右人工股関節置換術(後方侵入)後の患者の靴下の着脱動作として正しいのはどれか。2つ選べ。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
股関節後方アプローチでは、股関節の屈曲90度以上、内転、内旋の複合運動が脱臼肢位となるため、これらの肢位を避ける動作が適切です。選択肢2の肢位は、術側である右股関節の屈曲、内転、内旋を伴わず、脱臼のリスクが低いです。選択肢4は、自助具を用いて股関節への負担を軽減しながら靴下を履く動作であり、脱臼肢位を回避できます。
選択肢ごとの解説
- 1. この動作は右股関節が深く屈曲し、内転・内旋位を伴うため、後方アプローチ後の脱臼リスクが非常に高いです。特に90度以上の屈曲は禁忌とされています。正しくは:体を前傾させすぎず、膝を曲げすぎないように注意し、必要に応じて靴下を履くための自助具を使用します。選びやすい理由:一般的な人が床に落ちたものを拾うような自然な動作に見えるため、無意識に行いがちです。混同注意:股関節の可動域が十分に確保されている状態や、術後期間が経過し、医師からの許可が出ている状態での動作と混同しやすいです。
- 2. 正解。右股関節が大きく屈曲することなく、左脚を右脚に乗せることで、右股関節の内転・内旋を避けて靴下を履こうとしています。これは後方アプローチ後の脱臼肢位を避ける適切な動作です。選びやすい理由:股関節を大きく曲げずに靴下を履こうとする意識が働いているため、適切な方法に見えます。混同注意:左股関節に負担がかかる可能性があるが、脱臼リスクのある術側の股関節の保護が優先されるべきという判断と混同しやすいです。
- 3. この動作は、右股関節が深く屈曲し、内旋位を伴っている可能性があり、脱臼リスクを高めます。特に股関節の屈曲が90度を超えると危険です。正しくは:体を前傾させず、膝を曲げすぎないように注意し、自助具の使用を検討します。選びやすい理由:椅子に座って行っているため、安全な動作に見えやすいですが、股関節の屈曲角度に注意が必要です。混同注意:前方アプローチ後の患者さんの動作指導と混同しやすいですが、前方アプローチでは屈曲制限がゆるやかなことが多いです。
- 4. 正解。靴下を履くための自助具(ソックスエイドなど)を使用することで、股関節の過度な屈曲や内転・内旋を避けながら靴下を履き脱ぎできます。これは後方アプローチ後の脱臼予防に非常に効果的です。選びやすい理由:自助具を使用しているため、術後の安全な動作として認識しやすいです。混同注意:自助具の種類や正しい使い方を理解していないと、効果的な使用ができない場合があります。
- 5. 床に座って靴下を履こうとすると、股関節の屈曲が深くなり、特に右股関節が内旋・内転位になりやすいため、後方アプローチ後の脱臼リスクが非常に高いです。床からの立ち上がり動作自体も股関節に大きな負担をかけます。正しくは:椅子に座り、膝を大きく曲げずに自助具を使用するなど、股関節の屈曲90度以上、内転、内旋を避けるようにします。選びやすい理由:自宅で普段から床に座る習慣がある患者さんにとっては、自然な動作と感じられやすいです。混同注意:術後早期でなく、手術から時間が経過し、医師から許可が出ていれば可能な動作と混同しやすいです。
国試ポイント
人工股関節置換術後の脱臼肢位と、それを避けるための動作指導や自助具の活用を理解する。
混同注意
前方アプローチと後方アプローチで脱臼肢位が異なる点を混同しやすい。前方アプローチでは伸展・外旋が制限され、後方アプローチでは屈曲・内転・内旋が制限される。
次に同じ論点が出たら
同様の問題では、まず術式(前方・後方)を確認し、それに応じた禁忌肢位を把握することが重要です。次に、各選択肢の動作がその禁忌肢位に該当しないか、または禁忌肢位を避ける工夫がされているかを確認します。
関連知識
人工股関節置換術後の患者指導では、具体的な動作指導だけでなく、生活環境の整備(高い椅子、洋式トイレ、手すりなど)も重要です。また、ADLに合わせて段階的に活動範囲を拡大し、疼痛管理も並行して行います。