体位変換は、この症状の予防に有効な手段です。正しくは:この組み合わせは適切です。選びやすい理由:離床は活動を促すため、心血管系の適応を高め、起立性低血圧の発症リスクを軽減します。混同注意:安静臥床が起立性低血圧を引き起こす原因と混同することがあります。
- 2. 筋力低下は廃用症候群の中核的な症状の一つです。神経筋電気刺激(NMES)は、随意的な運動が困難な場合でも筋収縮を促し、筋萎縮の進行を抑制し、筋力低下を予防するのに有効な手段です。正しくは:この組み合わせは適切です。選びやすい理由:電気刺激によって筋活動を維持できるため、筋力低下の予防に有効です。混同注意:運動療法と比較して効果が限定的であると誤解されることがありますが、安静期の予防としては非常に有用です。
- 3. 正解。骨萎縮の予防には、骨に物理的な負荷をかけることが重要です。機能的電気刺激(FES)は筋収縮を誘発し動作を補助しますが、直接的に骨に十分な機械的負荷を与えて骨萎縮を予防する主要な方法ではありません。骨萎縮の予防には、体重負荷運動や抵抗運動がより効果的です。正しくは:骨萎縮の予防には、荷重負荷運動や抵抗運動、または薬物療法がより適切です。機能的電気刺激(FES)は骨萎縮の主要な予防法ではありません。選びやすい理由:電気刺激が何らかの形で骨にも良い影響を与えるのではないかという漠然とした期待から、誤って適切な組み合わせだと判断してしまう可能性があります。FESが筋機能改善に効果があるため、骨にも間接的に良い影響があると考えてしまうかもしれません。混同注意:筋力低下の予防(神経筋電気刺激)と骨萎縮の予防とを混同している可能性があります。また、骨折のリスクを減らす意味で間接的に骨に良い、と考えてしまうと誤りやすいです。
- 4. 褥瘡は長時間の圧迫によって発生する皮膚の損傷であり、廃用症候群の合併症の一つです。定期的な体位変換は、同一部位への圧迫を避け、血流を維持することで褥瘡の発生を効果的に予防します。正しくは:この組み合わせは適切です。選びやすい理由:褥瘡予防の基本中の基本であるため、正しいと判断しやすいです。混同注意:エアマットや栄養管理といった他の褥瘡予防策との相対的な効果を混同するかもしれません。
- 5. 深部静脈血栓症(DVT)は、安静臥床により血流が停滞することで発生リスクが高まります。弾性ストッキングは、下肢の静脈を圧迫して血流の停滞を防ぎ、DVTの予防に有効な手段です。正しくは:この組み合わせは適切です。選びやすい理由:血栓予防の一般的な方法として知られており、正しいと判断しやすいです。混同注意:フットポンプなどの他のDVT予防法と混同することがあります。
国試ポイント
この問題は、廃用症候群の様々な症状とその具体的な予防法に関する知識を問うものです。特に、各予防法のメカニズムを理解し、その症状に最も適切な予防法を正確に結びつけられるかがポイントとなります。電気刺激の種類(神経筋電気刺激と機能的電気刺激)とその適用目的の違いを理解しているかも問われます。
混同注意
神経筋電気刺激(NMES)と機能的電気刺激(FES)の目的の違い、および骨に直接的な負荷をかける予防法(荷重運動など)と電気刺激がもたらす間接的な効果を混同しやすいです。FESは筋収縮を促しますが、それが即座に骨密度維持に直結するわけではない点を理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、廃用症候群の各症状(筋、骨、循環器、皮膚など)に対して、どのようなメカニカルストレスや生理学的反応を誘発する予防法が有効であるか、その作用機序まで理解しているかを確認すると良いでしょう。特に、電気刺激のような技術がどのように症状に影響を与えるのか、その直接的・間接的な効果を区別して判断できるかが重要です。また、多岐にわたる予防法の中から、最も効果的または直接的なものを選択する能力が試されます。
関連知識
廃用症候群の主要な症状(筋力低下、骨萎縮、循環器系変化、精神機能低下、褥瘡など)と、それぞれの症状に対する具体的な予防・介入方法(早期離床、運動療法、栄養管理、体位変換、薬物療法など)を包括的に理解しておく必要があります。特に、電気刺激療法については、NMESとFESの適応と効果の違いを明確に区別できることが求められます。